女性の9人に1人が罹患しています

2024年10月10日

女性の9人に1人が罹患しています
(32号「知っておきたい乳がんのこと」)

日本では、毎年9万人以上の女性が乳がんと診断されています。女性のがんの中で最も患者数が多く、その割合は9人に1人。家族や友人、職場の同僚など身近な人の中に乳がん経験者がいるという方も多いのではないでしょうか。
乳腺専門医の坂東裕子先生は、「乳がんの治療は日進月歩です。早く見つかれば治りやすいがんの一つなので、ぜひ前向きに治療を受けてください」と話します。乳がんの標準治療には、がんの性質や広がり方によってさまざまな選択肢があり、患者は担当医と相談しながら納得のいく選択をする必要があります。また、将来の妊娠の可能性を残す「妊孕性温存療法」や、手術で切除した乳房を「再建」するか否かなど、人生設計や価値観によって選択する場面も。今回は坂東先生監修のもと、一般的な治療の流れやさまざまな選択肢について解説します。
さらに、治療と仕事の両立のために知っておきたいこと、必要な費用、家族や友人への告知方法などについて、患者と家族の支援に携わる社会福祉士の坂本はと恵さんに教えていただきました。
今回の取材で私が特に心を動かされたのは、乳がん経験者2名にお話を伺ったことです。お二人とも診断時は「まさか」という気持ちで目の前が真っ暗になったとのこと。現在は治療を終えて仕事にも復帰してらっしゃいますが、経験が誰かの役に立つならばと当時を振り返ってくださいました。その中で60代の方が語った「がんになりたくはなかったけれど、悪いことばかりではなかった」という言葉は特に印象的でした。自分でとことん調べたり、担当医に尋ねたりしながら納得のいく選択を重ね、家族もそれを尊重して支えてこられたのだろうなと感じた言葉でした。
いつか自分や身近な人が乳がんと診断された時のために。まずはこの記事を読んで、早く見つかれば悲観する病気ではないこと、治療にはさまざまな選択肢があること、治療と仕事は両立できることなどを知っていただけたらと思います。(担当:田村)


暮しの手帖社 今日の編集部