今年、私たちは「家で過ごすということ」について深く考えました。
そして「人と人との、心地よい距離」についても——。
私がこの本を作りたいと考えたのは、世の中がこんなふうになるなんて、想像もしていなかった2019年の夏のこと。前年に双子を出産し、1年間の育児休業から復職したばかりのころでした。
自分が納得する仕事をしたい。家をさっぱりと整えたい。子どもたちの成長に寄り添いたい。
そんな理想を持ちながら、現実には能力も時間も足りず、眠る時間を削ることでなんとか帳尻を合わせるような日々です。仕事、家事の効率を上げようと必死になりながら、一方で家人に対してはモヤモヤとしたものを抱えていました。
なぜ私だけが……。どうやったら一緒に家事を工夫していけるの? というか、世の人たちはどうしているんだろう?
2020年2月〜5月、小社WEBと誌上で「家事シェアに関する意識調査アンケート」を実施しました。回答してくださったのは784名の皆さんです。
緊急事態宣言下で家族が家で過ごす時間が長くなり、家事負担が増えたことを嘆く声、新たな家事バランスを模索する様子がうかがえる回答があるなかで、(詳しい結果は本日より、小社WEBサイトの特設ページで公開しますので、ぜひご覧いただきたいのですが)深く考えさせられたのは、「(現状の)家事バランスを変えたい」と考える人が75%いること、そして、それなのに、家事バランスを変えるために「話し合わない(話し合えない)」という人が50%、という結果でした。
家事の方法論より、むしろコミュニケーションの工夫に課題があるのかもしれない……。
私たちは家事の工夫だけでなく、互いの考えを伝え合い、すり合わせていく過程にまで踏み込んで、取材することにしました。
「1章 心地よい暮らしの形を模索中。」では、共に暮らして数年、今まさに人と共同して生活することの面白さと難しさを実感する3つの家庭を、
「2章 一緒に居る、それぞれが生きる。」では、共に暮らして十年以上、暮らしの呼吸は合ってきた一方、仕事の責任は増してきて……という3つの家庭を、
「3章 いつだって、関係は変えられる。」では、長年の勤めを終えて退職したり、病気を患ったり……。あることがきっかけで家事のバランスを見直した2つの家庭を取材しました。
共通していたのは、それぞれがよく話し、深い納得感を持って家事を担っていること。全ての家事が均等に分担されているわけではないし、日々、そのバランスは揺らぎますが、互いの暮らしを大切にしようと、何度も話し合い、試行錯誤しています。
対話が暮らしを変えていく。
そんな実感にあふれたエピソードの数々が、あなたの家庭の家事シェアを後押しし、家事を楽しくするヒントになればと思います。(担当 長谷川)
※この本の目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2102.html
※特設ページは下記リンクよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/life-style_survey_report/