還暦を迎えた、自然体の新境地
(24号「わたしの手帖/片桐はいりさん 鍛えるべきは愛嬌です」)
テレビや映画、舞台で存在感を放つ、俳優の片桐はいりさん。4年前の本誌4世紀100号で、ステーキの焼き方を教わる企画にご登場いただきました。その時の、積極的に先生に質問し、すかさずメモをとる片桐さんの姿が忘れられません。食べることが大好きで、好奇心旺盛。俳優というと、特別な世界を生きているイメージがありましたが、わたしたちと変わらない生活者なのだろうな、と親近感がわき、いつかじっくりとお話を伺いたいと思っていました。
片桐さんの地元、東京・大森の喫茶店で待ち合わせると、荷物カゴ付きの電動自転車にのって颯爽と現れ、店員たちと親しげに挨拶をします。ふだんの服装で商店街で買い物をし、ボランティアで「もぎり」をする映画館では20代のスタッフたちと真剣に話し込みます。
自然体の姿で、大森の街にすっと溶け込む片桐さん。コロナ禍を経て、さらに今年還暦を迎えて、以前より身軽になったと話します。飾らない片桐さんの言葉を聞いていると、こちらまで心が軽くなり、元気が出るのです。「鍛えるべきは愛嬌です」という言葉と、その意味を聞いて、片桐さんが多くの方に愛される理由がわかった気がしました。みなさまもぜひ誌面で、「今」の片桐さんの言葉を味わってみてください。(担当:平田)