おろし金は、大きいほうがいい
(新連載「温故知新の生活道具」)
こんにちは、編集長の北川です。
しだいに寒くなってくると、食べたくなる料理の一つが「みぞれ鍋」です。子どもの頃は、「ほら手伝って」と母から皮をむいた大根を手渡され、テレビを見ながらシャリシャリと。そんな身の入らない様子では、大根おろしはさっぱり進まず、「もう用意ができちゃうよ」と怒られたりしました。あのときの「おろし器」は樹脂製で、斜めになった「受け」がついていたような。
今回の記事でご紹介する「おろし金」は、京都の「有次(ありつぐ)」が製造販売するもので、銅板を叩いて作られています。おすすめのサイズ「十」は、タテ28センチ、最大幅13センチほど。はじめに見たときは、「家庭用にしては、ちょっと大きいのでは」と思ったものですが、いざ大根をすべらせてみると、すーっと軽い力ですりおろせて、じつに快適。これは、面の部分が大きく、目立てした刃が鋭いからだといいます。
調理道具を変えたら、それまでおっくうだった作業がぐんとラクになり、料理を楽しめるようになった。誰にでもそんな経験が一つや二つあるはずですが、だからこそ、道具は自分の暮らしを見つめながら、よくよく考えて選びたいものですね。この連載では、職人の手仕事をテーマに取材をしてきた編集者・藤田優さんが、取材で出合って愛用している「生活道具」を、毎回一つずつご紹介します。
どうしてこのおろし金は使い勝手がいいのだろう? 日々の手入れの方法は? そんな話題が盛り込まれたコラムです。新しい道具選びの参考に、お手持ちの道具を大切に使い続けるために。ぜひご活用ください。(担当:北川)