話しかけるように描く
(34号「黒田征太郎さんの絵手紙」)
北九州の門司港にアトリエを構え、85歳になったいまも創作を続けている、イラストレーターの黒田征太郎さん。黒田さんに初めてお会いしたのは、作品展が開かれていたギャラリーでした。
「僕はただ、絵を描くのが好きなんですよ。あと、昔から郵便が好き」
そう話しながら、画用紙をハガキくらいの大きさに手で切り、ゆっくりと花の絵を描いてくださった様子が印象に残っています。
黒田さんは、今でもほぼ毎日のように絵手紙を出します。そのとき心に思い浮かんだ絵を描き、言葉を何も添えずに出すことも。けれども、その絵手紙からは不思議と「元気ですか」「ありがとう」など、黒田さんの言葉が聞こえてくるようです。
誌面では、「アニキ」のような存在だったという作家の野坂昭如(あきゆき)さん、そしてともにデザイン事務所「K2」を立ち上げた盟友でもある、デザイナーの長友啓典(けいすけ)さんへの絵手紙をご紹介しています。黒田さんのお話に耳を傾けていると、つたない言葉や絵でも構わないから、大切な人にまっすぐな思いを届けたい。そんな気持ちが湧いてきます。(担当:井田)
話しかけるように描く
2025年01月27日