台所から生まれた、ユニークで愛らしい図案
(創刊75周年記念別冊「台所にある図案 花森安治の絵を刺繍に」)
ある日、『暮しの手帖』のバックナンバーをめくっていた時のことです。1954年に発行された、1世紀27号の「台所にある図案」という記事に目がとまりました。
「たとえば台所のいろんな器具も、
その目でみれば、またちがつた味の、
たのしい図案になりそうである」
誌面ではそんな言葉とともに、初代編集長の花森安治が描いた泡立て器やフライ返し、コーヒー茶わんなどの図案が紹介されています。なかには、蛇口や焼き魚をモチーフにしたユニークなものも!
これらの図案をハンカチやキッチンクロスなど、身近なものに刺繍してみたい……。そんな思いがむくむくと湧き、刺繍作家の髙知子(たか・ともこ)さんにご相談してみると、「コーヒ茶わんは、サテンステッチがいいかな。蛇口のモチーフは、チェーンステッチがおすすめ」などなど、図案に合ったステッチを提案してくださいました。
暮らしの中に楽しさを見いだす、花森の眼差しが感じられる図案の数々。ぜひお好きなものをひとつ、刺してみていただけたらと思います。(担当:井田)