春に込められた、さまざまな思い

2019年01月25日

春に込められた、さまざまな思い
(98号「春きにけらし」)

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菜の花のとほくに見えてここも雨  今泉礼奈

手のなかに鳩をつつみてはなちやるたのしさ春夜(しゅんや)投函にゆく  小池純代

桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり  岡本かの子

天よりもかがやくものは蝶の翅  山口誓子

これらは、春の美しい情景や、春の訪れに浮き立つ心を表した詩歌です。
ひと言で「春」と言っても、寒さ厳しい時季に始まり、雪が溶け、草木が芽吹き始め、やわらかな春雨が降る4月下旬にいたるまで、刻々と劇的に変化していきます。
ふだんはあまり意識せずに過ごしているけれど、もっと細やかに季節の移ろいを感じ取ることができたら……。
そんな思いから、この企画では、歌人の東直子さんにお気に入りの春の詩歌を選んでいただき、「立春」「雨水」「啓蟄」「春分」「清明」「穀雨」の六節気に分けて、ご紹介しています。
東さんが選んでくださった詩歌は、どこかはかなさとともに、力強さが感じられるものばかり。その一つ一つから、作者の思いがあふれ出ています。
そんな詩歌とともにぜひお楽しみいただきたいのは、谷口広樹さんが描きおろしてくださった、美しい絵の数々です。それぞれの節気の意味や詩歌の雰囲気に寄り添いながら、試行錯誤を重ねて描いてくださいました。
恥ずかしながらここ数年、自分自身は春が深まる気配に心を研ぎ澄ませる余裕もなく過ごしてきましたが、今年の春は、これまでとは少し違った心持ちで、移りゆく季節を楽しめそうな気がしています。(担当:井田)

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下記のリンクより目次をご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/honshi/c4_98.html


暮しの手帖社 今日の編集部