花森安治選集 全3巻完結! 第3巻『ぼくらは二度とだまされない』
ついに、完結巻となる第3巻を発売しました。
本巻では、日本が経済大国へと急成長を遂げた時代、
1960年から、花森の没年1978年の絶筆までの、
激動の昭和を鋭く見つめた作品群となっています。
「もはや戦後ではない」と、日本が復興の時代の終了宣言をしたのが1956年。
その数年後の1960年には「所得倍増計画」政策がはじまり、
高度経済成長とともに、豊かさの時代へと一気に駆け上がりました。
「夢の超特急」と呼ばれた東海道新幹線の開業、東京オリンピック(1964年)、
大阪万博(1970年)開催、といった華やかさに沸く一方、
それらが生んだ歪みも顕在化してきていた時代でした。
ロッキード事件などの政治腐敗、利益至上主義の考えから起こった大量生産、
東京のスモッグ深刻化、食品偽装問題、水俣病をはじめとする公害……。
「もうけ」のために、自然や暮らしを平気で破壊してしまう企業精神や、人々のありかたを、花森は痛烈に批判。国や大企業に対して、臆することなく抗い続けました。
60年近くも前の文章ですが、まるで今のような錯覚すら覚える日本の現状と展望。
召集令状で国民を戦場に駆り出し、暮しを奪った「国」に、今度はだまされない。
今度こそ、困ることをはっきり言おう。
自分たちの暮しは自分たちで守ろうと訴えます。
庶民のあたりまえの暮しを守るため、一本のペンを武器に挑んだ檄文の数々。
この叫びは、現代日本にも通じる魂のメッセージです。
ぜひ、書店にてお手に取ってご覧ください。
外函の装画は、1957年刊行の『暮しの手帖』1世紀42号の表紙画から。
もちろん、花森安治によるものです。(担当:村上)
※目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/books/b_1193.html