今年4月に100歳を迎えられた影絵作家の藤城清治先生。
藤城先生の百寿をお祝いして、暮しの手帖社としては『お見舞にきたぞうさん』以来34年ぶりとなる影絵絵本の新刊『魔女の赤い帽子』を刊行します。
先生のお名前は『暮しの手帖』の創刊号に掲載されています。この時から「お母さまが読んで聞かせるお話」の「絵」の部分を担ってこられました。次の2号で、影絵が早くも試みられます。1号置いて、4号から影絵とお話のスタイルが定着し、1965年の80号までモノクロページで掲載が続きました。お話の作者が亡くなられたため、しばらく間があきます。
『暮しの手帖』に影絵が再登場するのは1974年の第2世紀33号で、この時から影絵がカラーになります。1996年の第3世紀63号まで、23年間で131作が『暮しの手帖』の誌面を彩りました。この頃の「カラーの影絵のお話」を聞いた、見た、読んだと覚えていらっしゃる方も多いことと思います。
『魔女の赤い帽子』では、保管している掲載当時の写真原版から新しい版を起こしました。本の大きさは既刊の影絵絵本と同じで、藤城先生の影絵がいっそう引き立つよう、影絵の部分を『暮しの手帖』掲載時より大きくしています。品切れになって久しいモノクロ影絵の『お母さんが読んで聞かせるお話』からも1話を収録し、白と黒の濃淡が作り出す影絵の味わいも楽しむことができます。また、小学3年生以上で習う漢字にはふりがなを付けました。
この本の編集に携わったスタッフの一人は、藤城先生がカットを描いていた「すばらしき日曜日」という投稿ページの担当でした。「カットができ上がった」の連絡をいただくと大岡山の藤城スタジオへ走った者が、四半世紀のときを超えて藤城先生とまた本づくりをしました。藤城先生が長寿であればこその貴重な経験です。
藤城先生は今日もお元気で、創作意欲があふれています。先生の長寿をお祝いするとともに、100歳を超えてのさらなる新作を期待するものです。
(担当:岸上)
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