別冊『100歳おめでとう 影絵作家 藤城清治』発売です
別冊 暮しの手帖の新刊は、『100歳おめでとう 影絵作家 藤城清治』。近年は暮らし周りのテーマが続いていたので、少し意外に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、藤城さんの影絵作家としての歩みは、『暮しの手帖』での連載が始まり。初代編集長の花森安治が、その才能に目を留め、創刊号(1948年)に声をかけたことがきっかけでした。花森の提案で同誌第2号に登場した影絵童話は、以後、名物連載として長きにわたって読者を魅了しました。
藤城作品の代名詞とも言える、こびとや動物たちが躍動する、メルヘンチックな影絵。その誕生の背景に、藤城さんの「戦争体験」があることはあまり知られていないのではないでしょうか。藤城さんは大学時代に学徒出陣や親友の死を経験。戦後、焼け野原となった東京を前に、悲しみに暮れつつ、「絵を描く材料なんて何もなかった。けれど、焼け残った廃材があればきれいな影がつくれる。光さえあれば何でもできる」と、影絵の制作を始めたのだと言います。
女優の芦田愛菜さんとのスペシャル対談では、そんな影絵の誕生秘話のほか、慶應義塾での学生時代や戦時下のお話を伺っています。取材と文は、文筆家の大平一枝さんが担当くださいました。大平さんは、実は20年以上前に刊行された別冊太陽の「藤城清治特集」の担当編集者。当時、藤城スタジオに通い詰めていたそうです。そんな藤城さんをよく知る大平さんだからこそ伺えたことは多く、貴重な内容の対談となっています。
今回、藤城さんにお目にかかる度に、100歳とは思えぬ熱量に、そして、その根底にある「生かされていることへの感謝」「生きるよろこび」に感銘を受けていました。その熱量(チャーミングなお人柄も!)を余すところなくお伝えしたい。その思いのままに編んだ結果、別冊としては大作の168頁となりました。藤城さんの今なお燃え続ける情熱を、ぜひたっぷりと感じていただけましたら幸いです。(担当:須藤)
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