あわてなくても、大丈夫だよ。
(16号「昔話が教えてくれること」)
「むかーしむかし、あるところに……」と、何世代も語りつがれてきた昔話。
そのお話には、先人のいろいろな思いが込められていることをご存知ですか?
昨年11月、昔話研究の第一人者である小澤俊夫さんと作家の中脇初枝さんに昔話への思いを語り合っていただきました。
実は、お二人は30年前、大学教師と教え子のご関係。中脇さんは、大学で民俗学を学び、卒業後は、小澤さんが主催する「昔ばなし大学」で再話や語りを学びました。今も様々に小澤さんに教えをいただいているそうです。今回の対談では、そんなお二人の、息ぴったりの、たのしい会話が弾みます。
対談のなかで中脇さんは、「おだんごころころ」というお話を高知の言葉で語ってくれました。ある女の子が、鬼の家でおだんご作りをさせられるものの、知恵を働かせて逃げて、幸せになる物語です。中脇さんの語りの声やリズムは、なんとも心地よく、小澤俊夫さんをはじめ、一緒にお話を聞いたライターの成合明子さん、編集部員たちも笑顔になり、あたたかいひと時に。お話のなかの女の子の行動は、たくましく、勇気があります。昔話は、子どもたちはもちろん、おとなの心も安らかにして、力をくれるのだなぁと実感したひと時でした。
小澤さんは、一番好きなお話「三年寝太郎」について語り、「あわてなくても、大丈夫だよ」と伝えてくれました。その意味するところとは……? 詳しくは、ぜひ本誌をお手にとってご覧くださいね。
秋山花さんによる、夜の森の絵も、どうぞおたのしみください。
*小澤俊夫さんの書籍『昔話の扉をひらこう』(暮しの手帖社刊)が発売中です。「不安の多い今だからこそ、暮らしのなかで生の声でお話をしあう時間を大切にしてほしい」と小澤さんが願いを込め、昔話に秘められる大切なことをまとめた一冊です。こちらもぜひ、ご覧いただけたらうれしいです。(担当:佐藤)