パリの金庫に眠る、幻の絵日記
(94号「発見! フジコ・ヘミングさん14歳夏休みの絵日記」
世界的ピアニスト、フジコ・ヘミングさんが14歳のころに描かれた絵日記を求めて、パリに取材へ行きました。
フジコさんのお宅は、築100年以上の歴史あるアパルトマンにあります。
緊張しながら扉を開けると……フジコさんは、少しはにかんだようなあたたかい笑顔で、お茶とお菓子を準備して待っていてくださいました。そばに、犬やネコたちがしずかにくつろいでいます。
金庫で大切に保管されていた少女時代の絵日記は、70年以上も経っているとは思えないほど色が鮮やかで、驚きました。そこには、戦後翌年1946年の夏休みの暮らしが、ていねいに綴られているのです。食べもののこと、家族、ピアノの練習、お裁縫……。
この美しい絵日記とともに、フジコさんのインタビューも、併せてお楽しみください。
取材中、フジコさんがリストの「愛の夢」を弾いてくださったその瞬間に、部屋の空気がふわっと変わったことが忘れられません。やさしい音色に包まれて、部屋中がきれいな光で満たされたような、幸せな時間が流れました。少女のようなピュアな気持ちを持ちつづけるフジコさんだから奏でられる音なのでしょう。
絵日記は、6月末に『フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記』として、一冊の本にまとめ、刊行を予定しています。
また、6月16日(土)より公開される、映画『フジコ・ヘミングの時間』にも絵日記が登場します。フジコさんの世界に、ぜひ触れてみてください。(担当:佐藤)