子どもたちにとって今の社会は、実はとても生きづらくなっていないでしょうか。子どものいのちと向き合って見えてきた人間の「強さ」「優しさ」を、聖路加国際病院副院長で、小児科医の細谷先生が語りかけます。どなたにも前向きに生きる力を与えてくれる一冊です。『暮しの手帖』に好評連載中。
[目次]
第一章 いまどきの子どもとむかしの子ども
ひぐまも子どももジユースが好き/こどもの頃を思いだしてほしい/日本人はきれい好きな民族です/のんびりゆっくり ひるねの夏休み/行事が子どもを育ててきた/「できた」という喜びが次の「やる気」をひきだす/「いい加減」の大切さ/食べ物の話を頭に一杯つめこみたい/あきらめ文化とチャレンジ文化/運動會たちまち潤む
第二章 子どもの病気物語
かぜかなと思ったら体を中からあたためる/大人たちの無関心さはどこからきたのか/やさしさに触れてやさしさを身につける/「物語る」ということ/絵本がこころをなごませる/小児科を選んでよかった/嘘をつかない、わかりやすく、そして子どもの立場にたって/二十二年前の作文と追悼文/人間のやれることには限界がある/人間がコンピユータに負けない点/うれしい話をおすそわけ
第三章 小児科医は考えた
患者さんが安心するためのインフォームドコンセントなのに/なりたいものがいっぱいあった/お互いの気持ちが通じあうことの大切さ/小児科医が安心して働けるように/百害あって一利なし/おとしよりと子どもがともに暮らす豊かさ/銭湯にはお風呂の文化がある/テレビよりじかの話し合い/〈制約〉があってこそ驚きも感激も大きい/「夢」のままだからいいときもある/親切のシャワーをたっぷり浴びせたい
第四章 大人たちへ、子どもたちへ
子どもの「初めて」の気持ちによりそってあげたい/イメージを育む美しい歌を子どもといっしょに歌おう/団らんの中から自立が生まれる/遍路道を歩いてわかったこと/たこ焼き屋さんから学ぶ「分をつくす」ということ/心も身体もいやす小児医療をめざして/犬たちがお見舞いにやってくるまで/子どもたちに外遊びを復活させたい/いろんな人がいるから、世の中は楽しい/おとなの時間と子どもの時間/思い出の手紙/片づけるのはむずかしい/雪の日の、さびしさと楽しさ
[著者]
ほそや りょうた
1948年山形県生まれ。72年東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院小児科に勤務。現在聖路加国際病院顧問。専門は一般小児科のほか、小児がん、小児のターミナルケア、育児学など。重い病気を持つ子どもと家族を支える活動にも力を注ぐ。俳人・細谷喨々でもある。