『暮しの手帖別冊 お金の手帖Q&A』特別企画 和田靜香さん×井手英策さん
「今日よりも明日はすばらしい」。すべての人が、そう信じられる社会にするために。
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◆はじめに
コロナ禍が続いた2021年、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』という長いタイトルの本が、世の中の話題をさらいました。著者は、フリーライターの和田靜香さん。タイトルの通り、アルバイトでつなぐ自らの生活の不安を、国会議員である小川淳也さんにぶつけた問答集です。
反響が続くなか、和田さんは次に『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』を発表。2冊ともに、徹底して庶民の視点から政治、経済を見つめた、いままでにない本になっています。
同じ年、私たちは『暮しの手帖別冊 お金の手帖Q&A』という本を出版しました。
お金をテーマにしたのは、コロナ禍によって、世界が危機を迎えていて、多くの人がお金についての強い不安を抱えていると感じたから。
「年金はどうなる」「子どもの教育費は」「病気になったら」……そんな不安を一つずつ解きほぐす本にしようという思いのもと、日本経済が抱える課題と、家計を守る方法の両方を、とことん解説した1冊にしました。
和田さんの本と、私たちの本の共通点は、「個人的と思える不安の根っこには、日本の社会問題があるのでは」という大きな問いをテーマにしたこと。そして、井手英策さんという経済学者の存在です。
『お金の手帖Q&A』では、井手さんに「長引く不況の原因は?」「税金ってなんだ?」といった、この本の根幹となる章の解説をお願いしました。
他方、『時給はいつも最低賃金、~』の文中にも、井手さんの著書からの引用が幾度も出てきます。
「井手さんの本なしには、この本は書けなかった」という和田さん。
「和田さんと井手さんが話したら、きっと多くの人の胸に迫る、深い議論になるのでは……」
そう感じた私たちは、お二人の対談を企画。
税金について、民主主義について、学ぶことの意味について、思いもよらない方向にどんどん膨らんだお二人の対談を、全5回で、たっぷりお届けします!
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【プロフィール】
和田靜香(わだ・しずか)
相撲・音楽ライター。1965年千葉県生まれ。『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共著)で2021年貧困ジャーナリズム賞を受賞。ほかに『おでんの汁にウツを沈めて』『世界のおすもうさん』(共著)など。
井手英策(いで・えいさく)
慶應義塾大学経済学部教授。1972年福岡県生まれ。専門は財政社会学。日本銀行金融研究所、東北学院大学、横浜国立大学を経て現職。著書に『どうせ社会は変えられないなんてだれが言った?』『ふつうに生きるって何?』『欲望の経済を終わらせる』『壁を壊すケア』など。2015年大佛次郎論壇賞、16年度慶應義塾賞を受賞。
【目次】
第1回 経済学は、お金持ちのための学問?(公開日:8月9日)
第2回 経済のことを知らなくても、生きていけるけれど(公開日:8月10日)
第3回 自分とは違う意見に、どう向き合う?(公開日:8月11日)
第4回 「権利や自由のために闘う」ということ(公開日:8月12日)
第5回 人は何のために学ぶのか(公開日:8月13日)
*別冊『お金の手帖Q&A』はこちらからご購入いただけます。
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写真・上山知代子/イラスト・killdisco/協力・飯田英理/構成・編集部