親も子も後悔しないように
(17号「家をたたむ、その日のために」)
私の両親は、ともに70代。
実家は数年前にリフォームをして、
その時に両親が大掛かりな片づけや不用品の処分をしました。
以来、押し入れやタンスの中はかなりスッキリしていますし、
必要なものがすぐに取り出せる状態で、とても生活しやすそうです。
そのため、じつは今号でこの企画を担当することになった時、
「親の家をたたむ」ということの大変さについて、
あまり実感が湧きませんでした。
しかし、経験者からお話をうかがううちに、
数十年ぶんの思い出や生活用品の詰まった家を
決まった期日までにすべて片づけなければならないという状況では、
さまざまな苦労があることを知りました。
時間やお金の負担だけではなく、
残すものと捨てるものを急いで判断しなければならないため、
のちに「捨てなければよかった」「もっとゆっくり考えればよかった」と
後悔が残ってしまったと話す方もいました。
こうした後悔をしないためにも、
「親が主体的に取り組める元気なうちに、親子で片づけをしましょう」
と、生前整理の専門家である渡部亜矢さんは言います。
片づけによって、室内で転倒するリスクなどを排除して安全・快適に暮らせるようになり、
親子で取り組むことで、貴重品や重要品類について共有する機会にもなるとのこ
と。
親子のコミュニケーションの取り方や、
どこからどのように進めると片づけが進みやすいかなど、
渡部さんにさまざまな疑問に答えていただきました。
『暮しの手帖』の読者層はとても幅広く、
親と子、どちらの立場の方もいらっしゃいます。
そのため、どちらの立場で読んでも役立つものとなるようにと意識して編集しました。
わが家はどうする? と話し合うきっかけにしていただけたら嬉しいです。(担当:田村)