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本物のちゃんこ鍋を知りたい!

2018年11月29日

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本物のちゃんこ鍋を知りたい!
(97号「瀬尾新聞」)

94号から連載を始めた「瀬尾新聞」も、今号でようやく3回目。
「さて、次はどこに行こうかね~」
瀬尾幸子さんのそんなひと声で、この「新聞」の企画は動き出します。
「私、前からちゃんこ鍋にすごく興味があるの」と瀬尾さん。
「実は今年になって、浦風親方とお友だちになったのね。
でね、角界でも歴史のあるちゃんこを取材できないか、親方にご相談してみようと思うのだけれど」
ふむふむ。ちなみに、浦風親方は日本相撲協会で審判委員を務め、またの名を「DJ敷島」、現役力士の時代からDJとして活動してきたという、実にユニークな方です。
かくして1カ月後、浦風親方のご紹介があって、角界最古の「伊勢ノ海部屋」の取材と相成ったのでした。
季節は6月。待ち合わせの場所に現れた瀬尾さんは、涼しげな絽の着物姿でした。
「あ、先生すてき!」と思わず言うと、瀬尾さんはにこっとして、
「気持ちとして、正装でお伺いしたくて。着物は二十歳くらいからずっと好きなのよ」
ああ、道理でとても自然に見えます。瀬尾さんの新たな一面に触れた気がしたのでした。

誌面をめくると、ちゃんこ鍋がぐつぐつしている写真とともに、夏の着物姿の瀬尾さんや、半袖の伊勢ノ海親方と浦風親方が並んでいて、「???」と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ちょっと事情がありまして、この取材は6月、しかも真夏日だったものですから……ご理解ください!
いつの間にかすっかり寒くなり、鍋にぴったりの季節になりました。
ご紹介している「瀬尾流スタミナちゃんこ鍋」は、にんにく&しょうが風味のスープがどんな具材にもよく合って、それはもうおいしいんですよ。ぜひぜひ、お試しください。(担当:北川)

掃除に技術はいらない (97号「掃除に一生懸命」)

2018年11月28日

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本屋さんに行くと、掃除のハウツー本がずらっと並んでいる昨今。
限られた時間のなかで、部屋をどうきれいに保つか、みんな試行錯誤なんだなあと感じます。
ハウツー本を開いてみると、道具や洗剤の一覧表、がんこな汚れの掃除法、散らからない収納づくり等々、盛りだくさんの内容です。
とても有益だけれど、こんな思いが去来しました。
「そもそも、掃除って、こんなに難しいことだったっけ?」
ほうきで掃けばゴミが集まり、雑巾で拭けば汚れが取れる。
自分の手を使えば、部屋はきれいになる。
年末に発売するこの号で、そんな当たり前のことをもう一度想起させる掃除の企画を、という思いで形にしたのが、「掃除に一生懸命」という企画です。
この企画では、保育園、銭湯、レストランに、普段の掃除方法を見せてもらっています。どこも、汚れやすいけれど、清潔に保つことが求められる場所。
そしてそれぞれ一般のお家のリビング、お風呂場、キッチンに置き変えられる場所でもあります。
日々の業務の合間に、どんなふうに掃除に手をかけているのか、じっくりとレポートしました(保育園編ではかわいい子どもたちの掃除風景も見ものです)。
実感したのは、その場所の印象を決めるのは、インテリアでも間取りでもなく、まず「掃除が行き届いているかどうか」が大きいということ。
不思議なことですが、隅々まで清潔に保たれている場所は、その場にパッと立つだけで、受ける印象が違うのです。そんな環境で日々過ごすことができれば、どんなに気持ちが良いだろう。清潔がもたらす心と体への影響は、きっと小さくない……。
そんな実感を持って取材から帰り、我が家にウンザリした私ですが(笑)、
もうひとつ分かった事実、掃除に技術はいらないということを救いに(汚れががんこになったら工夫が必要ですが)、とりあえず手に取りやすいところに雑巾を置いてみました。
まずは我が家の1カ所だけでもいい、雑巾を握ってちゃちゃっと拭いてみることから始めてみよう。私と同じように、そんなふうに思ってもらえたら嬉しいです。
(担当:田島)

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カメラマンの松村隆史さんはヒゲがトレードマーク。最初は遠巻きに見ていた保育園児たち、取材の後半ではこんな感じに。

あなたが得意なものがきっとあるはず

2018年11月27日

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あなたが得意なものがきっとあるはず
(97号「みんなで楽しいボードゲーム カードゲーム)

これから、忘年会、新年会のシーズン。家族や親せき、友人と集まる機会が増えます。久しぶりに会う人、初めて会う人がいるときに、話題に迷うことはありませんか。みんなで1つのゲームを囲んでプレイすれば、お互いの垣根がぐっと低くなります。
とはいっても、ゲームには得意不得意があるもの。編集部にも、どんなゲームも大抵勝つという猛者がいます。そんな彼が勝てないゲームも探しました。
ルールを説明した時には「とてもできるとは思えない」と参加者が尻込したものの、おなかが痛くなるほど笑って和やかにできた「ドブル」、いままで勝てなかった人がトップになった「ディクシット」、協力して楽しめる「スコットランドヤード」、ボールを投げるのが楽しい「バウンス・オフ!」、やっているうちにプレイヤーのことが分かってくる「ベストフレンドS」など特長のある12種類のゲームが集まりました。
記事を書くための確認に、録音しながらプレイしましたが、聞き返すと、笑い声がたくさん入っていて、掲載したゲームは、「どれも面白かった!」と好評なものばかりです。
紹介したゲームには、遊び方と感想が添えてありますので、きっと「これならやってみたい、やれそう」というゲームがあることでしょう。(担当:高野)

97号の目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/blog/bookinfo/181124

移ろう色合いも楽しみに

2018年11月26日

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移ろう色合いも楽しみに
(97号「ふたつになる ひとつの飾り」)

12月に入り、年の瀬が近づくと、なんだか気持ちがそわそわしてきます。
今年こそは、リースと正月飾りを手作りしたい! と思うのですが、お恥ずかしいことに、慌ただしさを理由に、買い求めたものを飾りつけることが続いていました。
リースだけならなんとか作れそうなのですが、正月飾りも……となると、なかなか時間がない。
もしも、リースに少し手を加えることで、正月飾りにもすることができたなら……。そんな長年抱いていた思いから、この企画は始まりました。
吉祥寺の花屋・hibiの久野恭子さんにご相談を重ね、今回作り方をご紹介させていただくのは、鳥の巣のような愛らしい赤い実のリースと正月飾り、そして、うねりの美しい紅づるをベースにしたリースと正月飾りです。
不器用さなら誰にも負けない! と自負する私でも、どちらも1時間半~2時間ほどで仕上がりました。
試作したリースを会社の壁に飾り、しばらく経った頃――
作りたての頃よりも、実や枝葉の色合いが深くなっていることに気がつき、そんな移ろいを楽しめるのも、生の草木を使った飾りならではだと実感しました。
今年の年末は、手作りのリースと正月飾りでお部屋を彩ってみませんか。(担当:井田)

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97号の目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/blog/bookinfo/181124

編集長より97号発売のご挨拶

2018年11月24日

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創刊70周年記念企画第二弾は、
16ページ増の冬のお役立ち特大号です。
──編集長より97号発売のご挨拶

編集部のちいさなクローゼット。
夏場はよゆうのあるこのスペースが、だんだん「きつきつ」になってきました。
みんなのコート、厚手のオーバーが掛かり出して、満員電車のよう。
青黄赤緑ベージュ黒……コートの色も、もちろんデザインも、生地も、それぞれ思い思いに選ばれたものです。
そういう好みがばらばらの編集者たちが集まって、ひとつにまとまる。雑誌って、それだから面白いんだよなあ、って、編集長はしみじみ思う。コート眺めて。
今年はおつかれさま。来年も愉しく行こうね!
なんて、そんな季節であります。

あっというま。もう11月下旬で、12月はあっというまに巡ってくる。いつもそんな気がします。
「12月、大きらいや」うちの母は、ずっとボヤいていたものですが、子どものぼくには不思議でなりませんでした。冬休みにケーキに雪遊びにお年玉。お正月の朝は、世界が変わったかのように清潔で、新鮮で。
母に聞けば、クリスマス会の準備、大掃除、年賀状書き、もちつき、しめ飾りつくり(裏山にウラジロを取りに行っていました)、着物の準備、お年玉の用意、おせち料理づくり、買い出し(お正月の三が日はお店が閉まっていました)……「ろくでもない」とのこと。
なるほど、家事全般を担っていた、典型的な昭和の主婦である母のボヤきは、いまではよ〜くわかります。
そんな苦労も知らずに、クリスマスもお正月も、うちの父ときたら、のんきに大勢の同僚を呼びつけて、どんちゃんやっていました。ぼくにはプレゼントやお年玉が増えて、とてもうれしかったものだけれど、母や祖母が台所で眉をひそめてお燗をつけているの図、もよく記憶しています。

昭和は去り、平成も終わろうとしているいま、昔のような「ザ・お正月」という感覚が薄くなり、昭和を生きてきた自分はちょっとさびしく感じています。なんかメリハリがないなあ、なんて。
それでも師走〜新年というものは、なにかと忙しく眩しくうれしく、逆にたいへんで、(母などには)実にいまいましいもの。いずれにしても特別な時節ということは変わらないものかもしれません。

みなさんはどんな冬を過ごされるのでしょう? よいことがたくさんありますように。
『暮しの手帖』最新の冬号は、増ページにして、リース、お正月飾り、かたまり肉の料理、昆布締め、ストール、ボードゲーム……等々、たっぷりのアイデア、読み物をご用意しました。
月曜日からは、例によりまして、各担当者が現場からご報告します。
しばらくおつきあいのほど、どうぞよろしくお願いします。

編集長・澤田康彦

『わたしの暮らしのヒント集4』 いよいよ書店に並びはじめました。

2018年11月22日

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大人気シリーズ4冊目、待望の書籍化。
『わたしの暮らしのヒント集4』 いよいよ書店に並びはじめました。

あの人の毎日が、いきいきと輝いている理由、心豊かに過ごすヒントは、暮らしのなかにありました。
暮しの手帖社の大人気別冊シリーズ、4冊目『暮らしのヒント集4』(2016年刊)を、内容はそのままに、長く多くのみなさまにお読みいただけるよう、保存版として書籍化しました。
本書は、編集者の服部みれいさん、歌人の穂村 弘さん、写真家の潮田登久子さん、写真家・作家の島尾伸三さんなど、取材当時30代から70代までの5世代16人の方々のお住まいを訪ね、毎日を楽しく生きる知恵や衣食住の工夫を伺った、実用性も高い一冊です。
今日からすぐにできる小さなアイデアが満載です。ぜひどれかひとつからでも、始めてみてください。きっと、あなたの暮らしを少しずつ豊かにしてくれるでしょう。
巻頭特集は、「脇 雅世さんのシニアふたりのシンプル献立」。旬の食材を生かして手早くできる、和洋中の楽しい献立を教えていただきました。
もう一つの特集、「三國万里子さんの古着のニット 着る楽しみ、編む楽しみ」は、ニットデザイナー三國さんにとって、おしゃれの基本である古着のニットの魅力を伺いました。

※目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/books/b_1185.html

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お弁当と晩ごはん

2018年11月09日

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お弁当と晩ごはん
(別冊『これで よゆうの晩ごはん』/飛田和緒さん)

10月に発売し、ご好評をいただいております別冊『これで よゆうの晩ごはん』のご案内です。
家庭の料理って、毎日ずっと続くものです。献立を考え、食材を買いそろえ、仕事やほかの家事と並行しながら、マンネリしないように料理する。それが途切れなく続くのですから大変ですよね。
料理のプロとはいえ、料理家もそれは同じこと。仕事とは別に、ご家族の食事を、お弁当を作り続けています。そんな毎日のなかで生まれたおいしいレシピを教えてくださいます。
この本でレシピを教えてくだった5人の料理家のうちのおひとり、飛田和緒さんも、お忙しい日々のなかで、中学生の娘さんのお弁当も長年作り続けています。飛田さんが日ごろやっていることをこう話してくださいました。
「たいへんな作業は、なるべくまとめて一度にやっておきます」
「肉ダネは500gくらい一度に下ごしらえします」
野菜を切っておく、乾燥大豆をもどして煮ておく、肉ダネを作っておく。シンプルな味つけの肉ダネを、たっぷり作っておいて、今日のお弁当のハンバーグに、明日の晩ごはんの餃子に、といった具合。
今回ご紹介いただいたなかにも、市販の白菜漬けを使った豚肉ダネから、「白菜漬け餃子」(88頁)、肉団子にして「台湾風の黒酢入り豆乳スープ」(89頁)、ハンバーグは「白菜入りハンバーグ 大根おろしのせ」(89頁)の3品に展開するレシピを教えてくださいました。一度の下ごしらえで、まったく違った料理になるって、本当に助かります。これぞ、「これで よゆうの晩ごはん」ですね。
本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください。(担当:宇津木)

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2097.html

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半日という時間が、おいしくしてくれる。

2018年11月02日

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半日という時間が、おいしくしてくれる。
(別冊『これで よゆうの晩ごはん』/渡辺有子さん)

家事でも、仕事でも、あらかじめ「ちょっとやっておく」ことって、けっこう大切です。それが後々、自分を助けてくれるのですから。
別冊『これで よゆうの晩ごはん』も、そんなふうに、いそがしい自分を助ける料理の仕方をご提案するものです。
料理家の渡辺有子さんに教えていただいた料理に、「鶏肉の茶葉煮」というのがあります。この本の表紙を飾る料理です。
その名の通り、煮出した茶葉で鶏肉を煮るのですが、そのポイントがちょっと意外です。火を止めて、余熱でじんわりと火を通し、ゆっくり味をしみ込ませるのです。
そういえば、煮ものって、冷めるときに味が染み入るもの。2日目の肉じゃがやカレーがおいしいのは、まさにその効果です。ほうじ茶の風味と調味料の味が、しみじみと行き渡り、しかもしっとりと仕上がります。ぜひお試しいただきたいひと品です。
「料理は段取り。一番おいしい状態で食卓へ」と渡辺有子さんは言います。「下ごしらえ」と「仕上げ」を分け、効率よく調理作業ができるレシピが満載です。
この本は、5人の料理家の方々に139品のレシピを教えていただきました。毎日忙しいけれど、おいしい料理を作りたい。そんなあなたを助けてくれるレシピばかりです。
本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください(担当:宇津木)

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2097.html

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30分で食卓がととのう、シンプルで豊かなレシピ

2018年10月26日

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30分で食卓がととのう、シンプルで豊かなレシピ
(別冊『これで よゆうの晩ごはん』/大原千鶴さん)

大原千鶴さんのお料理は、端正で、簡潔。レシピを見るたび、そのあまりのシンプルさにおどろきます。
たとえば「ブロッコリーとタラのオイル煮」(54頁)。タラとブロッコリーをひとつの鍋で重ねて蒸し煮にする料理で、調味料は塩と日本酒だけ。それなのに、じんわり、しみじみと味わい深い。手順も材料も少ないのに、これだけおいしいのはおそらく、食材本来の味わいを引き出し、引き立てるレシピだから。
塩昆布に金目鯛を重ねて蒸すだけの「金目鯛の塩昆布蒸し」(47頁)然り、軽く焼きつけた鶏むね肉を沸かしたダシじょう油につけておく「鶏ロース」(59頁)然り。副菜の「玉ねぎのきんぴら」(105頁)など、必要なのは新玉ねぎとうす口しょう油とごま油だけ。新玉ねぎの甘味を生かすから、砂糖もいりません。

「料理は段取り」と言う大原さんが、日々の夕食作りにかける時間は、きっかり30分。むだをなくし、前もってちょっとした作業をやっておけば、短時間でじゅうぶん豊かな食卓がととのうのだそう。皆さんもぜひ、考え抜かれた大原さんの簡潔なレシピを活用して、今日の晩ごはんをささっと作ってみてくださいね。

本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください。(担当:島崎)

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・朗読動画シリーズ開始! 『戦中・戦後の暮しの記録』2本を公開します。

2018年10月19日

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この動画は、『暮しの手帖』創刊70周年記念出版として、この夏に刊行した『戦中・戦後の暮しの記録 君と、これから生まれてくる君へ』に収録されている手記のなかから、読み手自身が一編を選び朗読しているものです。
1本目は「スイカ」です。1945年、終戦間近の宇都宮市で義母と二人の子どもを抱えて銃後を守る若いお母さんのお話。連日の空襲と深刻な食糧難の日々のなか、その母親はある驚きの行動にでます。読み手は編集長・澤田康彦。
2本目は「原っぱで」。終戦間もない現・東京都江東区での様子を、当時子どもだった筆者が子どもの目線そのままに綴った、瑞々しい作品です。向かいの原っぱに進駐軍が駐留しはじめるのですが、彼らの周辺には見たこともないものばかり。洋風の家、聞こえてくる素敵な音楽、きれいな髪をしたアメリカの女性。ドラム缶に捨てていったものでさえ宝物のよう。読み手は担当編集者・村上 薫。
今後もシリーズとして、有志の方々にご参加いただく予定です。どうぞご期待ください。
そう遠くはない未来に、戦争体験者のいない時代がおとずれます。ひとりでも多くの方にこの記録を知っていただき、次世代のために語り継がれることを願っています。

朗読 戦中・戦後の暮しの記録 001「スイカ」 読み手 澤田

朗読 戦中・戦後の暮しの記録 002「原っぱで」 読み手 村上薫(編集部員)

晩ごはんを作ることが楽しくなる

2018年10月19日

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晩ごはんを作ることが楽しくなる
(別冊『これで よゆうの晩ごはん』/上田淳子さん)

「どうしてこんなにしっとりして、柔らかいんですか!?」
撮影時にスタッフの間から驚きの声があがったのは、このたびの別冊でご紹介する上田淳子さんのレシピのうちの一つ、「鶏ささみのピカタ」(32頁)を試食していた時のことでした。
目を白黒させる私たちに、「塩と砂糖を溶かした水に鶏ささみを半日つけておくと、味がしっかり入るだけでなく、砂糖の力で保水力が高まるからパサつかないんですよ」と上田さん。
その言葉に、さらにびっくり。たったそれだけの下ごしらえで、こんなにおいしくなるなんて!
上田さんのレシピは、材料も調味料もいたってシンプル。けれど、これまでにないおいしさに仕上がるのは、一つ一つの工程にきちんと理由があるから。そのことをあらためて実感した出来事でした。
この別冊では、それぞれの主菜のレシピの中で、そんな「下ごしらえでおいしくなる理由」もあわせてご紹介しています。
理由がわかると、料理をすること自体が、なんだか楽しくなりますよね。

実は、上田さんは双子の男児のお母さん。二人が小さかった頃は、それこそ目がまわるほど忙しかったため、時間のやりくりに苦労したとのこと。
そうしたなかで少しずつ、晩ごはんを作り続けるための工夫を凝らすようになったのだと言います。
ご自身の経験にもとづいた、作り手にやさしい上田さんのレシピ。ぜひ、日々の晩ごはんにお役立ていただけたらと思います。
本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください。(担当:井田)
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2097.html

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花は生きものだから

2018年10月16日

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花は生きものだから
(96号「切り花のたのしみ」)

「ただいま」と玄関のドアを開け、そこに花があると、ほっとするなあ。そう思うようになったのは、30代も半ばを過ぎた頃だったでしょうか。
お恥ずかしい話ですが、私は「緑の親指を持っている人」とは真逆の、植物を枯らすのが得意な人。だからつい鉢植えは敬遠し、いつも切り花を選ぶのですが、「この花たちを少しでも長持ちさせるには、どうしたらいいのかしら?」と悩ましく思うようになりました。
そこで、今回の特集です。いきなりですが、みなさんは、花を生けた花瓶を毎日洗っていますか? 「当然でしょう」と思った方、では、中性洗剤でしっかり洗っていらっしゃるでしょうか?
……いやはや、私はできていませんでした。水でザザッと洗っていただけ。これでは、水中のバクテリアを繁殖させ、花を弱らせる原因となるそうです。

この特集の書き手は、小誌の連載「すてきなあなたに」でおなじみの、渡辺尚子さん。渡辺さんが、親しい花店の店主、並木容子さんから教わった「花とのつきあい方」は、無味乾燥なノウハウではありません。
きちんと水あげをし、花瓶を清潔に保ってやると、実にいきいきと応えてくれる、花のけなげさ。咲ききった花が最後に見せる、散り際の個性……。
そこには、花を「モノ」としてではなく、対話する「生きもの」として見るまなざし、親愛の情があります。読んでいると、気持ちがふっとなごみ、花をやさしく扱いたくなるような。そう、そんな心持ちこそが、花と長くつきあうための、何よりの秘けつなのかもしれません。(担当:北川)

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暮しの手帖社 今日の編集部