誰もがうれしくなれるから
(別冊『暮らしのヒント集5』/「集って作る『手づくりはたのし工房』」)
写真のうさぎの人形をご覧ください。
このかわいらしい人形が、着古したセーターから作られたなんて、信じられますか?
制作しているのは50~80代の女性たち、「手づくりはたのし工房」です。
彼女たちが人形を作るようになったのは、約50年前のことでした。
「東京子ども図書館」の維持を目的として集まったことが始まりです。
この図書館は児童文学者の松岡享子さんたちが設立した子どものための私立図書館で、公的援助を受けることができません。
維持するための資金を調達する方法のひとつとして考えられたのがバザーでした。
そこで人形などを作って販売するようになったのが「手づくりはたのし工房」です。
月に一度の集まりへお邪魔すると、彼女たちは
ひとつのテーブルを囲み、和気あいあいと手を動かしていました。
作っているうちに悩むことがあれば、すぐに仲間へ相談します。
「目の位置は、ここでよいかしら?」
「もうちょっと右のほうが、かわいくなるわね」
「かわいくなれ、かわいくなれ、って念じながら作るのよ!」
こんな調子で笑いが絶えません。
こうしたやりとりを重ねることで、ひとりでは思いつかないような
豊かな発想が生まれ、いきいきとした人形が出来上がります。
1年かけて作りためた人形は、先月行われたバザーで見事完売!
バザーでは売る人も買う人も、みな笑顔なのが印象的でした。
子どものための図書館を続けていきたい――
目的のために心をひとつにすることで、強い絆が生まれ、
さらには、関わった人みんなをうれしくすることに、
わたしは心を打たれました。
本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください。(担当:平田)
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2098.html