気持ちと身体で料理する
(96号「料理力って何でしょう?/高山なおみさん」)
以前に、料理家・高山なおみさんのお宅にお邪魔した時のことです。
おやつ時になって、「昨夜の豆ご飯の残りだけど」と言いながら、
ひょいひょいひょいと、おにぎりを作ってくれたことがありました。
運ばれてきたおにぎりの、おいしかったこと!
絶妙な塩気に、これまた絶妙なにぎり具合。
「こんなにシンプルなひと品なのに、なんだってこんなにおいしいのだろう。
高山さんの指先からは、料理をおいしくする何かがしみ出しているんじゃないだろうか?」。そんなことを真剣に思ってしまうほどでした。
以来、高山さんが作る料理のおいしさの秘訣を探り続けてきた私。
今回の企画は、そんな数年来の問いに答えていただくものでもありました。
高山さんがヒントにくれた言葉は、
「料理をおいしくするのは、知識でも、技術でもない。気持ちと身体だと思います」。
なんて意味深長なんでしょう!
さてさてこの言葉の真意とは――?(担当:島崎)