編集部員がおすすめ本を紹介します。

2017年12月01日

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編集部員がおすすめ本を紹介します。
(91号「本屋さんに出かけて」)

「最近、本が読まれなくなった」と聞きます。たとえば電車では、たくさんの人が手にしているのはスマホです。インターネットは便利でコンテンツも豊富ですから。でも、同じ車両に数人は、本を開いている人が必ず数人はいます。少なくなりつつあるのかもしれないけれど、まだまだ本は読まれているし、これからも読まれていくことでしょう。もちろん、私たち出版社は、これからも魅力ある本を作っていかなければなりません。

などと書いている私は、10代後半までほとんど本を読まない子どもでした。でも、ある作家の作品に出合い、小説をよく読むようになり、歳を追うごとに、いろいろな作品へと読書の幅は広がっていきました。心の成長と感受性が変化する年頃で、よいタイミングだったのでしょう。みなさんもそんな出合いがありませんでしたか?

さて本題です。「本屋さんに出かけて」のページは、編集部員の皆が最近読んだ本を、それぞれが読んだ感想を含めてご紹介するものです。小誌は隔月刊ですから、2カ月に一度、ひとり数冊ずつ提案して、その中から毎号8冊を選んでご紹介しています。実際に本屋さんの店頭で出合った本を購入して読んでいます。
一般的に雑誌などの書評欄というのは、文学者や批評のプロの執筆者に依頼して、書いていただくというのが多いでしょう。それを、編集部員が担うというのは、いささか不相応の感があります。でも、だからこそ、本の読者のひとりとして、わかりやすくお伝えできるのではないか、と考えています。

今号でご紹介しているのは、谷山彩子さんの『文様えほん』、佐藤雅彦さんの『新しい分かり方』、寺本紗穂さんの『あのころのパラオをさがして』、若菜晃子さんの『街と山のあいだ』、在本彌生さん写真の『熊を彫る人』、阿部岳さんの『ルポ 沖縄 国家の暴力』、『山の家クヌルプ』、『お父さん、だいじょうぶ? 日記』の8冊です。絵本から社会派ルポまで、多彩なラインアップ。それぞれ、編集部員の心に響いたのは何なのか、私たちの言葉で素直にご紹介しています。

また、毎号誌面ではご紹介しきれなかった、すてきな本がたくさんあります。それらは、小社のウェブサイトの「Blog 手帖通信」とフェイスブックにも、web版「本屋さんに出かけて」でご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

そういえば先日、吉祥寺の書店で、小学生くらいの女の子が、佐藤雅彦さんの『新しい分かり方』をとても熱心に立ち読みしていて、戻ってきたお母さんに「これすごくおもしろいよ!」とちょっと興奮気味に話しているシーンに居合わせました。たぶん、そのあとお母さんは買ってくれたのではないでしょうか(と思いたい)。この本の内容からして、まさに知的好奇心に目がキラキラ! という感じで、なぜかとてもうれしくなってしまいました。
偶然、本屋さんで出合った本。そのページをめくるたび、少しずつ世界が広がる。それは何歳になっても経験できる、素晴らしい体験ですね。私たち編集部員は、今日も本を読み、そこのすばらしさをお伝えしたいと考えます。ぜひ皆さんも本屋さんへ足を運んでみてください。(担当:宇津木)


暮しの手帖社 今日の編集部