手話をことばとして生きる写真家・齋藤陽道さんの人気連載が一冊になりました。
齋藤さんは「聞こえる家族」に生まれたろう者、妻のまなみさんは「ろう家族」に生まれたろう者。そんなふたりの間には、聞こえる子どもがふたり――。
一家は、それぞれの違いを尊重しながら、手話で、表情で、体温で、互いの思いを伝え合います。本書は、美しい写真とともに紡がれた育児記であり、手話でかかわり合うからこそもたらされた気づきと喜びの記録です。
[目次]
はじめに ことばの光る道を築く
星の情景
痛みを拡げて
ことば以前の声
父の視点
すべての始まり
あまたのカケラ
ことばをまっとうする
世界と調和するとき
身体にたたえていることば
ナマモノのことば
名前から生まれる世界
熊本に越して
世界とつながっていることば
関係性の結晶
幸福な空白
ゆるくしめて、ゆるくほどいて
ケンカしよう
うれしい体よ、おやすみ
働くということ
ひさしぶり
水中のことば
マチズモ脳と家事
安心感の表れ
仲間として共に
祈りのひとしずく
あとがき
[著者]
さいとう・はるみち
1983年、東京都生まれ。写真家。都立石神井ろう学校卒業。2020年から熊本県在住。陽ノ道として障害者プロレス団体「ドッグレッグス」所属。2010年、写真新世紀優秀賞受賞。2013年、ワタリウム美術館にて新鋭写真家として異例の大型個展を開催。2014年、日本写真協会新人賞受賞。写真集に『感動』、続編の『感動、』(赤々舎)で木村伊兵衛写真賞最終候補。著書に『異なり記念日』(医学書院・シリーズ ケアをひらく、第73回毎日出版文化賞企画部門受賞)、『声めぐり』(晶文社)など。
2022年には『育児まんが日記 せかいはことば』(ナナロク社)を発行。同年、Eテレ『おかあさんといっしょ』のエンディング曲『きんらきら ぽん』の作詞を担当。写真家、文筆家としてだけでなく、活動の幅を広げている。