小説家でもある落語家・立川談四楼が、現代の世相を斬りながら、おもしろくて哀しく、人情味たっぷりの古典落語の世界へご案内します。1970(昭和45)年に立川談志に入門してから、前座、二つ目、真打と昇進した自身の経験をたどることで、最近の落語界事情もわかります。はじめての落語鑑賞ガイドも収録、いわば「筆の立つ真打が書いた落語の新しい入門書」です。
[目次]
はじめに ようこそ落語の世界へ
近未来落語論開講/不幸の始まり/「二つ目貧乏」時代/いよいよ真打・立川談四楼大葬式/立川流の面々/追悼・朝三、右朝/逆転の生理/立川流正月風景むかしいま/よりホンモノに/花のお江戸で落語三昧/人生いろいろ、会社もいろいろ/ホンモノとニセモノ、秋刀魚と温泉/昔富くじ今宝クジ/「痛み」を分かつ大岡越前
中入り 新宿・末広亭で落語を聴く
カネの世の中、努力はしても/『短命』の男が長生きするには/タイ・トイレでの秘密/『目薬』だって禁演落語/『掛け取り』今や通じず/性善説のよりどころ/ワルを楽しむ/紺屋高尾』は女性に評判/クーラーは毒、落語は……/途中まででも『高砂や』を/せめて「節」くらいは/旅をさせると、子は宝/何もしないが親孝行/『寿限無』を差しで
あとがき 落語と落語家の正体
[著者]
たてかわ だんしろう
1951年、群馬県邑楽町に生まれる。1970年立川談志に入門、1983年立川流落語会第一期真打に昇進。落語界の現状、将来に疑問を抱き、真打昇進試験を題材にした小説『屈折十三年』(別冊文藝春秋)で文壇デビュー。1990年、初の小説集『シャレのち曇り』(文藝春秋)を刊行。以来、ラジオやテレビに出演、新聞や雑誌に書評やエッセイ、コラムを書き続けている。東京・下北沢での隔月の独演会は160回を数える。著書に『ファイティング寿限無』(ちくま文庫)、『師匠!』(新潮社)、『落語的ガチンコ人生講義』(新潮OH!文庫)、『日本語通り』(毎日新聞社)、『話のプロが教えるつきあいが驚くほどうまくいく会話の本』(青春出版社)、『大書評芸』(ポプラ社)など多数。