家族のために、そして自分のために
(28号「家族が認知症になったら」)
「実の親のこととなると、なかなかうまくいかなくて」
これは、認知症のお母さまと暮らしている、ある介護職に就いている方が、ふともらした言葉です。
他人ならばさりげない声かけができるのに、家族にはつい厳しい伝え方になってしまう。家族だからこそ、難しい。介護は特に、そんなふうに感じる場面が多いかもしれません。
この企画では、認知症の親の介護と向き合っている2組のご家族のほか、数多くの現場に携わってきたケアマネジャーとホームヘルパー、そして、当事者や家族が安心して相談できるような取り組みを行っている方々にお話を伺いました。
取材先でたびたび耳にしたのは、「現場の人の力を借りてほしい」「家に閉じこもらないで、外の人を頼ってほしい」という言葉です。
家族のあり方がそれぞれ違うように、介護のかたちもさまざま。ひとつの正解はありませんが、家の外に目を向けると、たくさんの手が差し伸べられているのだということに、取材を通して気づきました。
今、まさに介護と向き合っている方にも、今後のために知っておきたいという方にも、このページが一助となることを願っています。(担当:井田)