楽しいことも、もやもやした思いも
(21号「子どもの詩『サイロ』の物語」)
小学校の頃、「詩を書く」宿題が出たことがありました。何かかっこいいことを書かなきゃ、上手に書かなきゃと肩に力が入り、自分が思っていることとは違う言葉を連ねてしまった、苦い記憶が残っています。だからでしょうか、『サイロ』という児童詩誌を初めて読んだ時、いきいきとした言葉が並んだ誌面に、とても驚いたのです。
『サイロ』は、北海道は十勝の小・中学生の詩を載せる冊子として1960年に創刊されました。以来、現役の教職員が中心となって、いまも毎月発行されています。十勝にお住まいの方の中には、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
そこに綴られているのは、ある日の何気ない出来事だったり、鉄棒で逆上がりができた喜びだったり、兄弟ゲンカの後味の悪さだったり……。楽しいことからもやもやとした思いまで、子どもたちが感じたことそのものが詰まっていて、「あぁ、自分もこんなことを思っていたな」と、記憶が呼び覚まされるのです。
詩を書くってどういうことなんだろう。どうして『サイロ』には、こんなにもいきいきとした子どもたちの言葉が集まるのだろう。知りたいことがどんどんと膨らみ、十勝にある「サイロの会」を訪ねることにしました。誌面を通じて、子どもたちの詩が生まれる瞬間に、ぜひ触れていただけたらと思います。(担当:井田)