初めまして。
新編集長の澤田康彦です。
2016年のいっとう最初、80号=早春号から『暮しの手帖』の指揮を執ります。
さ来年には70周年を迎えるという歴史ある雑誌を担(にな)って、使命感、責任感、緊張と誇らしさ、コーコツ感、不安感や達成感……あれこれややこしく混じり合った状態の中に私はおります。この感じは一言、
「新鮮!」
と呼ぼう。
新しい『暮しの手帖』は来週の25日にはいよいよ発売の運びに。
ついさっき編集部には、できたてほやほやの見本誌が到着し、みんなで拍手して迎えました。
そう、これは「雑誌」であり、実のところ「みんなで」作り上げたものなのです。編集長ひとりのものではない。「みんな」というのは社員、編集者だけではありません。著者、料理家、写真家、スタイリスト、イラストレーター、デザイナー……全員の総力を結集して編み上げた製品です。
企画を立ててから数カ月、よく議論し吟味精査し取材し撮影し執筆し、そして試作し検証し……丹精こめて作り上げました。
この丁寧さが『暮しの手帖』なのだなあ、と今振り返ってみて、新人編集長はつくづく納得しております。
おお、しかし他人事みたいに感心している場合ではない。
やがて温かな春が巡って来て、次の号、そのまた次の号が待っています。
夏が来て、秋が来て。
2ヶ月に一度、年間6回の雑誌ですが、ひとつひとつがみなさんをワクワクさせられるように、いつも新鮮な気持ちでとびきりのものをお届けできますように。
私たちの2016年は、どんな年になるのでしょうか?
一人一人に、どんな出会いがあって、どんな出来事が起こるのでしょうか?
大切な人たちは、幸せでいてくれるでしょうか?
私たちの暮らすところはいい町、いい土地、いい国であってくれるでしょうか?
原点は、愛する家族や、恋人、友人を大切にすること。弱い者を守ること。優しくあること。優しくできること。
そうあるべく努力すること。その気持ちを伝えること。
子どもたちや、仲間に。「暮らし」とはそれです。それ以上のものはない。
私たちの「暮らし」がよきものであることを心から願います。
その一助となるべく、雑誌『暮しの手帖』はいつもあなたのそばにいよう。
改めてそう決意します。
我ら今年も、新鮮な旅人。
『暮しの手帖』編集長 澤田康彦