困ったときにも、自分らしく

2021年10月05日

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困ったときにも、自分らしく
(14号「人間らしい暮らしって?」)

私事で恐縮なのですが、私には2歳になったばかりの子どもがおり、ときどき、その幼い寝顔を見ながら、こんなことを考えます。

「この子が大人になる頃、社会はどんなふうになっているんだろう」
「ちゃんとした暮らしができるといいけれど」

毎食、豪華でなくとも、ちゃんと栄養のある食事を食べられますように。
毎日お風呂に入って、清潔な布団で眠りにつけますように。
趣味に興じたり、買い物をしたり、友達と会ったりして、生きることを楽しめていますように……。

そんなことを祈ります。人によっては「ずいぶん『ふつう』だなあ」と思うことばかりかもしれませんね。

でも、今の社会には、こうした「ふつう」の暮らしを送れない人がいます。安心して働ける職場がない人。いくつもの仕事を掛け持ちして、長時間働いても、食べていくので精一杯な人。コロナ禍で、これまで「ふつう」の暮らしをしていたのに、それが叶わなくなった人も。昔も今も、いつの時代にも、そういう状況に置かれている人が一定数いるというのが現実です。

この企画は、万が一、生活に困ったときにも、私たちが自分らしく生きていくために、どんな福祉が必要か、どんな社会であったらそれが可能か、考えたいと思って編んだものです。

生活に困っている人の支援をつづける団体「つくろい東京ファンド」の代表理事・稲葉剛さん、貧困問題に詳しいジャーナリスト・水島宏明さん、実際に生活に困窮した経験を持つ二人の方にお話を伺いました。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部