人はいろいろ、家族もいろいろ
(91号「家庭教育支援法案から考える 家族ってなんだ」)
「家族なのに」。「家族だから」。よく聞く言い回しですよね。でも、こういう言葉を耳にするたび、私の心には、言いようのないモヤモヤが立ち込めます。「なのに」「だから」。これらの言葉の選択が、「家族」にまつわる、ある一定の価値観やイメージの強要を象徴しているように思えるからです。
たとえば「家族なのにつめたい」と言うとき。そこでは「家族はあたたかいものだ」という前提が共有されています。
あるいは、「家族だから助け合う」と言えば、「そうするのが当然だ」というニュアンスが伝わりますよね。
でもでも、とそこで私は思うのです。「家族」はひとつひとつ、そして人それぞれに違うものなのだから、そういうふうに十把一絡げにすることなんか、本当はできないんじゃないかしら、と。
今回の企画は、そんな私の「モヤモヤ」から生まれたものです。現在準備されている、「家庭教育支援法案」という法律案を切り口に、「個人と家族」の関係性や、「社会と家族」の位置づけ、あり方について、改めて考えます。
コラムニストのジェーン・スーさん、作家の山崎ナオコーラさん、同じく作家の佐川光晴さん、社会学者の岸政彦さん、文筆家のアーサー・ビナードさんに、「家族」について語っていただく頁もあります。皆さんがいま一度、「私の家族」について考えるきっかけになれば幸いです。(担当:島崎)