人生の最初の、しあわせな3年間を
(90号ひきだし「乳母車の子育て」)
ものづくりをなさっている方や、長くひとつのことを続けている方の、心の“ひきだし”を覗かせていただく、生き方や暮らしに迫るドキュメンタリー連載「ひきだし」。
20回目の今回は、オリジナルの籐の乳母車を制作・販売する「東京乳母車」の横田建文さん、晶子さん夫妻にお話しをうかがいました。
長男が生まれた30年前、ショーウインドーの展示品だった乳母車に魅せられてしまった晶子さん。すでに椅子型のベビーカーが出回っていた当時、乳母車を手に入れることは難しく、都内ではどこにもみつかりません。
あきらめかけていたころ、建文さんが出張先で偶然みつけた乳母車で、晶子さんは長男、長女との幸せな時間を過ごしました。
そして二男が生まれたとき、研究肌の建文さんは「乳母車を自分で開発してみよう!」と思い立ちます。さて、その行方は……。
取材中、乳母車を使っている双子連れのご家族にもお話しをうかがいました。乳母車の広いバスケットの中は、すっかり子どもたちの世界。それぞれ好きなオモチャを持ちこんで、座ったり立ち上がったり寝転んでみたり。
2歳頃まで、ベビーカー嫌いだったわが子も、この乳母車だったらもしかしたらニコニコ遊んでいたのかなあ。
「乳母車で過ごすのは、人生の最初の3年間」
たったの3年間という短い時間が、きらきらした思い出になるように、横田さん夫妻は今日も乳母車を作り続けます。(担当:小林)