知ればきっと近くなる
(22号「アフガニスタンから来たバブリさん」)
私の家のベランダには今、吊り下げ式の干しアミが、ぶらぶらと風に揺れています。作っているのは魚の干物ではなく、「ドライチーズ」。アフガニスタンの保存食で、簡単に言えば、塩で味をととのえたヨーグルトをカチカチになるまで乾かしたものなのですが、これがなかなかおいしいのです。
作り方を教えてくれたのは、アフガン出身のバブリ・アシュラフさん、40歳。15年前に来日し、千葉県松戸市で母国のドライフルーツなどを輸入・販売する店を営みながら、日本人の妻、まだ幼いふたりの子どもとともに暮らしています。「日本では、アフガンのことがあまり知られていないのが寂しい」。そう話すバブリさんは、現地の食文化や生活様式、自然の豊かさ、そして母国への思いを一生懸命に語ってくれました。
正直、バブリさんに出会うまで、私がアフガンについて抱いていたイメージは貧弱で、「戦争」「内戦」「タリバン」といったものばかり。それが今ではだいぶ詳しくなり、親しみを持つようになって、さらには保存食を作るまでに……。つくづく、知ることは近づくことですね。「アフガニスタンは遠い国だ」「なんだか怖い」。そんなふうに思っておられる方に、ぜひお読みいただけたらと願っています。(担当:島﨑)