小さなはぎれが、道具に生まれ変わります

2023年07月28日

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小さなはぎれが、道具に生まれ変わります
(25号「ひとつだけの鍋つかみ」)

友人の家で、晩ごはんをごちそうになった時のことです。オーブンから天板を取り出すのに彼女が使っていた鍋つかみに、思わず目がくぎづけになりました。

使いこまれて、風合いが出た鍋つかみ。「omoto」という屋号で活動している鈴木智子さんが作ったものだということ、はぎれを縫い合わせているため、同じものはふたつとないことなどを聞き、作り方を教えていただきたいと思ったことが、この企画の始まりでした。

取材で訪れた鈴木さんのアトリエには、カーブがついていたり、三角だったり、大小さまざまなはぎれが入った箱がたくさんありました。その中からはぎれを一枚、また一枚と手に取り、縫い合わせていく様子は、まるでコラージュを施しているかのよう。

後日、私も棚の奥にしまいこんでいたはぎれを取り出し、鍋つかみを作ってみました。もう何にも使えないかなと感じていた小さな小さなはぎれでさえ材料の一部となり、それが再び道具に生まれ変わる。それは、新しい布で何かを作るのとはまた異なる喜びでした。
もしも、あなたの家にもはぎれがあったなら、ほかにはない、ひとつだけの鍋つかみを作ってみませんか。(担当:井田)


暮しの手帖社 今日の編集部