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次の皆既月食は来年1月31日

月の満ちかけ絵本
『月の満ちかけ絵本』 大枝史郎 文 佐藤みき 絵
あすなろ書房 1,200円+税 装釘 梶原浩介(Noah’s Books, Inc.)

 東日本大震災の影響で計画停電や節電があったころ、暗い街の夜空で、明るくあたりを照らしてくれた満月の頼もしさ、ありがたさが忘れられません。それ以来、毎日使う手帳は月の満ち欠けのしるしがついたものにしています。

 家路をたどる坂道で夜空を見上げると、まいにち月の形と位置が変わっています。満月はあそこに見えたのに、半月は違うな。ぼんやりとそう思ってはいましたが、どうしてなのか、深く考えることもなく過ごしていました。

 私が担当している本誌連載頁、細谷亮太先生の「いつもいいことさがし」のテーマが、91号では「一年を和風月名で」と、旧暦についてのお話だったこともあり、月の満ち欠けについても知りたくなりました。

 児童図書のコーナーにあった本書は、「親子で学べるユニークな『月観察』絵本」と謳っており、ていねいにわかりやすく、月の満ち欠けを説明しています。本文の始めに、太陽と地球と月の関係の図があり、「月の見えない新月から、三日月、半円の月、満月になり、欠けていって、もとの新月にもどるまで約29.5日かかる」ことが説明され、なるほどと思いました。

 次の頁から新月、二日月、三日月、上弦の月……と、月の形が変わるごとに見開きで説明があり、太陽と月と地球の位置によって月の形と昇る方角が移っていくのがわかります。

 月の名前の由来についても説明があり、いままで覚えられなかった、上弦の月と下弦の月のことが、やっとわかりました。上弦の月は、満月までの途中に現れる右側半分の半月で、太陽が沈むと南の空に浮かび、船のように下がカーブした形で夜中に沈む。そのときに弓の弦(つる)が上にある形だから「上弦」の月。下弦の月は、満月から欠けていく半月で、夜中に出てきて、太陽が昇るころには南の空にあって消えていく、左側半分の月。沈むときには弦が下になるから「下弦」の月。一晩中見える月は満月だけなのも図から納得できます。昔の日本人が、満月に限らず、それぞれの月に意味を持たせて親しんできたことも書かれていて、お月様がもっと好きになりました。

 巻末には、「月と宇宙の豆知識」として、潮の満ち引きや日食と月食についての解説もあります。それによると次の皆既月食は2018年1月31日。日本全国で見られるそうです。皆既月食までに、この本を購入して、親子で話してみるのもいいでしょう。もちろん、私のように大人が読んでも充分面白いですよ。(高野)

子どもから生まれる、みずみずしい言葉たち

ことばのしっぽ
『ことばのしっぽ』 読売新聞生活部 監修
中央公論新社 1,400円+税 装釘 中央公論新社デザイン室 

 れ
「ママ 
 ここに
 カンガルーがいるよ」
 これは、3歳の男の子がつぶやいた言葉を母親が書きとめ、読売新聞家庭面の「こどもの詩」というコーナーに投稿したものです。「れ」という平仮名がカンガルーに見えるなんて! 子どもの自由な発想に驚くとともに、その発見を母親に一生懸命伝えるあどけない姿が浮かび、ほほえましく感じます。
 今年で50年を迎えた「こどもの詩」。この本は、これまでに掲載された詩のなかから200編をより抜き、まとめたものです。

かさ
「(お店やさんごっこをしていて)
 これ(かさ)は
 あめのおとが
 よくきこえる きかいです」

ふとん
「おかあさん
 ぼくタイムマシンで
 あしたにいくからね
 じゃあ
 おやすみなさい」

すみっこ
「すみっこにいました
 すみっこでまるくなっていました
 こころがゆっくりなるのです
 これからもすみっこにいたいです
 すみっこはやっぱりおちつきます」

新しいせかい
「ママは 何分がすき
 ゆうかはね 59分がすき
 新しいせかいが
 はじまりそうな気がするの」

 子どもたちが日々の暮らしで発見したこと。楽しい気持ち、寂しい気持ち。いろいろな気持ちがそれぞれの詩に詰まっていて、子どもの目には、世界はこんなふうに映っているんだ……と気づかされます。
 大きくなるにつれ、こんなふうにまっすぐな気持ちを言葉にすることは、難しくなるかもしれません。でもできる限り、このきらきらした感性を持ち続けていられるような世の中にしてあげたい。そして、子どもたちから生まれるみずみずしい言葉をすくいとる、あたたかな眼差しをもっていたい。この本を読んで、切に思いました。(井田)

生きていてくれるだけで「いい子」だよ

はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに
『はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに』
佐々木正美 著 福音館書店 900円+税 装釘 森枝雄司

 今年、2017年の6月、児童精神科医の佐々木正美先生が永眠されました。

 わたしは幸運にも、先生が行われていた勉強会に伺ったことがあります。涙ながらに悩みを打ち明けるお母さんたちに対して、先生はじっと聞き、優しく語りかけます。その言葉に、お母さんたちが笑顔を取り戻された様子を、今でも鮮明に覚えています。

 『暮しの手帖』でも、子育てに悩んでいる方々の心が軽くなるように、子どもが成長することの喜びを伝えていただきたいと、「母子の手帖」の連載執筆をお願いしたのは7年前。先生は日本各地へ講演に飛び回る忙しさ。その頃からすでに体調がすぐれなかったにもかかわらず、まるで目の前で語りかけてくれるような原稿をご執筆くださったのでした。

 今回ご紹介するのは、この連載をまとめた本です。先生は「親から愛されている実感」「根拠のない自信」などを子どもに持たせてあげることの大切さを何度も説かれました。それはとってもシンプルだけれど、日々の子育てに追われている親御さんたちが見失いがちなものであるように思います。

 先生に、「ゲームに熱中し過ぎる子について書いていただけますか?」とご相談して、いただいた原稿は、わたしの想像を超える内容でしたが、心の底からなるほど、と思いました。その他にも、「いじめ」「ひきこもり」「思春期」「親の離婚」など、具体的な例を通して、子育てに大切なことを教えていただきました。

 いい親にならなければというプレッシャーを感じている方、また、そういったお母さんやお父さんが身近にいる方にぜひ読んでいただきたい一冊です。(平田)

純粋に信じる気持ちにも違いがある。

星の子
『星の子』 今村夏子 著
朝日新聞出版 1,400円+税 装釘 田中久子

 この作品は家族と宗教を題材に、人が何かを、そして誰かを「信じる」ってどういうことなのか、主人公の成長を通して描かれる物語として読みました。

 主人公のちひろは生まれつき病弱で、娘を助けようと手を尽くす両親は、新興宗教にすがります。やがてちひろは健康に育っていき、両親は、「金星のめぐみ」という「宇宙のエネルギーを宿した」高価な水のご利益だと、ますます信仰にのめり込んで、世間からは異質な人たちとして見られます。

 物事を見る目が変わったり、恋愛をしたりと、成長していくちひろ。その宗教に対しては、態度を留保するようになりますが、両親に対しては、心から大切に思う気持ちを持ち続け、疑うこともありません。ちひろの姉は、世間と同じ目を持つようになり、高校1年生にして家を出て行ってしまいました。親戚は両親からちひろを引き離そうとします。

 物語の後半、ちひろにもその新興宗教への懐疑の念の兆しが見え、両親への気持ちにも変化が表れます。両親と宗教と世間との関係のなかで、疎ましさを感じたのか、例の水を自分に施す両親を邪険にしてしまいます。

 そして、終盤、家族3人で参加した教会の研修旅行の間、別行動になった両親とちひろは、会いたいのになかなか会えません。やっと会えた3人は、同じ流れ星を一緒に見ようとしますが……。

 両親は娘たちのことを愛し続けます。だから、この後訪れるであろう、ちひろとの別れを惜しんだのだと思います。でも、客観的な目を持ち始めたちひろは、不安定に揺れています。大切な人が信じるものだからといって、自分も信じることができるのか。同じものを見ることができないようになったのか。それまで疑いのなかった気持ちに影が差してきたのです。読者は、両親もちひろも純粋にお互いを大切に思う気持ちに心温まりながらも、つかみどころのない不穏な暗雲が立ち込め、気持ちが波立ち、もやもやとしながら考えさせられるのです。(宇津木)

小さな姫君に心うばわれて

2017年10月12日

ものえらび

小さな姫君に心うばわれて
(新連載:ホルトハウス房子「もの選びのまなざし」)

 今号より始まった新連載「もの選びのまなざし」は、料理家のホルトハウス房子先生がその審美眼で選び、ずっと大切にしてきた品々をご紹介するものです。

 ご紹介する品は毎号ひとつ。なのに、器や花器、台所道具から根付まで、先生の口から語られる愛用品の物語は、どれもすてき、どれもおもしろく、とっても選び難いのです。

 今回、さんざん迷った末に選んだのが、木彫の小さなお人形「あすか姫」でした。

 先生とこのお人形との出会いは、なんと60余年前、先生がまだ二十歳の頃でした。

 光明皇后(聖武天皇のお后)の幼少期を象(かたど)ったというその姿は、童女でありながら妖艶で、目が合うと、ちょっとドキドキさせられてしまう。

 「そうね、どこか艶めかしいわね。それでいてやはり、愛らしいでしょう?」と先生。

 小さな姫君は先生とともに、いったいどのような年月を重ねてきたのでしょう? 

 本誌をお読みになったら、いま一度、写真をじっくりご覧ください。姫君の肩のあたりに、その歴史が刻まれているのがわかるはずです。(担当:北川)

人生の最初の、しあわせな3年間を

2017年10月11日

ひきだし

人生の最初の、しあわせな3年間を
(90号ひきだし「乳母車の子育て」)

 ものづくりをなさっている方や、長くひとつのことを続けている方の、心の“ひきだし”を覗かせていただく、生き方や暮らしに迫るドキュメンタリー連載「ひきだし」。

 20回目の今回は、オリジナルの籐の乳母車を制作・販売する「東京乳母車」の横田建文さん、晶子さん夫妻にお話しをうかがいました。
 
 長男が生まれた30年前、ショーウインドーの展示品だった乳母車に魅せられてしまった晶子さん。すでに椅子型のベビーカーが出回っていた当時、乳母車を手に入れることは難しく、都内ではどこにもみつかりません。

 あきらめかけていたころ、建文さんが出張先で偶然みつけた乳母車で、晶子さんは長男、長女との幸せな時間を過ごしました。

 そして二男が生まれたとき、研究肌の建文さんは「乳母車を自分で開発してみよう!」と思い立ちます。さて、その行方は……。

 取材中、乳母車を使っている双子連れのご家族にもお話しをうかがいました。乳母車の広いバスケットの中は、すっかり子どもたちの世界。それぞれ好きなオモチャを持ちこんで、座ったり立ち上がったり寝転んでみたり。

 2歳頃まで、ベビーカー嫌いだったわが子も、この乳母車だったらもしかしたらニコニコ遊んでいたのかなあ。

 「乳母車で過ごすのは、人生の最初の3年間」

 たったの3年間という短い時間が、きらきらした思い出になるように、横田さん夫妻は今日も乳母車を作り続けます。(担当:小林)

合意のある所には笑顔があふれています

2017年10月10日

電力2

合意のある所には笑顔があふれています
(90号「電力は選ぶ時代2」)

電気を販売する会社が選べるようになって一年半。みなさんはどんな会社から購入していらっしゃいますか?

 年初の86号「電力は選ぶ時代」で、わたしたちは再生可能エネルギーの割合が高い新電力会社を選ぼう、一年に一度はその電力会社が適切なのか見直していこう、と呼びかけました。そこに、「再生可能エネルギーなら無条件でいいものなのか? 緑豊かな土地と引き換えに発電した電気でもいいのか?」
「東京のような大消費地から離れた場所に発電所を建設して電気を持ってくるのは原発と同じではないのか?」
そんな疑問が寄せられました。

 発電所はどこかに作らなければなりません。その立地は適正なのか、発電所の建設に地元住民との合意ができるのかどうかで、再生可能エネルギーも好ましいものにも目障りなものにもなり得ます。

 どのような再生可能エネルギーならよいのか、答えを求めて、編集部は長野県の茅野市と諏訪市、秋田県にかほ市、福島県の喜多方市と飯舘村に向かいました。

 立地に不安があるところには反対運動があり、事業者と地元住民の合意が形成されれば、お互いを取り持つ「みんなの発電所」になり、地元の資本で作れば、地元にお金が循環します。そして、うまくいっているところには、熱気と笑顔が集まっていました。

 ちなみに、前回の記事をきっかけに、私は加入している生協系の電力会社に変更しました。電源構成がわかり、発電所の紹介があり、使っている電気に親しみがわいています。(文:高野/担当:島崎、高野)

いろんなリクエストに応えるセーターたち

うれしいセーター
『うれしいセーター』 三國万里子 著 ほぼ日ブックス
2,500円+税 装釘 大島依提亜

 ニットデザイナーの三國万里子さんが、12名の著名人たちのリクエストに応えて編んだセーターを紹介する一冊です。

 「可能ならば、まるで着ていないような着心地のセーターがほしい」「どかんと寝転がって干し草がついても気にならない、農夫の仕事着にもなるようなイメージ」「どこかに自分だけが知っている、ちょっとした仕掛けがあるとたのしい」などの個性的なリクエストに真摯に向き合い、楽しみながらセーターの制作に挑む三國さんの姿が伝わってきます。

 出来上がった作品は、三國さん以外の人には生み出せないような、どこにも売っていないものばかり。着る人の満足そうな表情から、着心地の良さがうかがえます。

 わたしは以前から、三國さんの著書に掲載されている、作品紹介のちょっとした文章が大好きだったのですが、本書にはエッセイが8編収められています。そこには、編んだ人にしか知ることができない喜びがあふれていて、わたしもセーターという大作に挑戦したくなりました。すべての作品の編み図も載っています。日に日に涼しくなってきて、毛糸に触れるのがうれしい季節がやってきました。この冬にたくさん着られるよう、いまから編みはじめるのも良いかもしれませんね。(平田)

アレルギーのある人もない人も

2017年10月06日

りんご菓子

アレルギーのある人もない人も
(90号「米粉でつくるりんごのお菓子」)
「このお菓子、本当に、小麦粉を使っていないの? バターも? 玉子も?」
同僚はそう言って、目を白黒させました。小麦粉もバターも玉子も使っていないなら、このフワフワ、しっとりとしたおいしい焼き菓子は、一体なにでできているというの? 私はいったいなにを食べているの? もぐもぐと口を動かす同僚の頭に、そんな疑問が渦巻いているのが手に取るようにわかって、私はちょっと笑ってしまいました。
「アレルギーのある人にもない人にも、安心して食べてもらえるお菓子を紹介したい」。今回、そんな相談を持ちかけると、料理家の白崎裕子さんは「米粉」を使用したお菓子を提案してくださいました。「りんごとバナナのケーキ」「りんごのタルト」「蒸しパン」「キャラメルりんご」「豆乳アイス」「りんごアイス」……、いずれも小麦粉、バター、玉子不使用で、この時期おいしいりんごをふんだんに味わえるものばかりです。
紅玉でなくても、どんなりんごでもおいしくできるのも嬉しいところ。きょうのおやつに、さっそくひと品、つくってみてはいかがでしょう。(担当:島崎)

読むたびに、発見がある

2017年10月05日

考えの整とん

読むたびに、発見がある
(90号「考えの整とん」佐藤雅彦)

そういえば、こんなことがあったな、あんなものを見かけたな、あれはそういうことだったのか……と、なんとなく引っかかっていたことを思い出し、意味がわかって腑に落ちる。もやもやしていた頭の中にすっと道が通る……そんな連載です。
今回は「ピザピザピザ!」。10回ピザと唱えてから……という、学生時代の思い出にかかわる話題で、ある図版を解読するクイズから始まります。もう少し内容もお伝えしたいところですが、佐藤先生のように面白くわかりやすくお伝えすることができない上に、ネタバレになっては元も子もありません。
毎回、原稿をいただいてから、内容はもちろん、その言葉が漢字なのかひらがななのか、1行開ける場所をどこにするか、最後の最後まで文章とともに見開きのデザインを吟味して表現されています。このページのファンの方なら、そのときどきで、棒人間の位置も微妙に違うことをご存知でしょう。
今回も面白いことは保証できますので、どうか真っ先にお読みください。(担当:高野)

華麗なるじゃがいもの世界へ

2017年10月04日

蒸したじゃがいも

華麗なるじゃがいもの世界へ
(90号「蒸したじゃがいも七変化」)

じゃがいもは、ポテトサラダや肉じゃがはもちろん、おみそ汁に入れたり、炒め物にしたり、わが家の冷蔵庫にも必ず入っている便利な野菜のひとつです。
見慣れた野菜ではありますが、ふっくらとした丸みにずっしりと重みがある立派なじゃがいもに出合うと、やはりまずはシンプルにまるごと蒸して、あつあつをほおばります。

「蒸しじゃが最高! このまるごとのおいしさをもっと色々な料理で味わえたらいいのになぁ…」
と、そんな思いから生まれた企画です。

料理を教えてくださった渡辺麻紀先生には、
「まるごと蒸したじゃがいもを、翌日にも翌々日にも美味しく食べたいんです」
「蒸したてに負けない美味しさで、夕食のメインにもなるような料理に」
などと、私たち編集部の希望をめいっぱい伝え、本当に困らせてしまいました。
でも、そういったわがままを真摯に受け止め、ご提案いただいた“蒸しじゃがセブン”は、まさに目からウロコ。和食だけでなく、韓国風やフレンチ式などなど、華麗なる七変化をお楽しみください。(担当:山崎)

へんてことは、真っ当であること。

2017年10月03日

へんてこな工務店

へんてことは、真っ当であること。
(暮しの手帖90号「へんてこな工務店」)

へんてこな工務店こと、大喜工務店の藤田喜代次(きよじ)さんに会いに行ったのは、梅雨が明けそうな7月半ばのこと。
「この前ね、姫路城に行ったんやけど、うちで揃えられない材木は、2本しかなかったですよ」
「名古屋城の復元工事が始まったら、きっと、うちと名古屋市で材木の取り合いになるやろな」

「比べる相手がお城なの???」と内心思いつつ、会ってから止まらない材木の話に耳を傾けます。
そして、溢れる材木愛のお話は、家づくりのあり方まで、どんどん広がっていくのでした。

私たちが、なぜ彼らを“へんてこ”と呼ぶのか。
ひとつは、ヒノキへの深い深い愛情。
「香りも艶も最高で、かんなくずに頭を突っ込みたいくらいやね」と言うほど。
次に、自分の家を建てるかのごとく、妥協なき熱量で施主と向き合う姿。
そのために、施主も働き手として巻き込む、驚きのオリジナルスキームを構築!(ちなみに、見積りと請求書の作成といった事務仕事は、なんと施主の仕事なのです)

さらに、施主には現場に顔を出すことを半ば義務づけます。家づくりのプロセスをオープンにできるからこそ、成せること。施主が望めば、可能な限りその場で変更にも対応します(大工を信頼しなければできないことです)。

書き出してみれば、今の家づくりの常識とは真逆をいく話が、どんどん出てくる。
そんな話を包み隠さず、結果4日間、延べ30時間、しゃべり倒した藤田さん。さぞかし疲れただろうと思いきや、別れ際、「あ~、楽しかった!」とひと言。
やっぱりへんてこな工務店なのだと確信するのでした。(矢野)


暮しの手帖社 今日の編集部