『暮しの手帖』第4世紀81号
今日の『とと姉ちゃん』では花山編集長が「直線裁ち」を思いつき、女性たちのうれしそうな笑顔がとても印象的でした。このエピソードは、『暮しの手帖』の歩みにしっかりと基づいています。
初代編集長の花森安治の発案ではじまった「直線裁ち」は、『暮しの手帖』創刊号や、その前身となった『スタイルブック』の時代から提案してきた大人気企画。着物をほどいて、直線裁ちにして、ふだん着る洋服を作る。洋裁を知らなくとも、家にある着物や浴衣の生地を使って、誰でも簡単に作ることのできるものでした。デザインから、裁つひと、縫うひと、着るひと、髪を結うひと、そして撮影まで、何もかもが当時のスタッフによる、すべて手作りのページ。このアイデアが、敗戦直後の日本女性たちをとても勇気づけたのです。(担当:村上)
どんなに みじめな気持でいるときでも
つつましい おしゃれ心を失わないでいよう
かなしい明け暮れを過しているときこそ
きよらかな おしゃれ心に灯をつけよう
…
もう少し愉しく、
もう少し美しく暮したいと思うに違いありません。
…
より良いもの、より美しいものを求めるための
切ないほどの工夫、それを私たちは、
正しい意味の、おしゃれだと言いたいのです。
それこそ、私たちの明日の世界を
作る力だと言いたいのです。
…
私たちの本が、少しでもそのお役に立てば、
こんなにうれしいことはありません。
『スタイルブック』(1946 夏)巻頭より。