ごきげんでいるために
(26号「ずっと、食べていく 本田明子さん」)
「ごはんを作って食べるときだけは、きげんよく楽しみたい。大切にしているのは、そのことくらいかな」
取材中、料理家の本田明子さんの言葉にドキッとしました。前日に晩ごはんを作っていたとき、時間に追われてついイライラしてしまった自分の姿が浮かんだのです。
「わが家にもそれなりにいろんな出来事があって、理想を手放さないと暮らしが成り立たないような時期もありました。それでもなんとか笑って、日々のごはんを作り続けてきたの」
ご家族が闘病中だったときのことを振り返りながら、本田さんはそう話してくださいました。
誌面では、そんな本田さんがいま実践している生野菜やゆで野菜、ゆで鶏などの「下準備」とともに、それらを使って手軽に作れる料理をご紹介しています。
また、一人暮らしのお父さまのためにこしらえている作り置きの中から、「切り身で作るブリ大根」「牛肉とトマトときのこの煮込み」「里いもの煮っころがし」「サバみそ」の4品を教えていただきました。
日々の暮らしは、ゆとりのある日もあれば、心も体も疲れている日もある。だから、そのときどきで気持ちを切り替えて、「どうすれば穏やかでいられるか」を考えてみる。その方法の一つとして、本田さんのお料理を思い浮かべて、作ってみていただけたらうれしいです。(担当:井田)