子ども時代をやり直したい!

2018年08月03日

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子ども時代をやり直したい!
(95号「瀬尾新聞」)

「素材の味を生かす」……って、よく聞くフレーズですよね。
でも、ふかぶか考えると、それってどんなことだろう? 
あれは青葉の頃だったか、瀬尾幸子さんと二人、掘り炬燵で健康茶をすすりながら話をするうちに、ふとそんな話題になったのです。
「私はね、『キャベツを炒めるなら、きっちり4分炒めてね』ってよく言うでしょう? 『心の中の4分じゃなくて、タイマーをかけて4分ね』って」と瀬尾さん。うんうん、確かに先生はよくそうおっしゃいます。
「キャベツは、それくらいよくよく炒めると、本当に甘くて美味しくなるの。その美味しさを補う程度に、ほんのちょっぴり、塩やお醤油で味つけしてあげる。それが、素材の味を生かすってことじゃないかな」
ああ、なるほどなあ。では先生、そういうことを、理屈っぽくなく、楽しく教えてくれる取材先って、どこでしょうね?
私たちはうーむと腕を組み、そして思い当たったのが、今回お伺いした「東大駒場地区保育所」でした。
こちらの保育所は、その名の通り、東京大学駒場キャンパスのひと隅にあります。三角屋根の木造の園舎は、ひろーいウッドデッキがぐるりとめぐらされていて、そのデッキで子どもたちは給食を食べるんです。
そう、この給食こそが、今回の取材の目玉。玄米ご飯とお味噌汁、大根と豚肉の炒り煮、おひたし……そんな、なんとも渋い和食の献立なのですが、さてどんなふうに素材の味が生かされているのか、ぜひ記事でお確かめください。
給食だけではなく、みんなで泥だらけになって外遊びをしたり、デッキを雑巾がけしたり、素足で駆け回って体操したりと、とにかく子どもたちがキラッキラとしていて、なんだかうらやましい! と思った瞬間、瀬尾さんが隣でぽつりとつぶやきました。
「私もこんな保育所で子ども時代をやり直したいなあ」
先生、私も同感です。(担当:北川)


暮しの手帖社 今日の編集部