思い出に残る旅行を探して

こころに残る 家族の旅
『こころに残る 家族の旅』 小川奈緒 著
京阪神エルマガジン社 1,600円+税 装釘 藤田康平(Barber)

 待ちに待った連休! 家族旅行!! 夫婦の仕事や子ども達の習い事などの予定を調整して、家族が一緒に大移動する。家族旅行は本当に一大イベントです。それぞれの準備に費やしたぶん、思い出に残る素敵な旅にしたい。そうみんなが願うのではないでしょうか。

 本書では著者の小川奈緒さんが、夫や子ども、親と、同行する相手により変わりゆく旅の形を、それぞれのエピソードと共に、ありのままに綴った一冊です。
 
 家族が増えればハプニングも増え、決して気軽な旅とは言えなくなってゆきますが、それも良い思い出のひとつとして楽しんでいる様子が、微笑ましい一冊です。

 独り身だった頃の私は、東京から大阪の実家へ帰省する新幹線でさえ、品川駅からふらっと飛び乗るほどの気軽さでしたが、気がつけば昨年末の帰省は、1歳の子どもを連れて、まさに一年最後の大仕事となってしまいました。
 
 子連れで挑んだ初めての海外旅行でも、異国の景色にリラックスしている大人の横で、突然大声で泣き出す息子。まさに本書で小川さんが体験されたことと同じで、「わかる、わかる。そうなりますよねぇ」と、頷きながら頁をめくるのでした。

 色々な場面でグズる子どもに、お子様向けのプランをわざわざ用意しなくても、ほんの少しのアイデアで家族みんなが納得する旅ができたなら、なんとも嬉しい限りです。

 これからは、この本を片手に、わが家ならではの旅の形を探していこうと思っています。(山崎)


暮しの手帖社 今日の編集部