光と風の、気持ちのいい場所。

2024年09月30日

光と風の、気持ちのいい場所。
(32号「描きたくなる旅 糸島編」)

「懐が深くて、明るい人。男惚れするほどなんだ。平川さんがつくっている『またいちの塩』。これが、おいしいんだよ」。
画家の牧野伊三夫さんがそう話すのは、福岡県・糸島半島のとったんに工房を構え、昔ながらの製法で塩をつくる平川秀一さんのことです。牧野さんは、平川さんのお人柄と、味わい深くておいしい塩に感動して『塩男』という絵本をつくったほど魅せられています。

今回は、牧野伊三夫さんが会いたい人・平川秀一さんに会いに、糸島を訪ね、心動かされた風景や人を描く旅に同行させてもらいました。
この旅は7月中旬の、梅雨明けももうすぐ……という頃です。天気予報では雨マークでしたが、到着すると、そこは気持ちがいいほどの晴天で、平川さんは、浜甘草(はまかんぞう)という百合に似た花を手に、太陽のような笑顔で迎えてくれました。
牧野さんはキャンバスを何枚も準備して、早朝から絵を描きます。

ポタポタポタポタ……竹と丸太で組まれた、「立体式塩田」から落ちてくる海水の雫。寄せては返す、穏やかな波の音。スタッフの方々の笑顔、笑顔。本当に気持ちのいい場所で、みなさん汗をかきながら、いきいきと働いておられる姿が印象的でした。
そして、ここでつくられている塩は、自然からの恵みと、人の情熱の結晶だと、つくづく感じ入りました。
牧野さんの絵と文章とともに、糸島の太陽の光、心地よい風をお届けします。(担当:佐藤)


暮しの手帖社 今日の編集部