アバウトでも、おいしくできますよ

2021年01月29日

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アバウトでも、おいしくできますよ
(10号「長尾智子のおいしい干し野菜」)

長尾智子さんからそう伺ったのは、確か、昨年の初夏頃だったような気がします。その頃に長尾さんがアトリエのベランダに干していたのは、きゅうり、ズッキーニ、ミニトマトなど。
真似をして、きゅうりを3本ほど斜めうす切りにし、平ザルにのせてベランダに置いてみました。4時間後くらいだったか、夕方に取り込んで試しにひと切れ食べてみると、表面は乾いて、中はみずみずしく、ちょっと歯ごたえのある食感です。
その晩、その「セミドライきゅうり」をオリーブ油と白ワインビネガーで和えて、塩をぱらり、黒コショーをカリカリ挽きかけると、ただそれだけで、なんだかとってもおいしい。ふだんなら、「塩もみきゅうり」でつくるような料理ですが、それよりもコリコリと食感がよくて、箸が止まらなくなりました。
野菜を干すというと、「自家製」なんて言葉も浮かびますが、これは気楽で、なにより、おいしくていいなあ。
そんな実感から、今回は冬野菜バージョンで、長尾さんにお料理を教えていただくことにしました。
メインとなる野菜は、大根、きのこ、白菜。干すと、うま味が凝縮して、ごくシンプルな調理でもおいしく仕上がりますし、カサが減ってたくさん食べられるのもいいところです。
たとえば「干し白菜とベーコンの塩炒め」は、水分が抜けた白菜だからこそつくれるひと皿。オリーブ油でこんがり焼いた白菜とベーコン、味つけはにんにくと塩だけですが、この取り合わせがおいしい!
そのほか、玉ねぎ、紫玉ねぎ、カリフラワー、かぶの葉、柿なども、「干したからこその味わい」を生かした、料理のヒントをたくさん紹介しています。

在宅ワークの日々、昼食をつくるついでに、半端に余っていた白菜や大根を切ったり、きのこをほぐしたりして、平ザルにのせてベランダへ。夕方に取り込んで、水分をもう少しとばしたいな、というときは、そのまま室内に数時間置いておく。「下ごしらえの延長」みたいな干し野菜を、気づけば、ずいぶん活用しています。
最近、ぐんと冷え込んだ晩には、「干し大根と玉ねぎのスープ煮」と「ミックス干しきのことじゃがいものオーブン焼き」をつくりました。
アバウトに干せばいい、けれどもしっかりおいしい干し野菜の料理、おすすめです。(担当:北川)


暮しの手帖社 今日の編集部