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ほどほどにがんばるには

2020年09月26日

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ほどほどにがんばるには
(8号「献立練習帖」)

毎日の食事作り、本当に大変ですよね。
ひと品作ればよいならともかく、朝昼晩と3食分の献立を組み立てようものなら、頭の中は大忙し。ごはんを食べながら、もう次のごはんのことを考えている。常時、頭の片隅がごはんのことで占められている、と言っても過言ではありません。

試しに、編集部の同僚たちにも「献立に関する悩み」を尋ねてみたところ、

「子どもが食べたがるものと、親の食べたいものが違って、みんなに満足してもらおうとすると用意が大変」
「魚も食べたいけれど、肉に偏りがち。魚はボリュームが出ないから敬遠してしまう」
「彩りにまで手がまわらない。食卓がいまいちパッとしない」

などなど、各人、何らかの困っていることがある様子。
私はこれらの悩みを預かって、京都に暮らす料理家の大原千鶴さんのもとへ相談に訪れました。

すると、大原さんいわく、

「皆さん、ちょっとまじめすぎるかもしれませんね。毎日の料理は、ほどほどでいいんですよ」

せっかくの食事なのに、準備でヘトヘトになってしまったり、カリカリしてしまったりするのでは、本末転倒だと大原さんは言います。
では、どうしたら、ほどほどでも満足のゆく食卓をととえられるでしょう。

そのために押さえておきたい献立のルール、知っていると助かるコツやヒントを教わりました。
(担当:島崎)

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ゆるぎないもの ——編集長より、最新号発売のご挨拶

2020年09月25日

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ゆるぎないもの
——編集長より、最新号発売のご挨拶

窓を開ければさらりと乾いた風が吹き渡り、エアコンをつけずに一日を過ごせる、そんな心地よい季節になりました。
今年の夏は、酷暑はもちろんのこと、その「不自由さ」においてもなかなかにつらく、我慢くらべのようでしたね。誰もがそれぞれの「不自由さ」と向き合いながら、それでも何かしらの楽しみを見いだそうと工夫して、先の見えない日々を歩んできたような気がします。

私たち編集部は相変わらず在宅勤務を基本に制作を続けていて、この8号ではや3冊目、ビデオ通話の打ち合わせなどはさすがに慣れてきました。それでも、取材や撮影で顔を合わせると、なんだかうれしくて、つい一生懸命に話してしまいます。
同じ空間にいて、たがいの表情を見て、声で空気を震わせて言葉を伝えるのが、なぜこんなによいものなのか。その理由はわからないけれど、ビデオ通話の話し合いが「目的地に向かって脇目も振らずまっしぐら」といった印象なのに対して、じかに会って話すことには、「ゆとり」や「遊び」がある感じでしょうか。ちょっとの寄り道や脱線はゆるされて、会話がふわっと、空間のぶんだけ広がってゆくような。

8号の巻頭記事「どんなときも、絵本を開けば」は、東京・原宿で小さな喫茶店「シーモアグラス」を営む坂本織衣さんに、開店してから24年のあいだ、折々に心を照らしてきた4冊の絵本のことを綴っていただきました。
初めて取材に訪れたのは6月のはじめ。お店のある明治通りは自粛期間前の賑わいを取り戻し、マスク姿の人びとであふれていましたが、坂本さんは3月下旬からお店を休業としたままでした。
「どうしたらいいか、わからないんですよね」
久しぶりにシャッターを開けたという店内で、確か、坂本さんはそんなふうにおっしゃったと思います。嘆くわけでなく、つぶやくように淡々と。
そして、壁一面の本棚にみっちりと詰まった絵本から数冊を抜き出し、それぞれの物語について、ご自分のこれまでの歩みに重ねて語ってくださいました。幼いお子さん2人を育てながらお店を開こうとしていた頃、寝る前の2人に読み聞かせては、親子で心をひとつにした絵本。家事、育児、お店の仕事、ご両親の世話に追われる暮らしのなかで、働き者の主人公に自分を重ね合わせて、その日々を肯定できた絵本……。それらの話は、一つひとつがお店にともる灯りみたいに、ささやかで素朴であったかく、希望を感じさせるのでした。
私たちはたぶん、一人ひとりがこうした、「私はこれがとっても好きなんだ。なぜならば……」という物語を持っていて、たびたび胸の内から取り出しては眺め、ときに誰かに語ったりして、生きる支えとしている気がします。
喫茶店で、見知らぬ人たちに混じって過ごすひとときも。人と目を合わせて話すことも。ひとところに集い、演劇や生の音楽に胸を震わせることも。どんな「好き」も、あっさり簡単に手放していいものなど何一つないんですよね。

自粛期間中に「不要不急」という言葉がよく使われ、「自分の仕事ははたして不要不急か?」なんて自虐めいた話題があちこちで聞かれました。私たちの仕事は、自虐でも謙遜でもなんでもなく、「不要不急である」と言えます。雑誌がなくても、衣食住は成り立ちますから。
けれども、たとえば日々のごはんが栄養をとることだけではなく、心に刻まれ、人とのつながりを感じられるものであるために。自分の手を動かして何かをつくり出す、その楽しみとゆたかさを幾つになっても忘れないために。社会の潮流に対して自分はどう考えるのか、その礎とするために。私たち雑誌ができることはまだあるんじゃないかなと信じ、手探りしながら、この8号を編みました。
なお、連載「からだと病気のABC」は、いつもよりも頁を拡大し、新型コロナウイルスの予防対策を中心にわかりやすくまとめましたので、どうぞご参考になさってください。
心がどことなく張り詰める毎日のなか、この一冊を開いて、ご自分の暮らしでゆるぎないもの、大切にしたいものに思いを馳せていただけたら幸せです。
『暮しの手帖』編集長 北川史織

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花森安治選集 全3巻 第2巻『ある日本人の暮し』を発売しました!

2020年09月24日

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花森安治選集 全3巻
第2巻『ある日本人の暮し』を発売しました!

庶民の日常茶飯にひそむ哀と歓。
情感滲にじむモノクローム写真と、
花森の卓越した文章で織りなす、ルポルタージュの傑作!

『暮しの手帖』の初代編集長として30年間指揮を執った花森安治。数々の名物企画を生み出し、昭和の名編集長と評されています。
なかでも、日用品や家電製品の性能を調べる「商品テスト」は有名ですが、花森が最も心血を注いだといっても過言ではない企画が、このルポルタージュの連載「ある日本人の暮し」だったのです。
連載開始は1954年。花森自身が取材に出向いて執筆した期間は14年にわたり、その数55編におよびます。
連載第1回「山村の水車小屋で ある未亡人の暮し」(1954年)と、
第2回「ある青春」(1954年)では、戦後10年近くが経とうとする当時、貧しくとも、必死に生きる女性たちが登場します。密着取材のもと、彼女たちに寄り添うように、書き手・花森はその暮しを記録しました。
きっと手ごたえを感じたのでしょう。これに端を発し、『暮しの手帖』の誌面で取材先を募集するようになりました。
〈この号の「ある青春」は、前号の「山村の水車小屋で」にひきつづいて、いまの日本の、いわば名もない人たちの、ありのままの暮しの記録です。これは当分ずっとつづけてまいりたいと考えておりますが、つきましては、この記録について、みなさまのお力ぞえをいただけましたら、どんなにありがたいかと存じます。
 私の暮しを写してもいい、という方がございましたら、お知らせいただきたいのです。こちらの希望としては、なにか特別なことのない、どこにでもあるふつうの暮し方をしていらっしゃる方なら、どなたでも結構です。都会でも、農村や山村漁村でも、日本中どこでもかまいません。……〉(『1世紀24号』「あとがき」より)

それからというもの、取材先は全国へと広がります。
それぞれに家庭の事情を抱え、さまざまな職業に就き、激動の昭和をひたむきに生きる人々の物語が紡がれていきました。

●「しかし、私たちも明るく生きてゆく」では、ともに耳の聞こえない藤田さん夫婦が、健聴者である娘ふたりを育てる日々が、妻の一人称で語られてゆきます。

●「特攻くずれ」は、17歳で特攻隊員になった木村さん、戦後20歳で郷里に戻るも、町の人からは冷たく「特攻くずれ」と呼ばれ、良い職にもなかなか就けません。そこで意を決し、資格を取って電気屋となり、新天地・大阪へ。電気のこと以外でも、路地裏の貧しい家々をまわり御用聞きをし、人に喜んでもらえる仕事をするうちに、あたたかい世間を感じるようになっていきます。

●「共かせぎ落第の記」には、30歳の機関士・川端新二さんと、26歳の妻・静江さんが登場。夜勤のある夫の新二さんが徹夜明けで帰ってくる家は、6畳ひと間きり。そんなとき静江さんはひとり図書館へ。ふたりの夢はもうひと間。「夢」は「みるだけ」に終らせたくないと必死に思いながら……。

花森は、人情の機微には敏感で、市井の人々の懐に飛び込むと、語るつもりのなかったことや、家計の事情、本音を巧みに引き出し、その人の日常茶飯にひそむ哀歓を見事にとらえました。
まるで、その人の人生を抱きかかえるように見つめ続けた「ある日本人の暮し」。家族を、仕事を愛し、あきらめずに希望をもって生きる人々の、人生の輝きを見つけることができます。いま読んでも、いや、いまだからこそ、いっそう心を打つ記録ばかりです。
ご紹介している本の中面写真の頁は、「共かせぎ落第の記」の夫婦の、
買いたいものをさわってみるだけ、映画も看板を見るだけ、の『「だけ」の休日』シーン。取材にはいつも2名の社員カメラマンが同行し、家族に張り付いたからこそおさえることができた、そんな何気ないけれど映画のような構図の写真も見どころです。
ぜひ、書店にてお手に取ってご覧ください。

外函のデザインに用いた木綿のコラージュ写真は、1965年刊行の『暮しの手帖』1世紀81号の表紙から。もちろん、花森安治によるものです。(担当:村上)

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※目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/books/b_1192.html

書籍『いつもいいことさがし3』刊行!生きている。ただそれだけで素晴らしい。

2020年09月18日

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◎書籍『いつもいいことさがし3』刊行!
生きている。ただそれだけで素晴らしい。

昨年23年の連載に幕を閉じた小児科医・細谷亮太先生のエッセイ「いつもいいことさがし」。完結となる3巻目ができました。

誰でも年齢を重ねていきます。現場から管理へと足場を移し、定年を迎える……。あるいは、子育てからの卒業。そうした変化があります。細谷先生は、小児科医として子ども達に寄りそい、自分の子ども時代を思い出しながら、日々「いいこと」をさがしてきました。この巻では、臨床現場から遠ざかることに戸惑いながらも、いのちの大切さを伝える講演や、重い病気を持つ子ども達が楽しめる居場所作りの活動へと、全国各地を奔走。役割が変わっても、生きていることは素晴らしいと実感させてくれます。

表紙画を描いてくださったのは、細谷先生の友人でもある、画家・絵本作家のいせひでこさん。山形で生まれ育った細谷先生の原風景は、サクランボでなく林檎の木だそう。裏表紙に描かれている林檎の木の花と合わせて、さまざまな色の実が人生の来し方を現わしています。

表紙と各エッセイのタイトル文字は細谷先生の自筆。原稿は毎回、手書きのファックスでいただいていました。小学生のころ字を習われ、自作の句を墨書なさっている、読みやすく味わい深い文字を、読者の方にも是非ご覧いただきたいとお願いしました(表紙はクレヨン、エッセイは鉛筆)。

帯文「『だいじょうぶ』と寄りそってくれる本」を書いてくださったのは、詩人の工藤直子さん。本書にも詳しくありますが、医学生のころから俳句を発表し始め、俳人・細谷喨々(りょうりょう)としても活動する先生が宗匠を務める句会「螻蛄(けら)の会」の仲間です。お二人の対談「詩と俳句と人生と」は9月25日発売の『暮しの手帖』8号に掲載されます。

『いつもいいことさがし3』は9月下旬発売です。お近くの書店で、帯の細谷先生の笑顔がお待ちしています。(担当:高野)

目次は下記のリンクよりご覧いただけます。

暮しの手帖だよりVol.22 summer 2020

2020年09月16日

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絵 ミロコマチコ

あなたが大切にしたい、
守りたい暮らしはどんなもの?
今号は、言葉を軸にして
「平和」のすがたを探りました。

文・北川史織(『暮しの手帖』編集長)

 

各地で新型コロナウイルスの感染者数が増えつつあり、気持ちが落ち着かない日々が続きます。このたび水害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。ご不便が一刻も早く解消され、苦しみや悲しみが癒されますように。

 

*

 

私たち編集部は、春から在宅勤務で制作を続けています。最新号は、撮影を始めようとした矢先に「緊急事態宣言」が出されたため、ある企画は内容を変え、いくつかの企画はギリギリまで撮影を日延べして、さらに発売日を4日延ばすことで、なんとか発行まで漕ぎつけました。お待たせしてしまい、申し訳ありません。
今号の大きなテーマは、「暮らしから平和を考える」。このテーマを考え始めたのは昨年の10月あたりのことで、私の頭にあったのは「戦争と平和」、そして「台風への備え」くらいでした。まさか、世界中の誰もが同じ困難と向き合い、「平和」の希求がこんなに切実なものになろうとは、思ってもみなかったのです。
正直に言えば、「撮影ができないかも」となったとき、過去の記事を再編集して頁をつくろうかとも考えました。それもお役に立つのなら、悪くない手段ですよね。でも、私はどうしても、新しくつくった記事を載せたかったのです。いま、みなさんと同じ空気を吸い、この苦しみを味わっている私たちが、精一杯のものをつくって差し出す。それが大事かもしれないと思いました。
じつは私自身が、このコロナ禍で、大きな不安に押しつぶされそうでした。まだ感染の危険があるなかで、スタッフを撮影に送り出していいのだろうか、という迷い。ビデオ通話で話はしていても、会わずに進めることでコミュニケーションに齟齬が生じ、ひいては出来に響くのではないか、という焦り。
どんな状況下でも、なるたけいい本をつくって、きちんと売りたい。いや、売らなければ、制作は続けていけない。世間でよく言われる、「いのち」と「経済」のどちらが大事なんだ? なんて問いかけは、答えようのないものとして重く胸の底に沈んでいました。そんなのは、どちらも大事に決まっているじゃないか。
みなさんのなかにも、そう心のうちで叫んだ方はいらっしゃるでしょうか? 私たちは、正解が一つではない世界を、迷いながら、悩みながら、歩んでいるんですよね。でも、なんとか自分で道を選んで、歩んでいかなくちゃいけない。それがおそらく、暮らしていくこと、生きていくことだから。

 

**

 

今号の巻頭記事は、「いま、この詩を口ずさむ」。6編の詩と、それに寄り添う写真や絵で構成したシンプルな頁です。
夜更けに食事をつくってテレビをつけると、この数カ月の困窮をぽつりぽつりと語る人が映ります。一方で、そんな他者の生活苦を顧みないような軽々しい言葉、あるいは、なんだか格好いいけれども実のない言葉を発する政治家がいる。SNSを覗くと、「それ、匿名だから言えるんじゃない?」と思うような、毒々しい誹謗中傷が飛び交っている。
言葉って、こんなふうに使っていいものだったっけ。ふと思ったのです。人をまっとうに扱うように、暮らしを自分なりに慈しむように、心から誠実に言葉を発していきたい。不器用でも、言葉は完璧なものじゃないとわかっていても。ここでは、そんな思いを呼び覚ましてくれる詩を選びました。
黒田三郎の「夕方の三十分」は、いまで言うワンオペ育児をするお父さんと娘の、夕餉の前のひとときを描いた詩です。ウィスキイをがぶりと飲み、幼い娘の機嫌をとりながら、夕食の玉子焼きなどをつくる父。そんな父の作業を娘はたびたび邪魔し、やがてひと悶着が起きます。
どんな家でも見られそうな情景ですが、最後の数行を読むと、心がしんとする。ああ、暮らしって、親子って、こういうものじゃないかと思う。ぜひ、島尾伸三さんによるモノクロームの写真とともに味わってみてください。「このところ、しゃべる機会がめっきり減って、口のまわりの筋肉が凝り固まっているようだ」という方、音読をおすすめします。

 

***

 

巻頭に続く記事をご紹介します。
○小林カツ代さん キッチンから平和を伝えたひと
作りやすいレシピと、明るくて親しみやすいキャラクターで知られた料理研究家の小林カツ代さん。彼女が生涯を通して平和を願い、その思いを文筆活動や講演の場で表現していたことをご存じでしょうか? 残された手帳のなかにも、思いの溢れる言葉がたくさん。手帳のほか、著作からもカツ代さんの言葉を引き、娘の石原まりこさん、弟子の本田明子さんにもお話を伺ってまとめました。

○身体をいたわる 夏の中国料理
夏バテなどで元気が出ないときは、日々の食事で身体を整える、食養生の知恵を取り入れてみませんか? 旬の野菜を生かし、ご飯が進むおかずを、料理研究家の荻野恭子さんに教わりました。

○着方いろいろ チベタンスカート
ブランド「えみおわす」が定番とするチベタンスカートは、直線裁ちの布を縫い合わせてつくる、筒状のシンプルな形。腰回りの紐をどう結ぶかなど、「着方」で印象が変わります。私も愛用していますが、ロング丈でも足さばきがよく、動きやすいのです。記事では、このスカートの着こなし方、つくり方をじっくりとご紹介。今回のためにデザインしていただいた「3色使い」もすてきです。どうぞ、ご自分らしいおしゃれを楽しんでみてください。

○アウトドアグッズで揃える わが家の防災リュック
避難時に必要なものを「衣食住」の3つに分けて考え、軽く機能的なアウトドアグッズで揃える提案です。たとえば、速乾性のあるアンダーウエア、避難所で着替えるときの目隠しにもなるレインポンチョ、防水性の高い小分け用の袋など。わが家に必要なものを考えて選び、パッキングすることで、防災への意識を高め、備えを強くします。

○はじめての台所仕事
日々の食事をまかなうことってどんなことか、子どもたちに伝えたい。そう考えてつくったこの記事は、メニューを考え、家にある材料をチェックして買い物へ行き、料理して片づけて……という流れを「ぐるぐる回る台所仕事」と名づけて、イラストで楽しく展開しています。料理だけすれば食卓が整うわけじゃないよ、ということですが、普段料理をしない大人もわかっていないことかもしれません。お子さんが挑戦したいと言ったら、どうか黒子に徹して見守ってください。

 

****

 

今号の表紙画は、画家のミロコマチコさんの描き下ろしの「月桃の花」です。自分でも意外なほど落ち込んでいたとき、「心を照らすような、希望を感じさせる絵を描いていただけませんか」と、ただそれだけをお伝えして待ちました。この絵が奄美大島から届いたときのうれしさと言ったら。「なんだか魔よけみたいだね」とみんなで言い合ったものです。
いまは、この号を傍らの本棚に立てかけ、ときどき表紙に目をやりつつ、秋号を制作しています。取材・撮影がふつうにできること、人と会って言葉を交わせることは、なんてうれしく、ありがたいんだろうと思いながら。私たち一人ひとりが、決して完璧ではないけれども、それぞれに愛すべき暮らしを抱えながら。
つまずいても、悩んでも、日々は続いていくのですね。どうかみなさん、お元気で。心身をいたわって、すこやかにお過ごしください。

 

下記の見開きページの画像をクリックすると、拡大画面でご覧いただけます。

 

◎リーフレット「暮しの手帖だより」は、一部書店店頭にて配布しています。
印刷される場合は、下記のトンボ付きPDFをダウンロードし、A3で両面カラー印刷されると四つ折りリーフレットが作れます。

・暮しの手帖だよりVol.22 PDFをダウンロード

「家庭学校」に皆さまの物語をお寄せください。

2020年08月21日

家庭学校

共に暮らす、または遠くにいる家族への思いを、
800字程度の原稿にまとめて編集部にお寄せください。
「家庭学校」のコーナーでは、つねに、心に響く物語を募っています。

力強くしたためられた文字や、幾度も推敲したであろうメールの文章——。
投稿欄「家庭学校」に日々届く手紙やメールの一通一通に目を通し、
掲載する原稿を選んでいます。
ユーモラスなものもあれば、遠い過去のしんみりとする思い出や、
かけがえのないひとときを描いたものなど、さまざまです。
どれも、その人にしか書けない宝物のような物語。
家族は世界にひとつだけの存在なのですね。
大切な思いを分かち合ってくださる皆さまに、
感謝の思いを抱きながら拝読しています。

連載のなかでは大変人気のあるコーナーで、
いつも読んでくださっている書店員さんから、
「今号の『家庭学校』も素晴らしかった!」と声をかけていただくことも。
もしまだ投稿したことがない方がいらっしゃいましたら、ぜひ、原稿をお送りください。
お待ちしております。(担当:中村)

送り先は下記の通りです。郵便、ファックス、メールのいずれかでお送りください。
〒101-0047
東京都千代田区内神田1-13-1豊島屋ビル3F
FAX/03-5259-6006 E-mail:kateigakko@kurashi-no-techo.co.jp
「家庭学校」係

子育ての悩み相談室 「お悩みを募集しています!」

2020年08月20日

子育て

日々育児に奮闘しているお母さん、お父さんのための
連載「子育ての悩み相談室」も今回で7回目。

今回は、一児の母である編集部員の、
「夫の育児参加」についての悩みです。

「夫は家事をあまりせず、
育児はどこか私任せ。
互いに主体性をもって、家事や
子育てをしたいのですが……。」

優しくも心強いアドバイスをくださったのは、
5号でもご登場いただいた大豆生田啓友先生。
ご自身も三児のお父さんであり、
たくさんの自称「イクメン」のお父さんにも
出会ってきた先生ならではの、
実感のこもったアドバイスをいただきました。

実はこの取材、コロナ禍のためリモートで行われました。
そしてたまたま、わが夫も隣りの部屋で
この取材を聞くことになり……。
取材後の「耳が痛かった」という感想ののち、
なんと、これまで気が向いた時しかしなかった家事を
自ら進んでするようになったのです……。

とそんな効果を生みだした当記事を、
ぜひお父さん方に読んでいただければと思います。

当連載では、随時お悩みを募集しています。
お子さんの年齢と性別、家族構成、
なるべく具体的にお悩みをお書きいただき、
以下アドレスまでお送りください。(担当:小林)

dokusya@kurashi-no-techo.co.jp

小社ホームページにも各種の読者投稿のご連絡先を掲載しております。
※読者投稿のメールアドレスを誤って表記しておりましたので修正いたしました。ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

毎日のお昼ごはんが、もっと楽しくなります

2020年08月12日

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毎日のお昼ごはんが、もっと楽しくなります
(7号「わたしのお昼ごはん日記」)

きょうのお昼ごはんは、何を食べます(ました)か?

忙しい朝の支度から、すぐさま仕事になだれこみ、気づけばもうすぐお昼。
「ああ、もうこんな時間……何を食べよう?!」
と、冷蔵庫をのぞきこんで、あるもので適当に作り、パパッと食べて、また仕事へ……。
4月からはじまった在宅ワーク中のわたしのお昼ごはんは、こんなあり様でした。

料理上手な人たちは、いったいどんなお昼ごはんを食べているのだろう?
そんな好奇心から生まれたのが、この企画です。

写真家の在本彌生さん、画家の牧野伊三夫さん、料理人の後藤しおりさん、イラストレーターの谷山彩子さんに、
毎日のリアルなお昼ごはんの数々を、写真や絵とともに教えていただきました。
忙しい日々でも、お昼ごはんを楽しく、おいしくいただくためのアイデアに満ちています。
簡単なレシピを添えていただいたので、ひとつひとつ真似してみると、「こんなに満足感があるのか!」とびっくり。
お昼を気持ちよく過ごせると、午後の仕事もがんばろう、と思えるようになりました。(担当 平田)

印象がガラリと変わります

2020年08月11日

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印象がガラリと変わります
(7号「着方いろいろ チベタンスカート」)

昨年足を運んだ、とある展示会でのこと。
筒状で四角い形のスカートを前に、「どうやって穿くのかな…?」と困惑していると、
スカートの作者である、「えみおわす」の阿部直樹さんが
声をかけてくださいました。
「内側のひもをウエストの部分で絞って、それから、外側のひもを前や後ろ、横など、
腰まわりの好きな位置で結んでください」

その言葉通りに、まずはひもを前で結んでみると、
裾が広がって上品な印象に。
後ろや横で結んでみると、ポケットが前面に見えてエプロンのような雰囲気に。
結び方次第で印象がガラリと変わるので、
思わず「おおっ」と驚いてしまいました。

チベットの民族衣装から着想を得たデザインだそうで、
使う布地によっても、スカートのシルエットが微妙に変わるとのこと。
そんなお話から、誌面では、夏に心地よいコットン地やリネン、
インド綿のブロックプリントなどを使ったスカートの作り方とともに、
着こなしをご紹介することになりました。

誌面の制作中は、在宅勤務が続き、不安になることも多い日々でしたが、
布を裁ったりして手を動かしていると、不思議と気持ちが落ち着きました。
四角いパーツに切り分けて、直線縫いをしていく……というシンプルな作り方なので、
無心になって縫い進めることができますよ。(担当 井田)

次代につないでいきたいこと

2020年08月07日

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次代につないでいきたいこと
(7号「小林カツ代さん キッチンから平和を伝えたひと」)

小林カツ代さん。
そのお名前を聞いて、あなたが思い浮かべるのはどんなことでしょうか。

テレビ出演の際の明るい笑顔と豪快な笑い声。
簡単でおいしい家庭料理のレシピ。
料理研究家ケンタロウさんのお母さんであること。

私は今までカツ代さんのことを詳しく知らず、
そんな漠然としたイメージしか持っていませんでした。

ところが、カツ代さんが講演会で語った内容をまとめた新聞記事を読んで、とても驚きました。
明るい笑顔の背景に、戦争にまつわる辛い体験と平和を願う強い想いがあったこと、
料理研究家という仕事に大きな誇りを持ち、
家庭料理を通して、平和について提言することを生涯の指針としていたことを知ったからです。

いわゆる「メモ魔」であったカツ代さんは、
大きな衣装ケースから溢れ出すほどたくさんのノートや手帳を残しています。
そこには、日常のメモに混じって、平和を強く願う言葉がいくつも綴られていました。

ご自身のエッセイや手帳に残る言葉、そして弟子である本田明子さんと長女のまりこさんのお話から、
今回の記事を編みました。
カツ代さんが伝えてきた想いを受け取り、何かを感じていただけたらと思います。(担当 田村)

迷ったときの道しるべに

2020年08月06日

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迷ったときの道しるべに
(7号「味つけ便利帖 2」)

5号でご好評いただいた「味つけ便利帖」の第二弾です。
今回は食欲がわかないときでもおいしく食べられるピクルスや、ビンに入れて振るだけのフレンチドレッシング、スタミナのつく回鍋肉や焼き肉など、8品をご紹介します。
前回に引き続き、料理研究家の大庭英子さんにご指導いただき、イラストはくぼあやこさんにお願いしました。

私が一番感激したのはポン酢しょう油でした。これまで市販のものを使っていましたが、手作りの味は甘味がなく、実にすっきりとしているのです。
ちょっとレモンが余ったときや焼きなすを作ろうと思い立ったときにでも、パッとできるのが嬉しいところです。
暑くて料理を考えるのが億劫に感じるときや、今晩のおかず作りで迷ったら、ぜひこの頁をご覧ください。(担当 中村)

・終了:暮しの手帖 お話し会のお知らせ

2020年08月05日

イベントの申し込みは終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

みなさま、こんにちは。

長い梅雨が明けて、夏がやって来ました。
いかがお過ごしでしょうか。
ご存じのように、今年はみなさんで集って語らうような会を催すのが難しくなり、それは当面のあいだ続きそうです。
それではと、私たちは代わりに、インターネットを使ったオンライン配信でトークイベントを催すことにしました。
何ぶんアナログな私たちですが、思いきって、初めてのオンライン配信を試みます。
不慣れなことも多々あると思いますが、どうか、温かく見守っていただけましたら幸いです。

トークイベントの詳細とお申し込み方法は下記の通りです。

暮しの手帖 お話し会 
「キッチンから平和を伝えたひと 小林カツ代さんの願いを受けつぐ」
2020年8月14日(金)19時
現在発売中の『暮しの手帖』7号の記事「小林カツ代さん キッチンから平和を伝えたひと」をお読みいただけたでしょうか。
その冒頭の文章「キッチンの窓から見えるもの」(2004年8月信濃毎日新聞掲載)は、
料理研究家でエッセイストの故小林カツ代さんが講演会で熱く語った内容をまとめたものです。
カツ代さんの言葉が教えてくれるのは、私たちが日々の暮らしで営む何気ないことが命を育み、平和を編み出しているということ。
今回の会では、カツ代さんに30年以上師事された一番弟子の本田明子さんから、カツ代さんがキッチンから伝え続けた「平和への想い」についてお話しを伺います。
聞き手は本誌編集長の北川史織です。
何かと落ち着かない日々ですが、オンラインにて、
みなさんとよきひと時を過ごせますことを楽しみにしています。
定員100名で、お申し込みが定員を超えた場合は抽選となりますが、ご了承ください。
どうぞ、下記の要領でお申し込みをお待ちしています。

<オンライン配信 詳細>
●配信日時:8月14日(金)19時~20時 終了予定
●配信方法:ZOOMのウェビナーを使った配信
(みなさまのお顔は映りません。視聴のみ可)
ZOOMへのサインインは不要ですが、事前の登録手続きが必要です。
配信当日は、あらかじめメール配布されたURLとパスコードの入力があります。
※当日18時半ごろより開場(配信テスト)を行いますので、接続が不安な方はお早めにご参加ください。
●定員:100名
●参加費:無料
●申し込み方法:
下記URLよりお申し込み手続きをしてください。(申し込み締め切り:8月10日 23時)
※定員の100名を超えた場合は抽選となります。

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/event_0814/

申し込み締め切り後、開催2日前の8月12日(水)に当選者の方のみ、暮しの手帖 お話し会事務局より登録用のメールをお送りいたします。


暮しの手帖社 今日の編集部