1. ホーム
  2. > Blog手帖通信

この雪の向こうに、春が?

2018年01月24日

表紙_DSC6925

サワダ編集長より最新号発売のご挨拶

「この雪はいっしょに見てるっていうのかな 電話の向こうで君がつぶやく」
とある友だちがむかし詠んだ短歌です。
一昨日、イベントのご案内でも書いたように東京は雪で、京都の家族に電話したら、あちらも雪。
「こっちも降ってるよ! おとうさん」と娘。
おお、いっしょだね。
で、上の短歌を思い出したのでした。

この雪の向こうに、春が待っているのでしょうか?
それともまた別の雪が舞ってくるのでしょうか?
Listen, the snow is falling♪
とか、雪の降るまちを~♪
とか、さらには
なごり雪もぉ♪……

と、編集長はすぐ古い歌を口ずさみ、編集部ではケムたがられる傾向にあるので、この話はこれくらいにして。
と書いていたら、隣で局長の久我翁が
雪が降る~♪
とアダモうたいだしました。

さあ「早春号」、いよいよ発売です。
2018年の1冊目。昨秋から準備し、編んできた1冊。
どうぞお手にとって、どこからでもお読みください。
編集者の手帖(編集後記)でも書いておりますが、たっぷりの「きらきら」、たくさんの「うわあ!」を用意したつもりです。
お気に入りの頁はありそうですか? これは使える、という頁は?
さらに今年はこんなのをやって! という企画はありませんか?
(毎度繰り返して恐縮ですが)広告を入れない雑誌です。
本屋さんでの売れ行きだけが頼り。スポンサーは読者のみなさんです。
ご感想ご意見ご提案をいつもお待ちしています(巻末に切手不要の葉書もありますよー)。

明日から編集部員たちが、ひとつずつ、それぞれ担当の特集頁のご案内をさせていただきます。
本誌とは別の側面がご覧いただけると思います。
ぜひおつきあいください。

編集長・澤田康彦

いきいきとした言葉と絵が魅力の新訳グリム童話

『グリムのむかしばなしⅠ・Ⅱ』
『グリムのむかしばなしⅠ・Ⅱ』
ワンダ・ガアグ 編・絵 松岡享子 訳
のら書店 各1600円+税 装釘 タカハシデザイン室

 「ヘンゼルとグレーテル」「シンデレラ」「ブレーメンの音楽隊」などの懐かしいグリム童話。漫画も含めて、いままでにたくさんの本が出版されています。本書は、昨年の秋、新しく松岡享子さんの翻訳で出版されたグリム童話集です。英語の原本『Tales from Grimm』は、絵本『100まんびきのねこ』などで知られる、アメリカの画家で絵本作家のワンダ・ガアグがドイツ語から英語に翻訳して、1936年に出版されました。

 過日、松岡さんのトークショーを聴く機会に恵まれました。

 そこでうかがったお話によると、グリム童話集は、もともとドイツのグリム兄弟が昔話を集めてまとめたものですが、19世紀中ごろに現在の形にまとまり、各国で翻訳されています。ガアグは両親ともボヘミアからアメリカに渡った移民で、親類も近くに住んでいました。幼いころに、叔父や叔母、祖父母の語る昔話を聞きながら育ち、苦学の末画家になり、絵本も制作するようになります。

 ガアグは、自分がなじんできたお話にくらべて、英文のグリム童話は堅苦しくて、想像力に欠けるものだと感じて、グリム童話16編を英訳し、挿絵を描いて『Tales from Grimm』を作りました。松岡さんが1961年に渡米した時には、ガアグは亡くなっていましたが、当時のアメリカでは、お話を覚えて語るストーリーテリングが盛んでした。この本は高く評価されていて、松岡さんもこの本を使って、ストーリーテリングをしたそうです。

 画家であるガアグの文章は、その場の情景が浮かぶ描写で、文章の調子がよく、語りかけるような口調で、自力で生きる女性が登場するなど、それまでのグリム童話とは違っていました。シンデレラだって、継母たちがお城に出掛けると、体を洗ったり髪をとかしたりと自分で身づくろいをしてから、妖精の力を借りるのです。

 絵はモノクロですが、怪しい森の奥にあるお菓子の家、忌まわしい魔女や幸せそうに眠る子供など、表情豊かに、物語の中へと誘いかけてきます。松岡さんの翻訳も、声に出して読みやすく、読んでいること自体が心地よくなります。

 原本は1冊でしたが、2冊に分けたのは、子どもが読みやすい字の大きさで、手に取りやすい厚さにしたいとの松岡さんの要望からだそうです。

 各巻に入っているお話です。
Ⅰ「ヘンゼルとグレーテル」「ねことねずみがいっしょにくらせば」「かえるの王子」「なまくらハインツ」「やせのリーゼル」「シンデレラ」「六人の家来」
Ⅱ「ブレーメンの音楽隊」「ラプンツェル」「三人兄弟」「つむと杼と縫い針」「なんでもわかる医者先生」「雪白とバラ紅」「かしこいエルシー」「竜とそのおばあさん」「漁師とおかみさん」(高野)

先入観に捉われないものづくり

水たまりの中を泳ぐ ポスタルコの問いかけから始まるものづくり
『水たまりの中を泳ぐ ポスタルコの問いかけから始まるものづくり』
マイク・エーブルソン、エーブルソン友理 著
誠文堂新光社 3,000円+税 装釘 エーブルソン友理

 私は、15年もの間、ポスタルコというブランドのカードケースを愛用している。丈夫であることはさることながら、とにかくストレスなく使えるのがうれしい。
指でケースの両端をつまむように力を入れると、口が開いてカードが出し入れしやすくなる仕掛けになっている。「両端からつまむように押す」なんて野暮なことは説明されていないし、そんなことすら考えなしに使っていた。
 だが、ある時、カードケースの構造をまじまじと見て、そう使うように導かれていたことに気がついた。正確に言うと、デザイナーのマイク・エーブルソンは、ヒトはカードケースをどのように握り、どのように使おうとするのかを知っていたのだ、ということに感心した。

 ポスタルコのステーショナリーやバッグ、レインウェアは、そんな不思議な気持ちにさせるものばかりだ。「こうなっていると使いやすいのに、なぜそうではないのだろうか」というこちらの気持ちを見透かしたように、「ありそうでなかったもの」がそろっている。
 彼らがいかにしてユニークなものを生み出しているのか。その思考の過程が、本書に詰まっている。

 彼らのユニークさを象徴するプロダクトの一つにトートバッグがある。
「バッグってなに?」
「どうしてヒトはモノを運ぶんだろう?」
「バッグがなかった時、
ヒトはどうやってモノを運んだのかな?」
きっとそんな「問いかけ」から始まり、橋梁の構造にヒントを得たタフで軽々とモノが持ち運べるバッグが生まれたのだそう。

 彼らはものづくりの過程で、「問いかけ」をもっとも大切にしている。マイク・エーブルソンは、そのことを次のように話す。
「たぶん、じぶんの固定観念を壊したいんだと思う。少しずつ、少しずつ、視野を広げて、こうだと決めてかかっていた思い込みを、ほぐすようにしているんだ。(略)あるものに対して抱いている先入観を捨てていくと、じぶんが知らなかったことが見えてくる」
 文化人類学的ものづくりとでも呼ぶべきか、つくるべきものに問いを重ね、ヒトやモノを観察し、何度も何度も試作を重ねて、答えに辿り着く。

 本書は、15の問いからポスタルコが辿った17年を振り返る。読み進めるうちにポスタルコの輪郭がクッキリと浮かび上がる。だが同時に、彼らはデザイナー? 文化人類学者? はたまた哲学者? ポスタルコとは何者か? という、新たな問いが頭の中に浮かぶ。(矢野)

今がいちばん若いんだぞ

自転車ぎこぎこ
『自転車ぎこぎこ』 伊藤礼 著
平凡社 1,600円+税 装釘 石澤由美

 もう10年以上前だったでしょうか、久しぶりに会った大学の同級生が私に言いました。
「ねえ、あの伊藤センセイが、『こぐこぐ自転車』とかいうエッセイを出して、それがなかなか人気なんだって」
「うそでしょ? 同姓同名の人なんじゃないの?」と私。
伊藤センセイこと伊藤礼さんは英米文学の教授で、私が学生の頃は60代後半くらい。長らく肝臓病を患っていたとのことで、顔色はお世辞にもよいとは言えず、お書きになるエッセイは、どこか冷めたユーモアとペーソスがあって。自転車だなんて、似合わないなあ。
半信半疑でその本を読んだら、まあ、面白いこと。退官も目前となったある日、「大学まで自転車で行ってみようか」と思い立ったセンセイ。ところが2キロも行かないうちに、足腰の筋肉は力を失い、お尻には激痛を感じ、休み休み、何とか12キロ先の大学にたどり着いたときは、目のまわりにクマができていた……。
しかし、以来すっかり自転車にはまったセンセイは、あちこち走り回るうちに、一日60キロを走れるまでになるのです。
この『自転車ぎこぎこ』は、その続編。折りたたみ自転車を電車に積み込む、いわゆる「輪行」で旅する仲間も数人でき、センセイは西へ東へ軽やかに、古希を過ぎた肉体を走らせます。からだ全体に風を感じながら、思わぬハプニングも愉快がりながら。
 「こんなに出かけるのは年をとっているから、まもなく確実に死ぬと思うからだ。生きていてもヨボヨボになってしまう。今を逃したら自転車に跨れなくなるからである。私は友人たちに今がいちばん若いんだぞと声をかける。そしてすこしでも若い今のうちに、行けるだけ行こうと誘う」
 人生は、楽しんだが勝ちなんだなあ。幾つになっても、その楽しみのタネを見つけられたら、すてきです。(北川)

戦後から現在、街の移り変わりを写す

富岡畦草・記録の目シリーズ『変貌する都市の記録』
富岡畦草・記録の目シリーズ『変貌する都市の記録』
富岡畦草・富岡三智子・鵜澤碧美 著・写真 白揚社
2,500円+税 装釘 岩崎寿文

 「昭和20年8月15日、第二次世界大戦決着。25日、私は所属していた谷田部海軍航空隊解散復員に伴い常磐線土浦駅から超満員列車に乗って東京駅へと向かいました。このとき東京駅へ近付くにつれ、街は無残な被害状況で、痛恨の極まり、多くの犠牲戦友への弔いも合わせ、この真実を歴史に残す必要性を痛感しました」(まえがきより)
 写真家の富岡畦草(けいそう)さんは、記録写真を撮り始めた動機をこう書いています。海軍航空隊で特攻隊の志願兵として終戦を迎えた畦草さんには、敗戦時の街の姿と、復興していくに違いないこれからの街の姿を写していくことが、とても大切なことだと思えたのでしょう。以来、約70年にわたって、東京の各地の街頭を撮り続けてきました。
 それも、移り変わりが分かりやすい「定点撮影」の手法を用いて。本に収められている撮影場所は、都内を中心に66地点。多くは、見開きのページに昭和30年代前後、昭和後期か平成初期、平成28~29年のものと、3つの時代の写真がレイアウトされています。
 たとえば「東京駅・丸の内中央口」は、昭和34年と50年、平成28年の3点。駅をセンターにとらえた3つの写真からは、周囲のビルが建て替えられていく様子が見てとれるのもさることながら、どれも駅前のどこかが工事中だという事が分かります。
 「東京タワー」は、昭和33年と平成29年の2点。しかも1枚目のタワーは、完成の三月半ほど前で、先頭部分が未完成の写真です。足元には、古びた木造平屋の大衆酒場と何かの商店、その奥遠くに見える煙突は、銭湯かもしれません。写真の解説には、タワーの資材に米軍戦車のスクラップが使われていることが触れられ「希望の象徴となった東京タワーは、敗戦の傷を乗り越えようと奮闘した国民の覚悟の象徴でもある」との一文が。
 この記録集は、戦後、日本がどのように復興してきたのかを考えるきっかけとなり、記憶のよすがともなるでしょう。また、考えを深めるのは後回しにして、昔の街並みや看板広告、人々のファッション、道を走る車やバイクの車種に注目するのも面白そうです。
 そして、この記録写真には、畦草さんと娘の三智子さん、孫娘の鵜澤碧美(うざわたまみ)さんの三代にわたって撮り続けられているという稀有な特長があります。親子代々の意志の連なりに、ただ敬服するばかりです。(菅原)

隠れた魅力を探しに

2017年12月13日

10DSC_0152

隠れた魅力を探しに
(91号「今日の買い物 名古屋へ」)

突然ですが、昨年行われたあるアンケートで「もっとも魅力に欠ける都市」の第一位に選ばれたのはどこか、ご存知ですか?
実は、名古屋市なのだそうです。
連載「今日の買い物」の取材で全国各地を訪れている編集者の岡本仁さんは、この結果に首を傾げてしまったといいます。なぜなら、モダニズム建築やパブリックアートに興味のある岡本さんにとって、「名古屋はただ歩いているだけで、宝物だらけの都市」とのこと。
名古屋取材から戻った岡本さんの写真を見せてもらうと、地下鉄のコンコースやホームの美しい壁画がずらり。こんなにすばらしい壁画にあふれているなんて……! とびっくりするとともに、目線を少し変えるだけで、街の印象は大きく変わるのだと実感しました。
つづけて岡本さんが見せてくださったのは、滞在中に何度も食べたという「きしころ」(きしめんの冷たいものをそう呼ぶのだそう)の写真や、いろいろなお店で食べ比べたというモーニング、鮮やかな色合いの有松鳴海絞りの手ぬぐい――。
岡本さんのお話を聞き終える頃には、すっかり名古屋に行きたくなってしまったのは言うまでもありません。(担当:井田)

11DSC_0152

新しい家庭の味に出合いました

2017年12月12日

05DSC_0152

新しい家庭の味に出合いました
(91号「リゾットの新提案」)
本格的なリゾットが、おうちでも簡単に作ることができたら、なんて嬉しいのだろう。という思いからはじまった企画です。
ブイヨンやダシを使わず、お鍋ひとつで仕上がる手軽さで、具材も入った、食べごたえのあるリゾットならば、きっと素敵な食卓になるだろう。
と、編集部でのイメージはどんどんふくらんでいきました。
そんな多くの問題を解決し、素晴らしいレシピを教えてくださったのは、料理家の脇雅世先生です。家庭で身近な食材を使い、ダシを使わず、米を洗わず、お鍋ひとつで完成するボリュームのあるリゾットは、まるでチャーハンを作るような手軽さです。
具材のうま味が、ふっくらとしたお米にしっかり馴染み、ほおばるごとに笑顔になれる、あたたかなリゾットを、ぜひご家庭でお試し下さい。(担当:山崎)

夜空を見上げたくなる、物語の数々

写真で見る 星と伝説 秋と冬の星
『写真で見る 星と伝説 秋と冬の星』野尻抱影 文 八板康麿 写真
偕成社 1,600円+税 装釘 三上祥子(Vaa)

 太古より、人々は夜空を見上げ、輝く星々を神や動物に見立て、さまざまな物語を紡いできました。ギリシャはもちろん、中国や日本でも。
本書は、秋と冬の星座にまつわる世界各地の伝説と、美しい星空の写真を掲載しています。底本となっているのは、野尻抱影の名著『星と伝説』。秋はペガスス座やペルセウス座、冬はおうし座やりゅうこつ座など、それらの星座にまつわる9編のお話が収められており、たっぷりのカラー挿絵が入っています。
例えば、オリオン座。四角形を描く星のなかに、並ぶ三つ星。おそらく、みなさんもご覧になったことがあるかと思います。
 ギリシャではオリオン座は、太い棍棒を持って野山の獣を狩る勇者の姿とされました。勇者オリオンは、月と狩りの女神アルテーミスと恋仲になるのですが、彼女の兄、日の神アポローンによって悲劇の死を迎え、やがて星になったのだとか。
 ところ変わってアイヌの人たちは、オリオン座の三つ星をイウタニ(米を搗く杵)と呼び、これは働き者の三人の若者が星になったもの。こんなふうに同じ星座でも、それぞれの時代に、それぞれの場所で、違った伝説が生まれたことがわかります。
 ほかにも、多情の大神ゼウスに、夫の浮気を怪しむ妃ヘーラ。娘のアンドロメダを溺愛する、親ばかの母・カシオペヤ。物語のおもしろさもさることながら、「人間くささ」や「戒め」は、時代を超えて、人類の不変のテーマなのかしら、と思ったり。
 解説によると、地球からアンドロメダ銀河までの距離は230万光年。私たちがいま見ているのは、230万年前に放たれた光なのです。そして「アンドロメダ銀河は数十億年後に、われわれがいる銀河と合体すると考えられて」いるそうです。悠遠のかなたに広がる銀河と、それを見るちっぽけな私。
 オリオン座の隣はおうし座で、その下にあるのはエリダヌス座……。当初はのっぺりと見えていた星の写真が、読み進めるほどに、時間と空間の厚みをもって、眼前に迫ってくるように感じられました。
 本書では、それぞれの星の解説や見つけ方、コラムなども充実しています。これからの季節、ますます夜空を見上げたくなる一冊です。(圓田)

人はいろいろ、家族もいろいろ

2017年12月08日

14DSC_0152

人はいろいろ、家族もいろいろ
(91号「家庭教育支援法案から考える 家族ってなんだ」)

「家族なのに」。「家族だから」。よく聞く言い回しですよね。でも、こういう言葉を耳にするたび、私の心には、言いようのないモヤモヤが立ち込めます。「なのに」「だから」。これらの言葉の選択が、「家族」にまつわる、ある一定の価値観やイメージの強要を象徴しているように思えるからです。
たとえば「家族なのにつめたい」と言うとき。そこでは「家族はあたたかいものだ」という前提が共有されています。
あるいは、「家族だから助け合う」と言えば、「そうするのが当然だ」というニュアンスが伝わりますよね。
でもでも、とそこで私は思うのです。「家族」はひとつひとつ、そして人それぞれに違うものなのだから、そういうふうに十把一絡げにすることなんか、本当はできないんじゃないかしら、と。
今回の企画は、そんな私の「モヤモヤ」から生まれたものです。現在準備されている、「家庭教育支援法案」という法律案を切り口に、「個人と家族」の関係性や、「社会と家族」の位置づけ、あり方について、改めて考えます。
コラムニストのジェーン・スーさん、作家の山崎ナオコーラさん、同じく作家の佐川光晴さん、社会学者の岸政彦さん、文筆家のアーサー・ビナードさんに、「家族」について語っていただく頁もあります。皆さんがいま一度、「私の家族」について考えるきっかけになれば幸いです。(担当:島崎)

すてきで便利な、この冬の相棒。

2017年12月06日

16DSC_0152

すてきで便利な、この冬の相棒。
(91号「ふたりの手袋」)

このところぐんと寒くなり、手袋の出番がやってきました。
みなさんはどんなものをお使いですか?
ニット作家のすぎやまとも先生は、「手袋を編むのなら、指にフィットしてあたたかい5本指が断然おすすめ」と言います。
わたしは人一倍手が小さいので、既製品では指先が余ってしまい、悲しい思いをしてきました。ですから、自分の指にぴったりに編めると聞いて、ときめいたのです!(もちろん、長くも、太くも、細くも編めますよ。)
それならば、と、さらに先生にリクエストをしてみました。
「手袋をしたまま、指先が自由に使える工夫ができませんか?」
こうして特別に考えていただいたのが、今回の手袋です。
ポイントは指先のカバー。一見普通の5本指ですが、カバーをはずせば指が出て、携帯電話の操作などができる優れものです。
5本指を編むのは難しそうに思うかもしれません。
わたしも初めはそうだったので、試作を繰り返し、写真をたくさん使って丁寧に作り方を解説しました。この通りに手を動かせば、いつの間にか慣れて、編むのが楽しくなると思います。
女性用、男性用のすてきな編み地をご紹介しています。贈り物にもぜひお役立てください。(担当:平田)

17DSC_0152

・『暮しの手帖』91号買物案内「ファスナーボタンエイド」について

2017年12月05日

『暮しの手帖』91号の115頁でご紹介した商品、
「ファスナーボタンエイド」について、
誤って、東京都台東区の株式会社ウィズ様に
お問い合わせの連絡が入るという事例がありました。
読者の皆様、ならびに株式会社ウィズ様に
ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
正しくは、大阪市西区にある株式会社ウィズです。
ファスナーボタンエイドをお求めになる際には、
お近くの介護用品店などで注文なさるか、
下記に電話をして、「暮しの手帖を見た」と伝えて
ご注文ください。

株式会社ウィズ
電話:06-6536-9990

『子どもに食べさせたい すこやかごはん』

2017年12月04日

ごはん_表紙DSC_0088

毎日のごはんで元気なからだをつくる。
健康に育つカギは「和食」にありました。

 子育て真っ最中のおかあさんのグループ「おかあさんの輪」が、ついに待望の「ごはんの本」を完成させました。
前作の、素朴で安心な手作りおやつのレシピ集『子どもに食べさせたいおやつ』(2007年刊)は、「これなら私にもできる」と思える手軽さとユニークなアイデアから、現在も多くの読者の支持を得ています。これまで編集部には「今度はごはんの本を!」というご要望がたくさん寄せられていました。
 そんな読者の信頼のあついおかあさんの輪のみなさんですが、集まるようになったきっかけは、自身の子どもがアトピー性皮膚炎や気管支ぜん息、鼻炎などのアレルギー体質だったことからでした。「薬にばかり頼りたくない」、「もっと強いからだになってほしい」、そんな同じ思いを抱えるおかあさん仲間なんです。
「からだをつくる毎日のごはんで、体質を改善させたい」。そう願って毎日試行錯誤のくり返し。お互いに食の知識を深め合い、励まし合い、学び合うなかで、子どもにアレルギーがあるかないかにかかわらず、その輪は次第に広がってゆきました。今では、小中学校で食育の授業や、調理の指導をする活動も行っています。
さて、おかあさんの輪が考える子どものからだに良いごはんとはいったいどんなもの? おかあさんの輪は、素朴な疑問に着目しました。
「子どもたちの世代にアレルギーが増えてきているのはどうして……?」。そして、シンプルなことを実践してみることにしたのです。それは「アレルギーが今ほど多くなかった頃のごはん」に戻ってみよう! ということ。つまり、日本で昔から食べられてきたごはんの食べ方、「お米、味噌汁、お漬け物」を土台とした、穀物と野菜が中心の食事。たんぱく質も昔のように、魚や豆のおかずから。油や砂糖は少しだけといった具合です。
これを基本にして毎日のごはんを作り続けたおかあさんたち。すると、ゆっくりではありますが、からだの根本が整うようにして、子どもと、一緒に食べていた自身の体調も良くなっていったと言います。
本書では、そんなおかあさんの輪が日々試行錯誤してたどり着き、子どもにも好評だったと太鼓判を押す86品を紹介しています。野菜たっぷりの滋味豊かなおかずや、良質なたんぱく質を摂るための魚介と大豆のおかず。どれも身近な食材で、かんたんな調理で作れます。また、ぬか漬けの作り方や、だしの取り方、おすすめの調味料や油のこと、おべんとうのアイデア13種類なども。
あたたかくて優しいイラストをお寄せくださったのは、小学校の国語の教科書(光村図書)でお馴染みの大野八生さんです。
子どものすこやかな成長を願う方々に、ぜひご活用していただきたい一冊です。
詳しい内容は、下記のリンクよりご覧ください。(担当:村上)
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/books/b_1180.html

ごはん_01DSC_0088

ごはん_02DSC_0088

ごはん_03DSC_0088

ごはん_04DSC_0088

ごはん_05DSC_0088

ごはん_06DSC_0088


暮しの手帖社 今日の編集部