『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』 岡本 仁 著
京阪神エルマガジン社 1,600円+税 装釘 江藤公昭(パピエラボ)
本書は、編集者の岡本仁さんが、タイトル通りひとりで東京を歩き、小腹がすいたら食事をし、ときどき小さな買い物をしながら街歩きを楽しむ様子を綴った1冊。読み進めるうちに、まるで岡本さんといっしょに歩きながら、おすすめの場所を案内してもらっているかのような気持ちになります。
これまで幾度となく訪れたことがある街でも、岡本さんの視点から見ると、「あれ、こんなお店あったんだ」「ここ、こんな景色だったかな」というように、まったく違った表情に見えてくるのが不思議です。
また、「ぼくは何か食べたくなって散歩に出るのが常だ」という言葉にある通り、本書には、魅力的な食事処がたくさん登場します。「ぼくは食べ比べを好まない。ここが好きとなったら、その店だけで充分に幸せになれてしまうのだ」とも綴っているように、それぞれの店への親しみが込められた文章を読んでいると、すぐにでも足を運びたくなってきます。
最近、ゆっくり散歩に出かけることがありませんでしたが、久しぶりに、この本を片手にぶらぶらと歩いてみたくなりました。(井田)