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野菜メインのシンプルな作り置き

2022年05月30日

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野菜メインのシンプルな作り置き
(18号「『まずひと品』の中華冷菜」)

「作り置き」と聞くと、ちょっと腰が引けてしまうのは、
わたしだけでしょうか。
以前は休日にまとめて作っていましたが、
素材が多かったり、レシピが複雑だったりすると、
完成と同時にぐったり疲れてしまうのでした。

でも今回、中華料理を得意とする料理家の今井亮さんに
教えていただいたレシピは、
野菜1種を中心とするシンプルなものばかり。
クミン、唐辛子、紹興酒、オイスターソースなどの
スパイスや調味料を使えば、一気に深みのある味わいになります。

多めに作って冷やしておけば、蒸し暑い季節に冷蔵庫からさっと出せて、
夕飯作りに余裕が生まれます。
紹興酒漬けは、おつまみにもぴったりです。
どうぞお試しください。(担当:中村)

胸元に、心弾むモチーフを

2022年05月27日

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胸元に、心弾むモチーフを
(18号「刺繍のブローチをひとつ」)

日差しが強くなってくると、何も羽織らずに、
カットソーやTシャツ1枚で出かけたくなりますね。

彩り鮮やかなブローチを胸元につけたら、
いつもの装いに変化がついて、なんだか心も弾みそう——。
そう思った時に頭に浮かんだのが、
金沢在住の刺繍作家、髙知子(たか・ともこ)さんの作品でした。

髙さんの刺繍は、幾何学模様や花など、心が浮き立つモチーフばかり。
今回は、初心者の方でも刺しやすいように、
1種、または2種のステッチでできる図案を考案していただいたのですが、
同じステッチのくり返しなのに、驚くほど表情豊かに仕上がるのです。

髙さん曰く、「アップテンポな音楽に合わせて刺繍を刺すと、
リズムにのって、うまく刺せるんです」とのこと。
さっそく試作の時に試してみると、糸を引くスピードが一定になるためか、
普段よりも、不思議と針目が整うような気が……!

シンプルなステッチは、無心になって刺せるのもうれしいところ。
お好きな音楽をかけながら、刺繍を刺すひとときを、
お楽しみいただけたらと思います。(担当:井田)

大好きなあの味を分けあって

2022年05月26日

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大好きなあの味を分けあって
(18号「カステラをおすそ分け」)

ケーキとも和菓子とも異なる、独特のおいしさのカステラ。
みなさんはお好きでしょうか?
私は大好きで、時々食べたくなると贔屓の店で買い求め、
ひとりで一本ぺろりと食べてしまうこともあります。

今回ご紹介するのは、市販のものより口当たりが軽く、
絶妙な甘さに手が止まらない、とっておきのカステラです。
料理家のこてらみやさんに、長年作り続けてきた焼き方を教わりました。

材料は、玉子、砂糖、強力粉、牛乳、ハチミツ、それにざらめ糖とシンプル。
手順をよくよく確かめながら、たどたどしく試作を進めました。
しかし、そこはこてらさんが細やかな調整を重ねてくださったレシピです。
自宅の小さな電気オーブンでも、会社のガスオーブンでも、
失敗なく、おいしく焼けました。

新聞紙の型を作るのがすこし大変かもしれませんが、
一度作れば繰り返し使えて、専用の型を買わなくてよいのも気楽です。
1台は約20cm角と大きく、日持ちもしますから、
ぜひ、半分はどなたかにおすそ分けしてください。
ご紹介しているラッピングのアイデアも素敵ですよ。(担当:佐々木)

今日をほがらかに生きる

2022年05月25日

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今日をほがらかに生きる
――編集長より、最新号発売のご挨拶

最近、instagramを見ていると、軒下の巣に寄り添うツバメのきょうだいたちの写真が次々に投稿されています。添えられたコメントからも、「季節の風物詩」を愛おしむ気持ちが伝わってきて、なんだか心がほのぼのします。こんなとき、私が決まって開くのは、学生時代から使っている『ハンディ版 入門歳時記』。燕、乙鳥、つばくろ、つばくらめ、初燕、飛燕……。例句として、こんな句が並んでいます。

夕燕われにはあすのあてはなき 一茶

町空のつばくらめのみ新しや 中村草田男

一句目に、いまのウクライナの人びとの状況を思わず重ねてしまったのは、私だけでしょうか。二句目は、若々しいツバメが颯爽と空をゆくさまが目に浮かぶようです。
さてさて、さわやかな季節の到来。最新号の表紙は、ツバメのまなざしでどこか異国の街を眺めるような、初夏の風のきらめきが感じられる絵です。広島在住の画家、nakabanさんに描き下ろしていただきました。

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巻頭記事「わたしの手帖」で取材にお伺いしたのは、浪曲師の玉川奈々福さん。みなさんは、演芸場やYouTubeなどで浪曲を聴いたことはありますか? 私は両親(戦後生まれ)が聴いていた記憶もなく、以前は「はて、浪曲とは? 講談とはどう違うのかな」という認識でした。あれはちょうど2年前、6号(2020年の初夏号)の取材のときのこと。「はじめてのお楽しみ」という連載で浪曲がテーマとなり、浅草の「火曜亭」で玉川奈々福さんの浪曲を初めて聴いたところ、すぐさま虜になってしまったのです。
まず、登場人物たちはたいてい、熱血漢で情に厚く、おっちょこちょいだったり涙もろかったりと、やたら人間くさい。物語は基本的に、「人と人のつながりっていいものだな」と思えるような人情噺。そして、語りのあいまに挟まれる朗々とした歌声の素晴らしさといったら。胸にどすんと響き、涙が出て、くよくよしていた心もすーっと晴れていく……これはもう、くせになります。
一方で、浪曲はその「心を強く摑む技」ゆえに、第二次世界大戦中は戦意高揚に利用されたという歴史があります。戦後、日本人が経済的に豊かになり、人のつながりが薄れていくと、反比例して浪曲人気は落ち込んでいきました。いっときは、もはや懐古趣味、過去の遺物のようにも捉えられていた浪曲の世界に、なぜ、奈々福さんは飛び込んでいったのだろう? お話を聞いてみたいと思いました。
じつは奈々福さんはもともと、ある老舗出版社の編集者。鶴見俊輔さんや井上ひさしさんほか、錚々たる編者たちの力を得て日本文学全集を編んだ経歴もあり、「言葉」に対して豊かな感性をお持ちです。インタビューは、きらっと光る言葉がどんどん飛んできては、「なるほどなあ」と深くうなずくような、なんとも贅沢なひとときでした。
なかでも胸に残ったのが、「今日をほがらかに生きる」という言葉。いまは「不安の時代」とも言われ、私たちはつい、「○○すれば幸せになる」とか「○○しなければ将来は不安ばかり」といった惹句や宣伝文句に心をからめとられがちです。しかしながら、今日という一日にしっかりと向き合い、本音で誰かと語らって、おいしいごはんを味わい、満足をおぼえながら眠りにつく……たとえば、そんな自分なりの「幸せの指針」を持つことが、あんがい大事なのではないか。そう思うのです。
それは、社会の課題や、自分の暮らし以外のことには関心を持たなくていいとか、そういった意味合いではけっしてありません。自分の手を動かして築いた暮らしは、社会にしっかりと張った根っこ、ある揺るぎない価値観になる。そこから社会を見つめれば、この満ち足りた暮らしをどうしたら持続させていけるか、おのずと深く考えられるものではないでしょうか。
もうすぐ、選挙の季節がやってきます。何かを選ぶのは簡単ではないけれど、考え、語りあい、私たち一人ひとりの「こう生きていきたい」という願いを一票にたくす。いつだって、誰もが無関心ではいられないアクションです。
今号も、旬の素材を生かした料理、あの人におすそ分けしたいカステラ、夏服にぴったりの刺繍のブローチ、動物の福祉を考える記事など、暮らしのなかの「幸せ」や「大切なこと」のいろいろを編み、ぎゅっと詰め込んだ一冊をお届けします。どうか、お役に立てますように。

『暮しの手帖』編集長 北川史織

シンプルだけれど、満たされる

2022年04月08日

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シンプルだけれど、満たされる
(17号「玉子が決め手」)

こんにちは、編集長の北川です。
朝からバタバタとしていてお昼を迎え、冷蔵庫をのぞいても、めぼしい食材がない、というとき。それでも玉子がいくつかあると、ちょっとほっとして、「さて、何をこしらえようかな」という気持ちになりませんか?
私がこのところ、在宅ワークの遅いお昼につくったのは、「玉子ソースのパスタ」です。主な材料は、玉子と生クリーム、チーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)。ショートパスタをゆでる間に、フライパンでにんにくをじわじわと熱し、玉子を溶きほぐしてザルで漉し、生クリームとチーズのすりおろしを混ぜておく。ついでに、サラダもつくっておく。
パスタがゆであがったらフライパンに移し、玉子液をゆっくりからめ、トロッとしたら、黒コショーをカリカリッと挽きかけて出来上がり。ごくシンプルなひと品ですが、あと味もやさしく、満たされた気持ちになりました。
これは、今号の記事「玉子が決め手」で、長尾智子さんに教えていただいた料理のひとつ。ほかにも、目玉焼きを半分に折ってカリッと焼いた「半月玉子」、ベシャメルソース代わりに玉子液をまわしかけて焼く「カリフラワーのグラタン」、玉子がふわっふわの食感に仕上がる「玉子スープ」と、思わずつくりたくなる、つくったら楽しい気持ちになる、そんな料理が並びます。
発売からはや10日以上がたちますが、instagramをのぞくと、トップに据えた「蒸し玉子」をつくってくださっている方が多く、とてもうれしいです。油はほとんど使わず、蒸し時間は3分程度、慣れたら、好みの加減で火を入れやすいのも重宝なレシピです。
『暮しの手帖』のレシピをお試しになり、instagramやTwitterで投稿されるときは、ぜひ、#暮しの手帖 とつけていただけたら。私たちは、そんなご投稿をおおいに励みにしています。(担当:北川)

親も子も後悔しないように

2022年04月07日

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親も子も後悔しないように
(17号「家をたたむ、その日のために」)

私の両親は、ともに70代。
実家は数年前にリフォームをして、
その時に両親が大掛かりな片づけや不用品の処分をしました。
以来、押し入れやタンスの中はかなりスッキリしていますし、
必要なものがすぐに取り出せる状態で、とても生活しやすそうです。
そのため、じつは今号でこの企画を担当することになった時、
「親の家をたたむ」ということの大変さについて、
あまり実感が湧きませんでした。

しかし、経験者からお話をうかがううちに、
数十年ぶんの思い出や生活用品の詰まった家を
決まった期日までにすべて片づけなければならないという状況では、
さまざまな苦労があることを知りました。
時間やお金の負担だけではなく、
残すものと捨てるものを急いで判断しなければならないため、
のちに「捨てなければよかった」「もっとゆっくり考えればよかった」と
後悔が残ってしまったと話す方もいました。

こうした後悔をしないためにも、
「親が主体的に取り組める元気なうちに、親子で片づけをしましょう」
と、生前整理の専門家である渡部亜矢さんは言います。
片づけによって、室内で転倒するリスクなどを排除して安全・快適に暮らせるようになり、
親子で取り組むことで、貴重品や重要品類について共有する機会にもなるとのこ
と。
親子のコミュニケーションの取り方や、
どこからどのように進めると片づけが進みやすいかなど、
渡部さんにさまざまな疑問に答えていただきました。

『暮しの手帖』の読者層はとても幅広く、
親と子、どちらの立場の方もいらっしゃいます。
そのため、どちらの立場で読んでも役立つものとなるようにと意識して編集しました。
わが家はどうする? と話し合うきっかけにしていただけたら嬉しいです。(担当:田村)

その生きづらさはなんのせい?

2022年04月06日

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その生きづらさはなんのせい?
(17号「枝元なほみの 食べる、生きる、考える」)

この連載は毎号、料理家・枝元なほみさんが
気になる人をゲストに迎え、
一つの社会的なテーマを取り上げて
おしゃべりするという対談企画です。

17号では「現代女性が感じる生きづらさ」について
考えてみよう、とテーマのほうが先に決まりました。
さて、誰をお呼びするのがよいかしら……。

フェミニズムの権威?
女性の人権について運動する活動家? 
悩んだ末、辿り着いたのは、コラムニストや
ラジオ・パーソナリティとして活躍するジェーン・スーさん。
女性として生きるなかで感じる
モヤモヤやイライラを開かれた言葉で語ってきたスーさんなら、
きっとこのテーマに適任でしょう。

けれど、対談がはじまるや、スーさんは
「最近、女性は生きづらいとは言いづらくなっちゃった」とぽつり。
コロナ禍で性別を問わず、
みんなが経済的に苦しくなってしまったからと言うのです。

なるほどもはや、男性、女性どちらが生きづらいか、
と考えるのは、あまり意味のないことなのかもしれません。
問題は、なにがその生きづらさを生んでいるのか、
どうすればそこから脱することができるのかということ──。

都会でバリバリと働いて生きる独身女性、
という共通点はありつつも、
性格も、年齢も、考え方も大きく異なるふたりが、
意見を交わしながら考える、格差について、搾取について。
ぜひ読者の皆さんも、「私はこう思う」と
心で対談に参加しながら、読んでいただけたらと思います。(担当:島崎)

お互いを思いやる気持ち

2022年04月05日

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お互いを思いやる気持ち
(17号「わたしの好きな ふるさとのお菓子」)

子どもの頃、楽しみにしていたおやつはありますか?

私の大阪にある実家の近所には、くるみ餅が人気の甘味処があり、
小さい頃は母と一緒によく食べに行きました。
メニューはくるみ餅のみ。
レジカウンターで注文すると、木でできた番号札をもらって空いている席につきます。
せわしない店内で、その使い込まれた木の札を握りしめながら、
まだかまだかと待つ時間が、とても懐かしく、深く記憶に残っています。

ふるさとのお菓子には、お菓子の美味しさとともに、
幼い頃の感動や嬉しさがやさしく寄り添っているように感じます。

今回、取材にご協力いただいた8名の方々にも、心が温まる物語がありました。
話に花が咲き、長居してしまうこともしばしば……。
思い出のお菓子とともに、必ずと言っていいほど、お母さんやおじいさん、
叔父さんなどが登場し、人のあたたかさにも触れることができました。

日本全国の美味しいお菓子と共に、
すてきな物語をお楽しみいただければと思います。(担当:山崎)

同じ地球に暮らす仲間として

2022年04月04日

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同じ地球に暮らす仲間として
(17号「アマゾン先生の夢」)

「アマゾン先住民の生活道具を、物々交換で2万点も集めた方が、山形にいらっしゃるんですって」
そう聞いたわたしの頭の中は、
「アマゾン? 山形? 物々交換??」たくさんのハテナと、
「なんだか面白そう! 気になる!!」びっくりマークでいっぱいになりました。

昨秋、それらの道具がATELIER MUJI GINZAで展示されると聞き、足を運んでみることに。
植物の枝や葉で作られたカゴやザル、カラフルな鳥の羽根で作られたアクセサリー、木彫りの楽器やおもちゃなどなど、
プリミティブな力強さと繊細な美しさ、ほっとする懐かしさがあり、じっくりと見入ってしまいました。
「これらの道具を2万点も集めるなんて、一体どんな方なんだろう」
早速、持ち主の山口吉彦さんに取材を申し込みました。

山口さんは山形県鶴岡市在住の80歳。
ご自宅で保管している道具を見せていただきながら、これまでの人生について伺いました。
特に、アマゾンで過ごした日々を話す時は、臨場感たっぷりで、目が輝きます。
飾らないお人柄は子どもたちにも人気で、いつの間にか「アマゾン先生」と呼ばれるようになったのだそうです。

なぜ山口さんは、これらの道具を集めるようになったのか。
そして、アマゾン先住民と過ごすことで得た気づきとは。
「人はみな対等であり、地球に暮らす仲間」と語る山口さんのお話は、
海の向こうで戦争が始まってしまった今、胸に響きます。
みなさんもアマゾン先生のお話に、ぜひ耳を傾けてみてください。(担当:平田)

春をよぶ布

2022年04月01日

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春をよぶ布
(17号「部屋を彩る、スラッシュキルト」)

わが家は全体的に茶系のインテリアで、たまにはきれいな色味を
取り入れたいな、と時々想像を膨らませるのですが、
なかなか実行できず、季節がめぐるばかり。

そんななか、ある展示で、
白や水色、青、鮮やかなピンクの布が重なり合った、
美しい色合いの布を目にしました。
立体感のある独特の風合いに、じっと目を凝らしていると、
「それは、スラッシュキルトという技法で作られているんですよ」と、
会場の方が教えてくれました。
キルトと聞くと、緻密な作り方なのかな? と
ハードルが高そうに感じられましたが、
「スラッシュキルト」は、何枚かの布を重ねて縫い合わせ、
切り込みを入れて、洗いにかけるだけ。
すると布が起毛して、独特の風合いが生まれるとのこと。
こんなふうに、彩りのきれいな布を仕立てて、
部屋にひとつ飾ったら、それだけで気持ちが華やぎそうです。

この記事では、作品の作者である高井知絵さんに、
スラッシュキルトの作り方、そして、キルトを施した布で
クッションカバーやラグを仕立てるアイデアを教えていただきました。
高井さんは、風呂敷や手ぬぐいの絵柄をそのまま生かしたり、
着なくなった服や余り布を使ったり、素材の選び方もとても自由。

切り込みを入れた段階ではペタンとしていた布が、
洗いをかけて乾かすと、ふわっと起毛する変化も楽しいですよ。(担当:井田)

手間も楽しめたら

2022年03月31日

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手間も楽しめたら
(17号「木の家具を手入れする」)

私事ですが、昨年のちょうど今頃、引っ越しをしました。
新居には、愛用のオイル塗装のテーブルと椅子を置きましたが、
何もかもが新しい暮らしの中、ちょっとくたびれて見えました。
購入して7年、これまで自己流で手入れしていたつもりでしたが、
表面はささくれ、触るとざらざら……。
テーブルに対して申し訳なくなり、ちゃんとした方法を知りたいと思ったのが、
「木の家具を手入れする」を企画したきっかけです。

ご指導いただいたのは、日本を代表する家具メーカー、
飛驒産業株式会社の大橋総美(おおはし・さとみ)さん。
同社は、ウレタン、ラッカー塗装の家具も含めて幅広く扱っていますが、
今回はオイル塗装を中心とした手入れ方法を教えていただきました。
使う道具は、紙やすり、オイル、ワックスなど、いずれも入手しやすいものばかりです。
取材後、わが家のテーブルで試したところ、
やすりがけは、まるで古い角質を落とすようで、
オイルを塗ればぐんと浸透し、内側から輝くようなツヤが生まれました。

オイル塗装の家具には、定期的なメンテナンスが必要です。
ウレタン、ラッカー塗装と比べると、手間がかかるのは確かですが、
木を慈しみながら、経年変化による味わいを楽しめます。
今回ご紹介している方法は、コツさえ押さえれば
誰でも簡単にできるものばかりです。
ぜひお試しください。(担当:中村)

ふるさとは守るもの

2022年03月30日

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ふるさとは守るもの
(17号「小林夫妻のピノ・ノワール この土地と生きる」)

八ケ岳の西麓、長野県は原村で農業を営む
小林桂子さんと峰一さん。
誠実で温かくて、会えばいつでも素直な気持ちで
おしゃべりできる、そんな魅力に溢れた夫妻です。
地元の豊かな自然を愛し、
環境負荷の少ないユニークな暮らしを
自分達ならではのやり方で実現してきました。

数年前、峰一さんから、
「ここ数年、ワインづくりにのめり込んでいて」
と教えてもらっていました。
でもその時の私は「ずいぶん凝った趣味だなあ」と思っただけ。
ブドウを栽培し、ワインを醸造して、販売するなんて、
素人がそう簡単に実現できることではない、と思い込んでいたのです。

でも、不可能と思われることを、
独立独歩、コツコツやって実現するのがこのふたりです。
思えば、地元の自然を守るために
メガソーラー施設の建築に反対運動を起こした時も、
そうした粘り強さで勝利したのです。

夫妻の壮大なワインづくりの計画と、
そこに込められたふるさとへの思い。
この記事を通して、
土地を守り、土地と生きることの尊さを
伝えられたらと願っています。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部