白衣の天使は目指さずに

2019年08月16日

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白衣の天使は目指さずに
(1号「親のためにできること」)

ありそうでなかった介護の食事づくりを、料理家の大原千鶴さんにご指導いただきました。
じつは大原さん、8年の介護の末にお義母さまを看取り、しかも同時に年子の男児2人を育てていたという経験の持ち主です。
そんな大原さんに編集長・澤田がじっくりとお話を伺い、実際によく作ったという4品の料理を、大切な気づきとともに教えていただきました。いずれも簡単ですこぶるおいしく、重宝しますよ。

担当としては、この企画を進める間、短期間ですが祖父を介護していた時のことを思い出し、後悔と懐かしい気持ちが次々に押し寄せたことを記しておきます。
学生だった当時、介護食を一日3食作るのに大いに手間取ったこと。認知症で昼も夜もない祖父に付き合って、常に眠かったこと。介護に疲れた父が、つかの間解放されてほっとした顔をしていたこと。
試作中は、こんなに風に、食べるのが楽しみな食事を私も作れたらよかったのになぁ、と残念に思ったり、でもいつか親のために作ればいいのか、と前向きに考えたり。

すべてにおいて段取りのよい大原さんをもってしても、「逃げずに毎日向き合っているだけで本当にすごいことなんですよ」と言わしめる「介護」。
いま渦中にいる方は、どうか完璧なんて目指さず、まずは相手が嬉しそうにしてくれたらよし! としましょう(もちろん、さまざまなご事情で厳密な栄養制限やケアが必要な方もいらっしゃると思います)。

介護を終えた方も、まだまだ先だよという方も、大原さんが無心で家族に向き合い体得した数々の知恵や心持ちを、ぜひ誌面にてご覧になってみてください。
(担当:佐々木)


暮しの手帖社 今日の編集部