苦手だからこそ

2024年11月25日

苦手だからこそ
(33号「わたしの手帖 阿川佐和子さん」)

あれはまだ、夏の盛りのことでした。「こんにちは! 暑いわね」と言いながら、撮影スタジオにひとりで現れた、作家の阿川佐和子さん。さっと自分でメイクを直すと、「どれくらいの大きさの写真? あんまりアップにしないでね」と笑い、すっとカメラの前に立ちました。その振る舞いの、なんと自然で気さくなこと! 初対面ながら、一気に魅了されてしまいました。

阿川さんは、ホストを務める週刊誌の対談連載で、実に1500人以上の人と対話してきた、いわばインタビューのエキスパート。それなのに「インタビューは苦手ですよ」と話します。SNSとは異なり、相手と顔を合わせて、時間を共有する楽しさと怖さ。慢心せず、苦手なことに挑戦し続ける心構えとは。阿川さんの謙虚でフラットな人柄が感じられる取材になりました。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部