土地の暮らしを見つめる旅へ
(33号「角田光代 知らない沖縄を旅する」)
こんにちは、編集長の北川です。
毎号、いろんな読み物を載せている『暮しの手帖』ですが、首都圏など近場だけではなく、全国あちこちの土地の暮らしが垣間見えるような一冊にしたいな……と意識して編んでいます。33号なら、北海道富良野市で撮影した記事がある一方で(「毎日おんなじ、それがいい アムさんとカトキチさんの18年」)、作家の角田光代さんが沖縄県那覇市を中心に巡った紀行記事があり、という感じです。
角田光代さんといえば「旅する作家」として知られ、日常を描写したエッセイからは、食いしん坊ぶりが伝わってきます。そんな角田さんに「沖縄を旅し、この土地ならではの食文化に出会った経験を綴っていただけませんか?」と依頼して、この企画は始まりました。
編集を担当したのは、角田さんと長いお付き合いがあり、いまは沖縄で暮らしている長嶺陽子さん。撮影は、沖縄出身・在住の大湾朝太郎さん。驚くほど具沢山な味噌汁定食や、手の込んだ宮廷料理、やちむんの窯元「宮城陶器」と、取材先はバラエティーに富んでいます。
そうした「食にまつわる経験」のほか、角田さんが紙幅を割いて著しているのは、たまたま出会った「お盆」の情景と、そこから見えてくる人々の死生観のようなもの。これによって、土地の暮らしを身近に感じられる、より深みのある紀行記事になりました。
たっぷり10頁の中に、色鮮やかであたたかい風景写真を盛り込んでいます。角田さんと一緒に、「知らない沖縄」を歩いてみてください。(担当:北川)