大コピペ時代を生きる、みんなの教科書

正しいコピペのすすめ ―模倣、創造、著作権と私たち
『正しいコピペのすすめ ―模倣、創造、著作権と私たち』 宮武久佳 著
岩波ジュニア新書 860円+税

 ピラミッドにモナ・リザ、ビートルズ。みなさん、もちろんご存知ですよね?
 
 でも、実際にエジプトに行ってピラミッドを見たり、ルーブル美術館でモナ・リザを鑑賞したり、ビートルズの生演奏を聴いたという人は、どれくらいいるでしょうか。多くの人は、テレビ映像やインターネット上の写真、音楽CDといった複製、つまり「コピー」によって、そのすばらしさに触れたことと思います。

 本書は、そうした身のまわりにあふれるコピーについて、守られるべき著作権や、それが文化に果たす役割などを説いています。
「著作権」と聞くと、プロの作家やカメラマンが持つもの、と考えてしまいがちです。しかしスマホやパソコンが普及した現代においては、著作権を持つことも、それを侵害することも、いとも簡単なのです。ですから、いまや、みんなが著作権のルールを理解する必要性がでてきたのです。
 
 かくいう私も、恥ずかしながら、著作権について不勉強でした。本書を読みすすめると、驚きの連続。そして、宮武先生のやさしく丁寧な解説がスッと頭に入ってきて、まるで社会科の授業を受けているような気持ちになりました。

 「正しいコピペの作法」を身につけ、ルールを守りながら「模倣」すれば、それがやがて「創造」につながる。大切なのは、じょうずにコピペを用いながら、自分自身を成長させることのようです。
本書は、大コピペ時代を生きる私たちにとって、まさに教科書のような一冊。SNSを楽しんでいる方をはじめ、レポートを書く学生さん、会社で新聞をコピーしているそこのアナタも、ぜひご覧になることをおすすめします。(圓田)


暮しの手帖社 今日の編集部