苦悩をくぐりぬけた明るさ
(20号「鈴木信太郎とその仕事」)
鈴木信太郎という名を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか。
美術に興味がおありなら、きっとすぐに、あの独特な童画風のタッチで描かれた、愛らしい洋画を思うことでしょう。
もし東京や長崎にお住まいの方なら、絵画よりもむしろ、こけし屋、マッターホーン、長崎銘菓クルスといった、彼が手がけた商品パッケージの方に親しんでおられるかもしれませんね。
では、その彼が、本の装釘、挿絵の世界でもすぐれた作品を残していることまでご存じの方は、どれくらいいるでしょうか。
本企画では、それぞれの分野に残された、鈴木信太郎の主だった作品を掲載するとともに、晩年をともに暮らした孫・鈴木敏彦さんに思い出話を伺いました。順風満帆とは言い難い人生を送りながら、生涯にわたり、明るい絵を描き続けた画家。その足跡と人となりに触れてください。(担当:島崎)