1. ホーム
  2. > Blog手帖通信

マンネリにさようなら

2022年07月26日

c5_019_02_men

マンネリにさようなら
(19号「夏のアイデア麺」)

夏になると、気温の上昇と比例するように、わが家の食卓には麺料理が並びます。ただ、そこまでレパートリーがあるわけではなく、マンネリになりがちに……。

うちも同じ! と思われた方にぜひお試しいただきたいのが、今号でご紹介する、アイデア溢れる6品の麺料理です。

植松良枝さんには、シンプルな調味料でできるエスニックな麺を、ワタナベマキさんには、煎り酒ダシにつけながら食べる香菜そばと、おもてなしにも喜ばれそうなカッペリーニを、代々木上原の人気中国料理店「ジーテン」の吉田勝彦さんには、まかないでも大人気だというアジアの屋台風の和え麺を教えていただきました。

撮影は3日間に分けて行ったのですが、「こんなに手軽に作れるのに、こんなにおいしいなんて!」と、撮影スタッフは毎回大興奮。

それぞれ全く異なるおいしさなので、「今日は豆苗としらすのベトナムふう麺」「明日は焼きとうもろこしと青唐辛子のカッペリーニ」というように、たとえ麺料理が続いても、きっと飽きずに楽しめますよ。(担当:井田)

平和が「あたりまえ」であるうちに

2022年07月25日

c5_019_01_top

平和が「あたりまえ」であるうちに
――編集長より、最新号発売のご挨拶

このところ、帰宅の道すがら「あれ食べたいなあ」と思い浮かべるのは、冷ややっこ、きゅうりとワカメの酢の物、キンと冷えた夏野菜の揚げびたし……。暑い日が続きますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
今号の表紙画は、絵本作家の荒井良二さんによる「『あたりまえ』のような一日」。思えば、荒井さんに絵を依頼したのは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2週間ほど経った頃で、私たちは「戦争と平和」を考える特集を組みたいと手探りしていました。
「『私たちは平和を選びたい、そして幸せに暮らしたい』という思いが伝わるような絵を描いていただけませんか?」
そんな依頼状をお送りし、お会いして2時間ばかりおしゃべりしたのですが、荒井さんは「うーん、平和を描くってむずかしいなあ」とおっしゃいました。そうですよね、むずかしいですよね……。
やがて届いた下絵は、画面中央にアコーディオンを弾く妖精のような木が立ち、梢のなかには、ランプやソファ、お茶のセットなど、「暮らし」を彷彿させる愛らしいモノがこまごまと描かれていました。木の外側の世界には、踊る人びとや活気のある市場、遠くには港の風景。ああ、なんだか明るくて楽しくて幸せそうだ。
この絵に荒井さんが寄せてくださった言葉をご紹介します。

あたりまえのように朝が来て、日が昇り鳥がさえずり、
あたりまえのように空を見て、あたりまえのように食卓にごはんが並ぶ。
あたりまえのように仕事や学校や遊びにでかけ、
あたりまえのように誰かと話し、あたりまえのように笑う。
あたりまえのように紛争や戦争のニュースを見て、
あたりまえのようにお茶を飲む。この「あたりまえさ」は
「どこ」から来るのだろう、誰が作ったのだろうと
ぼんやり考えながら家路につく。そして、あたりまえに夜が来る。

「平和」というのは、平和であり続ける限り、まさに空気のように「あたりまえ」に思えるのかもしれません。いま、私たちが「平和」や「戦争」を考えるとき、先の戦争を懐古的に振り返るのではなく、何か身に迫ったものとして捉えるようになったのは、ウクライナへの侵攻があって以来、「平和はあたりまえじゃないのだよ」と耳元でささやかれているからなのだろうと思います。
平和はあたりまえではないから、勝ち取らなければならない。弱い国はいじめられる。他国から攻められたら、いったいどうするんだ。
そんな声がしだいに大きくなって、熟考しないまま、まっとうな議論のないまま、なし崩し的に変えられていくのかもしれない。恐ろしいと思います。

今号では、いまの状況を見つめながら、私たちなりに「戦争と平和」を考えた特集を編みました。「小林まさるさんの七勝八敗人生」と「戦争を語り継ぐために」の2本です。なんらむずかしい記事ではありませんし、同時に、何か明快な答えが書かれているわけでもありません。
心を落ち着けて考えてみたい人へ。まわりの人たちに「どう考える?」と問いかけて、話をしてみたい人へ。これらの記事が、ある「よすが」となることを願っています。
私をはじめ、ほとんどの編集部員は親の代から戦争を知らない世代であり、迷ったときに「よすが」とするのは、創刊者で初代編集長の花森安治の言葉です。1969年の『暮しの手帖』より、花森の文章をご紹介します。

この日本という〈くに〉を守るためにはどうしたらいいかという議論ばかりさかんだが、そのまえに、それなら、なぜこの〈くに〉を守らねばならないのかという、そのことが、考えからとばされてしまっている。
そんなことはわかりきったことだというだろう。
そうだろうか。
ためしに、ここで誰かが「なぜ〈くに〉を守らねばならないのか」と質問したら、はたしてなん人が、これに明確に答えることができるだろうか。

私たちは国のために生きるのではなく、私たちの暮らしのために国があるんですよね。今号も、一人ひとりのかけがえのない暮らしに、小さな灯りをともせたらと願って編みました。どうか、お役に立てますように。

『暮しの手帖』編集長 北川史織

※荒井良二さんが世田谷美術館の収蔵品から作品を選び、その魅力を紹介する展示が8月6日(土)より開かれます。花森安治の絵も展示されますので、ぜひお運びください。
「荒井良二のアールぶるっと! こんなに楽しい世田谷美術館の収蔵品」

おしゃれは、 明日の世界を作る力

2022年06月16日

oshare42-43

『暮しの手帖』を創刊した花森安治は、1946年、
その前身となるファッション誌『スタイルブック』に、
おしゃれは、「私たちの明日の世界を作る力」だと綴っています。
装うこと、おしゃれすることが、
今の私たちにどんな力を与えてくれるのでしょう?
取材を通して実感したエピソードをご紹介します。

「生き方も装いも誰かが決めた『相応』は気にしない。
どんな時も、自分を粗末にしてはいけない」
そう話してくれたのは、
特集「おしゃれと暮らしのヒント集」でお話を伺った、
浅野庸子さん・79歳です。
赤、ピンク、ブルー。鮮やかな色を纏い、
日々、古道具店の店番を勤める庸子さん。
しかし8年前、突然夫を亡くしたことから、
数年間、黒い服しか着られなくなってしまいました。
「喪に服すとか、そういうことではなくて、体が色を受け付けなかった」
庸子さんが、また前を向こうと気持ちを奮い立たせたとき、
「おしゃれ」が大きな力になりました。
庸子さんと、庸子さんを支えた家族のお話は
ぜひ誌面でお読みいただけたらと思います。

oshare66-67

もう一つ。
「いつだって、おしゃれは楽し」は、
カメラマンの中川正子さん・小禄慎一郎さんと編集部が、
海辺の町へ出向いて出会った人々のファッションSNAPの特集です。
「より良いもの、より美しいものを求めるための切ないほどの工夫、
それを私たちは、正しい意味の、おしゃれだと言いたい」と綴った
花森の言葉を体現するかのような、工夫溢れる自由な装いの人々。
思い思いの装いとはじけるような笑顔を、ぜひご覧ください。(担当:長谷川)

「おしゃれ心」に 灯をつける一冊です

2022年06月15日

oshere54-55

『暮しの手帖』の創刊者である大橋鎭子と花森安治。
二人がはじめて手掛けた雑誌は、
女性のためのファッション誌『スタイルブック』でした。
衣食住、すべてが足りない戦後の暮らしのなかで、
タンスに眠る古い着物をほどいて作れる
「直線裁ちの服」を提案し、
全国から本の注文が殺到したそうです。
この本の始まりに、こんな一文があります。

かなしい明け暮れを過してゐるときこそ
きよらかな おしやれ心に灯を點けよう

戦後と今の暮らしを比べることはできませんが、
長いステイホーム期間を経て、
この言葉がじんわりと沁みてきます。
「たとえ人に会う機会がなくても、
自分を保つために、前を向くために、
おしゃれは必要なことなんだ」
そう感じたことから、今回の別冊
『おしゃれと暮らし』の制作が始まりました。

なかでもお読みいただきたいのが、
「配色レッスン 2022年版」という特集です。
これは『スタイルブック1946秋』にあった
「たのしい配色表」という企画に触発されて生まれたもの。
当時の誌面は、今回の本の表紙にも使われています。

ズラリと並んだ配色案を眺めるだけで、
おしゃれしたい気持ちがウズウズしてくるはず。
お気に入りの配色を見つけて、手持ちの服で
“一人ファッションショー”をしてみてはいかがでしょうか?

oshere112-113

『スタイルブック』の意思を引き継ぐ企画がもう一つ。
「石徹白のはかまパンツ」という、直線裁ちで作る日常着の特集です。
教えてくださったのは、
岐阜県の石徹白という集落に住む平野馨生里さん。
平野さんは、地元の人々が作り続けてきた衣服を
現代ふうのデザインに作り直し、今に伝えています。
布の無駄が出ず、動きやすさも抜群の「はかまパンツ」、
ぜひお好きな布で、作ってみてくださいね。(担当:田島)

・別冊『おしゃれと暮らし』訂正文

2022年06月15日

暮しの手帖別冊『おしゃれと暮らし』にて、クレジットに誤りがありました。
22~27頁の伊藤まさこさんの頁では、
ヘアメイクの草場妙子さんにご協力いただきましたが、
9頁にあるスタッフクレジットに、
草場妙子さんのお名前を掲載しておりませんでした。
読者の皆さま、ならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを、
深くお詫び申し上げます。

別冊『おしゃれと暮らし』発売中です。

2022年06月14日

oshare_hyoushi

以前、木工作家さんを取材した時のことです。
木を膝で挟むようにして作業するため、ジーンズの膝の内側がすぐに擦り切れてしまうといいます。
彼女はそこに布を当て、様々な色の余り糸で縫い付けていました。
配色を楽しむかのように、自由奔放に布の上を走らせた糸は、とてもおしゃれに思えました。

『暮しの手帖』創刊編集長の花森安治は、1946年の『スタイルブック』の巻頭言で、こう述べています。

oshare4-5

oshare6-7

おしゃれ、といえば何か、さしせまった毎日の暮しとは係りのない、浮いた遊びごとか、ひまがあってお金があって、というひとたちでなければ出来ないことのように考えられてはいないでしょうか。
そんな風なおしゃれも、たしかにこの世の中にはあるかも知れない。
けれども、そんな、お金さえかければ美しくなれるとか、ひまがないから、おしゃれが出来ないとか、
毎日の暮しから浮き上がってしまった遊びごとなら、
私たちは、おしゃれのことなど考えることは要らないと思います。
ほんとのおしゃれとは、そんなものではなかった筈です。
まじめに自分の暮しを考えてみるひとなら、誰だって、
もう少し愉しく、もう少し美しく暮したいと思うに違いありません。
より良いもの、より美しいもの求めるための切ないほどの工夫、
それを私たちは、正しい意味の、おしゃれだと言いたいのです。
それこそ、私たちの明日の世界を作る力だと言いたいのです。
 
別冊『おしゃれと暮らし』を制作するにあたり、この言葉を大切にするように心掛けました。
作家の小川糸さん、刺しゅう作家の神津はづきさん、スタイリストの伊藤まさこさんなどから、
暮らしから生まれた「おしゃれ」の工夫を教わったり、
いま、クローゼットにある服で新鮮なコーディネートができる配色を考えたり、
誰もができるおしゃれのヒントを集めてみました。
ただ、ここにあるのはあくまでもヒントです。
暮らしの必要や生活を楽しくしたい、という気持ちに真摯に向き合い、試行錯誤を繰り返す、
その過程を楽しむ姿勢こそが「おしゃれ」なのかもしれません。

別冊編集長 古庄 修

oshare8-9

目次はこちらをご覧ください。
ご購入はお近くの書店、もしくはオンラインストアで。

住まいに「自然」を呼び込んでみたら

2022年06月07日

c5_018_10_shizen

住まいに「自然」を呼び込んでみたら
(18号「自然翻訳家の生活術」)

こんにちは、編集長の北川です。
昨秋のことですが、マンションの玄関ドアの前に、真っ赤なカエデの葉がぽつんと落ちていました。おそらく、お隣さんが丹精している植木鉢から飛んできたのかな、と拾い上げて推理しつつ、なにか妙に心ひかれて、ガラス瓶に挿してみました。ああ、きれいだなあ。
みなさんも、散歩の途中や旅先で、美しい落ち葉や石、流木などに目が留まると、思わず持ち帰って飾ってみたくなりませんか? 何に役立つというわけでもないのに、なぜなのでしょうね。
この記事の主人公、蜂須賀公之(はちすか・まさゆき)さんの職業は自然レンジャー。日頃、東京都内の大きな自然公園を管理し、人々が自然とつながるためのガイドをされています。
その住まいは、おもに仕事を通して見つけた「自然のかけらたち」でいっぱいです。壁のそちこちに飾られているのは、なだらかなアーチを描く間伐材の枝。棚に並ぶ大きな広口瓶の中には、ふわふわの綿毛や乾燥キノコ、木片など。照明にはユーカリなどの草木が吊るされていて、灯りをともすと浮かび上がる陰影がなんとも美しい。
毎日、自然に囲まれて仕事をしながら、なぜ、蜂須賀さんは住まいをこのような「自然のかけらたち」で満たしているのだろう? それにはきちんと理由があり、確かな「効用」もあるのでした。
なお、掲載した写真はすべて、蜂須賀さんがこれまでの暮らしで撮りためてきたベストショットです。テーブルの上に転がるように現れる木漏れ日や、いっせいに開いたノボロギクの綿毛……。私たちの日常はきっと、こんな「またとない瞬間」の連続なんですね。(担当:北川)

器を楽しむコツ、お教えします

2022年06月06日

c5_018_09_utuwa

器を楽しむコツ、お教えします
(18号「器じょうずになりたい」)

時々、家の食卓風景を写真に撮ることがあります。
ある日、それらの写真を見返していて、
「あれ、なんだかいつも同じ器ばかり使っているな」
と気がつきました。

コロナ禍になる前は、毎年、益子や笠間の陶器市に出かけて
お気に入りの器を買い集めていました。
それなのに、気づかぬうちに、それらを箪笥の肥やし、
ならぬ、食器棚の肥やしにしていたようなのです。

なぜ、私は同じような器ばかり使ってしまうのか。
好きな器なのに、どうも使いにくいと感じるのはなぜなのか。
どんな器なら、料理がおいしそうに見えるのか……。

この企画は、そうした疑問やお悩みを、
器のプロであるスタイリストの岩﨑牧子さんに投げかけ、
お答えいただこうというもの。
器をもっと楽しむための、コツやヒントをお届けします。(担当:島崎)

新たなおいしさに出合えます

2022年06月03日

c5_018_08_nasu

新たなおいしさに出合えます
(18号「なす七変化」)

これからの季節、よりいっそうおいしくなる「なす」。
数ある野菜の中でも、ちょっと特別な存在だと思いませんか?
揚げたり焼いたりすると、油をよく吸って食べごたえが出ますし、
グリルで焼くと香ばしく、蒸すとみずみずしいおいしさが味わえます。

こんなふうに幾通りもの味わいが楽しめるなすですが、
いざ自分で料理するとなると、
手っ取り早く炒めものにしたり、みそ汁に入れたりすることが多く、
そのおいしさを存分に味わいきれていていないことが、
もったいないなと思っていました。

そこで、「野菜のなかでも、特になすが好き」
と話す料理家の渡辺康啓さんに、
なすをいろいろに味わえる7品を教えていただきました。

イタリアやアジア各国で食べた味を再現するのが得意な渡辺さん。
こんがりと焼いたなすを韓国風のさわやかなナムルにしたり、
蒸してから炒めものに使ったりと、ほほうと唸る発見がいっぱい。
ちょっとした切り方の工夫や調味料使いで、
定番の「なすのステーキ」や「麻婆なす」もワンランク上の仕上がりに。
おもてなしにもぴったりの洒落たイタリアンやエスニック料理まで、
なすの新たなおいしさに出合えますよ。(担当:平田)

個性は壁にあらわれる?

2022年06月02日

c5_018_07_kabe

個性は壁にあらわれる?
(18号「壁を飾る」)

絵や写真、ドライフラワー、子どもの工作などを、
自宅の壁に飾ってみては、
なんだかバランスが悪くて、イマイチ気に入らない……。
それがここ数年の私の悩みでした。

取材に訪れたお宅で、
大小さまざまな額に入った絵やカラフルな雑貨が
絶妙なバランスで壁に飾られている様子を見ては、
「どうしたらあんなふうに飾れるのだろう」
「きっとコツがあるに違いない」
と憧れのため息をつくばかり。

ふだんの取材では、「壁に飾ってあるものをじーっと見るのは失礼かしら」と
遠慮がちに眺めるのが常でしたが、
今号はなんといっても「壁」の特集。
6名の方のお住まいを訪ね、
とっておきの壁を堂々と、じっくり拝見できて感激でした。
また、上手に飾るヒントや壁を飾る楽しさについてお話をうかがい、
私の“壁を飾りたい欲”はむくむくと再燃しています。

好きな作家の絵や自作のスワッグ、古道具やアンティークの刺繍などが並ぶ、
6つの個性あふれる壁の写真を、どうぞ細部までご覧ください。
そしてあなたも、好きなものを自由に楽しく壁に飾ってみませんか? (担当:田村)

健康なうちからはじめることをおすすめします

2022年06月01日

c5_018_06_genen

健康なうちからはじめることをおすすめします
(18号「おいしい減塩はじめよう」)

みなさまは、健康のために日々の食事で意識されていることはありますか?
いま、ちまたでは「たんぱく質をとろう」とさかんに言われていますね。
年齢を重ねても丈夫な足腰で暮らすためには、たんぱく質をしっかりとること。
その重要性をご存じの方も多いと思います。

栄養士で料理研究家の今泉久美さんは、こうおっしゃいます。
「たんぱく質も大事だけど、減塩も大事よ。
日本人は世界的に見ても塩分を多くとっていて、1日の摂取量の目標値をはるかに上回っているの。
けれども、健康だと、塩分を意識している人はあまりいないのよね」

塩分過多の食生活を続けると、高血圧や心臓病などの発症リスクが高まるそうです。
そういえばわたしも、年々血圧が上がっているのが気になっていました。
職場の先輩たちからも、「持病のために減塩しているけど、難しくて……」という声を聞きます。
そこで今泉さんに、どうしたら上手に減塩できるか、ご指導いただくことにしました。

まずは、1日にどれくらいの塩分をとっているかを知ることからスタート。
わたしの1日の献立を書き出して塩分量を計算してみると、目標値をゆうに超えています。
市販のおそうざいは保存のために塩分が多く含まれているので、減塩を実践するなら自炊が一番なのです。
調理の際に少しずつ減らすコツや、外食や中食でもできる工夫も伺いました。
また、今泉さんがこれまで作り続けてきて、おいしいと太鼓判を押す減塩レシピを教わり、試作を兼ねて毎日食べるようになりました。

2週間ほどたったある日、近所のラーメン屋さんで昼食をとった時のことです。
ひと口食べて、「しょっぱい……!」と感じました。
今泉さんによると、人の味覚は2週間ほどで変わるのだそう。
わたしもいつの間にか、うす味に慣れていたのを感じた瞬間でした。

わたしたちの体を作るのは食べ物。何を食べるのかを選ぶのは、自分です。
今回の減塩チャレンジにより、小さな努力の積み重ねで、体が変わることを実感しました。
みなさまにとって、この記事がご自身の体や食事について考えるきっかけになれば、うれしく思います。(担当:平田)

「かわいい」や「かわいそう」を超えて

2022年05月31日

c5_018_05doubutu_

「かわいい」や「かわいそう」を超えて
(18号「動物のいのちを考える」)

編集部でリモート会議をしていると、
時に、愛らしい珍入者がやってくることがあります。
部員たちの飼っているペットです。
類は友(部員?)を呼ぶのか、小誌編集部は猫派が優勢なよう。
保護猫をもらい受けたり、野良猫を自ら保護したりして飼っている人が多く、
ペットショップでは見かけない、いわゆる「雑種」の猫たちが、
「こんにちは」とばかりにパソコンの画面を覗いてきます。

欧米では、犬猫の生体販売(ペットショップで動物を陳列して販売すること)の
禁止が進んでいるといいます。
生体販売は、なぜ禁止されるのでしょうか。
日本もじきにそうなるのでしょうか。
そのほうがいいのでしょうか。

この企画は、そんな素朴な疑問からスタートしました。

動物たちが置かれる環境の向上に取り組む
公益社団法人 日本動物福祉協会をはじめ、
行政施設として保護動物の譲渡や処分にあたる動物愛護センター、
生体販売をやめたペットショップ、
野良猫のTNR活動(地域猫活動)に取り組む団体に話を伺いました。

立場は違えども、
「動物が人間社会でどう扱われるべきか」について真剣に考え、
各々の信念に基づいて行動する方たちへの取材をすすめるうちに、
私は、「当初考えていたよりも、動物をめぐる問題は根深いぞ」
と思うようになりました。

みなさんは、この方々のお話に、どんなことを思われるでしょうか。
ぜひ、ご感想をお寄せいただけたらと思います。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部