食いしん坊であるべし!
(96号「料理力って何でしょう?/ホルトハウス房子さん」)
「女子力」とか「会話力」とか、巷にあふれる「なんとか力」。
『暮しの手帖』まで「料理力」だなんて、なんだか辟易するなあ……。どうか、そう思わないでくださいね。
今号で私たちがお伝えしたかったのは、「毎日の料理が、もっと自由に、ラクになる力って、どうしたら身につくのかしら?」ということ。「本物の料理力って?」ということですね。
そこで、日頃お世話になっている8名の料理家にインタビューをお願いし、それぞれの答え、イコール、きらきらと輝く「金言」をご紹介しようと考えたのでした。
お一人目は、ホルトハウス房子先生。20代から30代にかけて世界各国で暮らし、現地で覚えた「とっておきの美味しさ」をもとにした、独自の家庭料理を教え続けて半世紀になる方です。
先生はさらりと、
「まずは、『食いしん坊であるべし』。そして、『自分の舌を確かなものにしなさい』ってことかしら。美味しさなんて、100人いれば100通りあるはずじゃない? 自分の舌を信じて、自分だけの美味しさをつくること。それが料理上手への早道だと思うわ」
そして教えていただいたお料理は、「具なしラーメン」「玉子チャーハン」「さらさらシチュー」「ひき肉のホットホットカレー」の4品。さてさて、これらのお料理が、どんな「金言」と結びついていると思われますか?
この企画の初校をホルトハウス先生にお送りした翌々日、先生から、弾んだお声でお電話をいただきました。
「写真が素晴らしいわね! ラーメンの写真を見たら、また無性に食べたくなっちゃって、今日の朝ごはんにつくったのよ」
食いしん坊、かくあるべし。食べる力は生きる力なんですね。(担当:北川)