地元・浅草の楽しみ
(27号「行事でめぐる浅草暮らし」)
「浅草」と聞いて、何を思い浮かべますか? 浅草寺、雷門、そば屋や和菓子店、花やしきなどがあり、年中賑わう観光地というイメージを持つ方が多いでしょう。そんな浅草に住んでいる写真家のローラン麻奈さんに、日々の暮らしについて綴っていただきました。
「浅草暮らし」というと、いかにも和風な感じがしますが、誌面は本格的な樅の木のクリスマスツリーの写真から始まります。
麻奈さんは、嫁入り道具として、正月のお重と屠蘇器を幼い頃から準備されるような家庭で育ちます。一方、アメリカ好きの父や、フランス人の夫の影響で、様々な国の文化に親しむようになりました。
麻奈さんのご自宅は、戦後、下駄の鼻緒問屋を営んでいたという借家で、和洋折衷の一風変わった造り。洋室にはクリスマスツリーを、和室の床の間には正月の餅花と鏡餅や、雛祭りにはご実家から受け継いだ雛人形を飾ります。
めぐる季節を心待ちにし、行事にちなんだ「食」やしつらえを愉しむ麻奈さんの日常には、和洋の季節のお菓子がふんだんに登場します。食いしん坊の麻奈さんならではの描写も楽しく、読んでいるとお腹がすいてきます。そして、「地元・浅草」を感じられるのでした。(担当:平田)