野菜への気遣い
(19号「野菜の保存手帖」)
おいしそう!と、新鮮な野菜を買っても、すぐには食べきれず、ダメにしてしまうことはありませんか?
私は野菜を買ったままの状態で野菜室に放置し、気づいたら葉物がしなびていたり、きゅうりが凍ってしまったり……。ごめんなさいと、野菜に謝ることが何度もありました。
今回、料理研究家の本田明子さんと、築地場外市場で促成野菜を扱われる藤本商店さんに、役立つ野菜の保存法についてお話を伺いました。
「野菜を口のきけない、泣くこともできない生きものとしてとらえることが大事。どうしたら、この子が腐ることなく生きていられるか。日々、野菜と会話しながら研究中です」と、本田明子さん。
「野菜は人と一緒で、一期一会なんですよ。こまめに様子を見て、気遣ってあげてください」と、藤本商店さん。
その言葉から、野菜への愛情が伝わってきます。
野菜は、収穫後も呼吸をして生きていることを、ご存知でしょうか。不思議ですが、例えば、白菜のように「縦」に成長する野菜は、横向きに置くとストレスがかかり、立ち上がろうとして余計なエネルギーを使うそうです。そのため保存するときも、「縦」に置くことが大切。また、かぶは、葉と実を切り離して保存することが何より大事です。かぶの葉っぱは、生きるために、実の栄養を使って葉が伸びるからです。
野菜それぞれの育った環境によって、適した保存法が変わりますし、私たちの住まいや冷蔵庫の種類も違いますから、保存法は柔軟に考えなければいけません。基本的な野菜の特徴や保存法の理由を知っていれば、ぐっと野菜と仲良くなれるように思います。
取材を終えてからの私は、買ってきた野菜をすぐに新聞紙で包んだり、こまめに様子をチェックしたりと、自分でも驚くほど野菜を気遣うようになり、傷ませることがなくなりました。
「野菜の保存手帖」は、頁のコピーを冷蔵庫に貼ってパッとわかるよう、野菜の置き方や温度、光の注意点などをコンパクトにまとめました。ご家庭でお役立ていただけるとうれしいです。(担当:佐藤)