みずみずしい感性と高い芸格で見る人を魅了した八世観世銕之亟さん(観世流シテ方・人間国宝)が、分かりやすい言葉で能の本質を語った14話です。激動にみちた時代を生き、60余年にわたって数々の舞台を演じつづけてきた著者の、その経験に裏打ちされた一言一言は、能の魅力を余すところなく伝えてくれます。
[目次]
ようこそ能の世界へ
能はミュージカルのようなもの─謡と囃子─
能と歌舞伎─道成寺と娘道成寺・安宅と勧進帳―
舞は能のなかの魅力あふれるひととき
能「羽衣」を演じるとき─楽屋、鏡の間、そして舞台へ─
能面のことをお話ししましょう
女面のなかにあるさまざまなマジック―小面から般若まで―
修羅の能の魅力
能のなかのさまざまな鬼
能装束
共に演じる人々
私が演じてきた舞台
銕之亟家のこと 私のこと
「翁」「隅田川」「井筒」「道成寺」「屋島」「羽衣」など、著者が演じてきた舞台写真を30数点掲載しているほか、舞台に出るまでの行程や面装束も、カラーでたっぷりとご紹介します。
[著者]
かんぜ てつのじょう(はっせい)
1931年に、七世観世銕之亟(雅雪)の四男として東京に生まれる。祖父華雪、父、兄寿夫に師事し、研鑽を重ねる。1980年に八世観世銕之亟を襲名する。1991年度芸術選奨文部大臣賞、日本藝術院賞を受賞。1995年、重要無形文化財各個指定(人間国宝)に認定。1997年紫綬褒章を受章。2000年7月逝去。